3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜

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1章⭐︎アインス王国脱出編⭐︎

もう1人の主人公

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-side リアム-



『動くな。お前……、何者だ?』


 ルーカスは警戒する。


「やだなあ。そんなピリピリしなくても」


 ノアは肩をすくめてそう言った。


「それに、何者か怪しいのは君の方だよ。異世界人君。神竜なんて、神の眷属を従魔にして」
「俺が異世界人っていう保証はあるのか。こいつが従魔っていうのも」
「うーん。あると言えばあるし、ないと言えば、ないね」
「どういうことだ?」
「信じるか、信じないかは君次第さ。僕はね、他人のステータスを鑑定できるスキルがあるんだ。自分や他人にどのくらい魔力量だったり、体力だったり、気力だったりがあるかっていうのを。単純なステータスだけで言ったら、あのレオンという冒険者は化け物だろう。ただ君は、俺が見た中でも特殊すぎるんだ。神から与えられると言われるスキルを3つも持っているなんて」
「………」
『おい、こいつ……まさか』
「ああ。はーー。ノート様が言ってたのはこういうことだったのか」


 俺はその場にうずくまる。


「君どうしたんだい?僕のこと警戒してたんじゃないの?」
「鑑定スキル……」
「え?」
「だから、どうせ鑑定スキル持ってるんだろって言ってんだよ!このバカ王子!」


 俺はヤケクソで言う。
 ノア君完全にトバッチリである。


「いやいやいや、言ってなかった。それ絶対ってなかったよね!というか、どうして僕が王子だとわかったんだい?」


 今度はノアの方が警戒する。そうか、身分を隠して行動しているのか。キラキラオーラは全く隠せてないから、よく今までバレなかったなと言ったところではあるけど。


「どうもこうも、この世界に鑑定スキル持ちの人間なんて1人しかいないからだよ」
『おい。お前。説明省きすぎだぞ。いくらバレて自暴自棄になっているからと言って』
「はー。わかったよ。まあ、夜もはじまったばかりだし、ゆっくりして行ってよ」


 そう言って俺は、いつもの通り絶対領域食堂をだして、ルーカスと一緒に中に入る。


「心配するな。俺のスキルだ」
「確かに、君のスキルには[絶対領域食堂]っていうのがあるね。……わかった。君を信じて中に入るよ」


 覚悟を決めた目をして、ノアが入ってくる。彼は中に入ると目を丸くした。


「こ、これは?」


 ああ。そっか。この世界の人は最新家電とか見たことないから、そりゃ驚くよな。


『まあまあ、席に着けって』


 ルーカスは机の上に突っ伏しながらそういう。お前は逆にくつろぎすぎなんだよな。


 ♢  ♢  ♢  ♢  ♢


 ゴーレムに、パンを焼きさせながら、俺は夜食を作る。夜だし、体に優しく温まるものがいいと思い、コンソメスープにした。
 ここに来てからの気候は、昼は暖かく乾燥していて過ごしやすいけど、夜は冷え込むことが多いから寒いんだよね。
 時間がないので、具材はなしの手抜き。
 お湯を沸かしたところに、コンソメ顆粒、塩、黒こしょうを入れただけである。
 カリカリに焼いたパンを切ってクルトンがわりにすれば、結構美味しいのだ。


「暑いから、気をつけてね」
「わかった。……!美味しいスープだね。こんなスープ食べたことないよ。とてもあの短い時間でできたとは思えない」
『ああ。こいつの作る飯はいつもうまいぜ!』
「へー!」


 場が和んだことで、話しやすい雰囲気になったので、本題に入る。


「それで、本当に王子なの?ノア……様?」
「ああ。そうだね。僕の本当の名前は、ノア=ドライ。今年で10歳になる、ドライ王国の第二王子だ。それと、ノアでいいよ。今は訳あって身分を隠しているからね。呼び捨てにしてもらわないと困る」


 やはり、訳ありのようだ。


「わかった」
『なんで、身分を隠しているんだ?』


 ルーカスが遠慮なく聞く。


「あはは。もう潰したらしいけど、僕に対して暗殺計画が企てられてね。しばらく、身を隠していてほしいと言われていたんだよ」
「それって……、暗殺されるようなことでもしたの?」


 もしそうなら、出来るだけ関わりたくないんだけど。


「まあ、したと言えばした……かな?」


 ノアは言いにくそうにしている。


『ふむ』


 ルーカスが続きを促す。


「ほら俺って鑑定スキル持ってるでしょ?もっとも、うちの王国では、父上と兄上以外は誰も信じてくれないんだけどね。そのスキルを使って優秀な人材集めまくってたり、適材適所に人材を配置していたら、気づいたら僕を王にって声が大きくなりすぎてね。第一王子である兄上を押し退けて。それで一悶着あった訳だ」
「あーー」
「こちらの話はそんなところだよ。もう既に、父上と兄上が片付けてくれている筈だ。
2人とも[賢王]のスキルを持っているからね。外野がうるさいだけで、うちの家族関係は良好だよ。それより、君の話が聞きたいな。どうして、僕のことが王子だとわかり、鑑定スキルを持っていることも信じられたんだい?
 しかも、これほどスキルや加護に恵まれている人材など、見たことがない。加えて、神竜まで引き連れているときた」
「ああ……」


 確かに、向こうから見たらこっちの方が怪しいことこの上ないよな。
 どこまで話をしようか悩んだが、どうせ鑑定スキル持っている人間に隠し事をしたところですぐバレるだろうと思い、これまでの経緯を全部話す。


「ふむ。信じがたいが、僕がスキルで鑑定した結果と一致するね。君の5歳児とは思えない言動とも一致する。わかった。信じるよ」
「あの。それで、話しといてなんだけど、このことはどうかご内密に」
「あはは。心配しなくても大丈夫だよと思うよ。こんなこと話しても、神竜を率いていること以外は僕じゃなかったら相手にされないって」
「た、確かに」
「でも、もし不安なら取引しないか?」
「取引?」
「そうそう。お互い特殊なスキルを持ってる同士同盟を組もう」
『それは内容によるな。もし、こいつに変なことしたらお前らの国ごと滅ぼすぞ』
「あはは。それは大変だ」
「じょ、冗談で言ってないと思うんだけど」
「わかってるさ。内容は単純だ。リアム。君が僕の側近になるというのはどうだ?そのかわり、一緒にいる人たちのドライ王国での生活は保障しよう」
『人質を取って主人を拘束しようってか。やっぱこいつころ……』


 そうルーカスが言うと、涼しい顔をしていたノアが焦った顔をしていった。


「ま、まあ、待て。側近になったら、僕は君のことを見張るが、君も僕のことを見張れるというメリットがある。現状僕の秘密を知っているのは父上と兄上以外では君だけだし、君の秘密を知っているのは僕だけだ」
「た、確かに」『そう言われればそうだな』
「それに、ドライ王国は神竜を従えている君を丁重に扱わざるを得ないのは明白な事実だ」
「う、うん」『つまり…?』
「側近とはいえ、丁重に扱われるだろう」
『「た、確かに」』
「それに僕は第二王子。家を継ぐ必要もない。市井に下ることもできる。君が自由に生きたいと言うんだったら、出来る限り僕も君に合わせよう」
『そう聞くと悪くない話だな』
「決まりだな。では、交渉成立ということでいい?」
『別にいいとおも……』
「待って。一応考える時間をくれる?ドライ王国に着く前には結論を出すから」
「ああ。確かに。急に決断はできないよね。わかった。では僕は、これで失礼するよ」


 そう言ってノアは去っていった。


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[2018年アメリカで人気な男の子の名前ランキング]
 1位 リアム(意味:願望、欲望)←主人公
 2位 ノア(意味:心地の良い、慰め)←主人公
 8位 ルーカス(意味:光)←サポート
 

[キャライメージ]
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