3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中

文字の大きさ
15 / 85
2章⭐︎それぞれの役割編⭐︎

弱みゲット〜

しおりを挟む
-side リアム-



「それでは、ドライ王国に無事到着出来たことを祝して乾杯!」
「「「「「乾杯」」」」」


 ホームパーティ。日本ではあまり馴染みのない行事であるが、どうやらこちらの世界では日常的に行っている行事らしい。
 持ち寄りパーティを家で行うといえば分かりやすいだろうか?
 本来はパーティ会場を借りなければできないが、この世界では1軒1軒の家が広いからできるのだ。


 最初、ラルとアレクの2人で用意しているのかと思いきや、他の人たちも各々外に出て買い出しに行ったり、リビングを掃除して配置を変更したりと色々準備していたようだ。


 俺がきた時にはほとんど準備が終わっていて、後悔していた時、「皆様、リアム様に恩返しをしたくて、準備しているのですよ」とリサに言われ、「お前がいなければ、今頃逃げ遅れていた可能性もあるからな。道中飯も大量に食わせてもらったし、俺らなりの恩返しだ。受け取れ」とアレクに言われた。


 どうやら、今回のパーティの主役は俺だったらしい。最初の挨拶も俺が行った。上手くできただろうか?
 出てきた料理の品々はなかなかのものだった。この世界の食べ物は家庭料理でもオシャレな食べ物が多いらしい。


 こう言っては失礼だが、むさ苦しい印象のアレクが作ったとは思えない、彩り豊かのアボカドやトマト、キヌアが入ったサラダや、パルメジャーノ・レッジャーノの味に似たミノタウロスのチーズとトリュフがまぶしてあるパスタなどが出てきた。


 一般人が食べれるような品々ではない食べ物が「アレクが作ったものです」と出された時には、俺のことを騙しているのかと思った程である。
 思わず「嘘だあ!」と指差して言ったら、「嘘ついてどうするんだよ。おじさん、泣くぞ」と謎の脅しをかけられたので、流石に絶対に見たくないと手を引いた。


 たしかに周りを見てみても、これくらい作れて当然と言う感じで、みんな当然のように受け入れているし本当なのだろう。
 日本の感覚からすると、まだまだ料理が上手な男性というのはプロの料理人を除くとメジャーではない。
 だから、おっさん男性はオシャレな料理を作ることはできないと勝手に偏見を持って物事を見てしまっていたのかもしれない。


 転生をして、前世とは全く違う文化的価値観に触れ、いかに自分が偏見というものに囚われて生きているかということを実感した一場面であった。
 もちろん、ラルの料理は本職なだけあって流石というべき腕前だった。
 何がプロだなと思うかというと、まずこの短時間で作ったとは思えない程の品数だ。
 加えて見栄えの良さ、味付けの絶妙さ。具材の切り方一つとっても綺麗さが全然違う。


 スキルのおかげで、俺も前世に比べたら大分綺麗な野菜の切り方ができるようになったと思うが、元々才能がある人の切り方を見るとまだまだであると実感させられた。


 俺の作った酢豚も大変好評だった。
 自分で作った料理が一瞬でなくなるのを見るのは、最近の密かな楽しみになっている。



 その後、酢豚のお礼にと、たらふくみんなに料理を食べさせられた。
 そして、冒険者たちが酔っ払ったのを見計らって世話係組にそれとなく逃された。


 主にレオンの口調が、最初の方は、「食いな、食いな」だったのが、最後の方は、「大丈夫。俺たち悪い人たちじゃないでちゅからねー」に変化したのを見計らってである。


 隠れてコソコソパーティ飯を食べていたルーカスと一緒に部屋へ戻り、酢豚セカンドラウンドを開始した。


「さっきの、レオンの姿。スマホがあったら、絶対録画していた。この世界に映像保存用の魔道具はないの?レオンの弱みを握りまくれると思うけど」
『お前……前から思っていたけど中々に面白……、いや腹黒いこと考えるよな』
「またまたー。ルーカスも大概いい性格してるだろ?面白そうだなという本音がダダ漏れだよ」
『うぐ……。実は俺もさっきの様子を記憶保存魔法で記録していたからなんも言えねえ』


 ルーカスの、悪魔の魔法が料理を作っている最中に、発覚し、その後、夜中のテンションで寝るまでレオンの恥ずかし映像大会をやっていたのは俺とルーカスだけの秘密である。




 ♢  ♢  ♢  ♢  ♢




 その翌日。昨日夜中遅くまで起きていたこともあり、まだ眠かったが、無理矢理体を起こす。隣では、ルーカスもまだ眠っている。
 寝ぼけたままリビングに行くと、レオンが起きていた。


「おはよう」
「おう、リアムか。おはよう」


 朝起きて、親しい者が笑顔で挨拶してくれるのはいいものである。この際、昨日のことは勝手に一人で水に流そう。


「それで……、その人たちは」
「ああ。こいつらは、二日酔いだな」


 どうやら、他の人たちは世話係も含めて全員が二日酔いらしい。この調子だと、今日はみんなでお昼寝コースのようだ。


 暇になってしまうのも、なんだかなと思い、俺はこの国で出来る仕事探しをすることにした。なんやかんや、アインス王国では仕事を探せなかったからな。
 気を取り直してリベンジである。
 手始めに、レオンに声をかけてみる。
 するとレオンにまた、「弟子になれ」と言われた。


 そういえば、昨日の映像に、“Sランクの冒険者の弟子になるのがいかに凄いかを語る酔っ払ったレオン様の映像”があったな。
 後で見返そう。水に流すのはやっぱなしということで。


 確かSランクの弟子は、上級貴族にも匹敵するくらい大きな後ろ盾を得ることになるみたいなことを言っていた筈だ。
 もっとも、それをコミカルに自慢していて、周りから突っ込みまくられていたのが面白すぎたのだが。


 一人で昨日のことを思い出し、黙っていたのを、返答を渋っていると勘違いされたのか、「まあ、とりあえず冒険者ギルドに行ってみようぜ」とレオンに言われたので、暇だったし散歩がてら、それもありかと思い、ルーカスを起こしてついていくことにした。


 ギルドの中に入る。


 ザワザワ…。


(おい、あれ。確か、“狂犬”レオンさんだよな。なんでこんなところに)
(知らねえのかよ。昨日アインス王国から来てしばらく、ドライ王国を拠点にするって噂になっていたぞ)
(おお。本当か。それなら、しばらく困っていた森の地竜の問題とかも片付くかもな。ありがたい)


 さっきから、すごい視線だ。
 比べては失礼だけど、この前アレクと一緒にいた時は大違いである。
 Sランク冒険者とはどれくらい強いのか俺には想像もつかないが、今の反応を見るに別格という感じなのだろう。
 すると、前方から慌てた様子でお偉いさんっぽい仕事が出来そうな美人が走ってきた。


「こんにちは。レオン様。本日はどのようなご用件でございますか?」
「ああ。ここにいるリアムを弟子に勧誘していてな。手始めに冒険者ギルドに連れてきたんだ」


 ザワッ……!


 その瞬間、聞き耳を立てていた冒険者が騒ぎ出した。--やられた。
 レオンは俺を弟子にすることを広めて断りづらくすることが狙いだったようである。


-----------------------------
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

水神飛鳥の異世界茶会記 ~戦闘力ゼロの茶道家が、神業の【陶芸】と至高の【和菓子】で、野蛮な異世界を「癒やし」で侵略するようです~

月神世一
ファンタジー
「剣を下ろし、靴を脱いでください。……茶が入りましたよ」 ​ 猫を助けて死んだ茶道家・水神飛鳥(23歳)。 彼が転生したのは、魔法と闘気が支配する弱肉強食のファンタジー世界だった。 ​チート能力? 攻撃魔法? いいえ、彼が手にしたのは「茶道具一式」と「陶芸セット」が出せるスキルだけ。 ​「私がすべき事は、戦うことではありません。一服の茶を出し、心を整えることです」 ​ゴブリン相手に正座で茶を勧め、 戦場のど真ん中に「結界(茶室)」を展開して空気を変え、 牢屋にぶち込まれれば、そこを「隠れ家カフェ」にリフォームして看守を餌付けする。 ​そんな彼の振る舞う、異世界には存在しない「極上の甘味(カステラ・羊羹)」と、魔法よりも美しい「茶器」に、武闘派の獣人女王も、強欲な大商人も、次第に心を(胃袋を)掴まれていき……? ​「野暮な振る舞いは許しません」 ​これは、ブレない茶道家が、殺伐とした異世界を「おもてなし」で平和に変えていく、一期一会の物語。

ホームレスは転生したら7歳児!?気弱でコミュ障だった僕が、気づいたら異種族の王になっていました

たぬきち
ファンタジー
1部が12/6に完結して、2部に入ります。 「俺だけ不幸なこんな世界…認めない…認めないぞ!!」 どこにでもいる、さえないおじさん。特技なし。彼女いない。仕事ない。お金ない。外見も悪い。頭もよくない。とにかくなんにもない。そんな主人公、アレン・ロザークが死の間際に涙ながらに訴えたのが人生のやりなおしー。 彼は30年という短い生涯を閉じると、記憶を引き継いだままその意識は幼少期へ飛ばされた。 幼少期に戻ったアレンは前世の記憶と、飼い猫と喋れるオリジナルスキルを頼りに、不都合な未来、出来事を改変していく。 記憶にない事象、改変後に新たに発生したトラブルと戦いながら、2度目の人生での仲間らとアレンは新たな人生を歩んでいく。 新しい世界では『魔宝殿』と呼ばれるダンジョンがあり、前世の世界ではいなかった魔獣、魔族、亜人などが存在し、ただの日雇い店員だった前世とは違い、ダンジョンへ仲間たちと挑んでいきます。 この物語は、記憶を引き継ぎ幼少期にタイムリープした主人公アレンが、自分の人生を都合のいい方へ改変しながら、最低最悪な未来を避け、全く新しい人生を手に入れていきます。 主人公最強系の魔法やスキルはありません。あくまでも前世の記憶と経験を頼りにアレンにとって都合のいい人生を手に入れる物語です。 ※ ネタバレのため、2部が完結したらまた少し書きます。タイトルも2部の始まりに合わせて変えました。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

処理中です...