3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜

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2章⭐︎それぞれの役割編⭐︎

偶然通りがかった通行人のモノマネ

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-side リアム-



 異常にメッセージ性の強い光。その光を見ると不思議だが、俺が今何をするべきなのか自然とわかるような気がした。
 

「レオン。ルーカス。シルバー。多分だけど、俺はあそこに大事な用事がある。様子を見に行きたい」
「いいぞ。俺も気になるし行くか」


 レオンは興味津々というように答えた。


『まじか。とすると主人はまさか……、いや、それは違うか』
『うむう。主人殿はこの前違うと言っておったからのう。しかし、その反応』
『勇者は似合わなさすぎるけど、なんか関係あるとみていいだろうな』
『そうだのう。此奴に勇者は無理だが、偶然通りかかった通行人くらいは演じ切れるか』
『あー。確かに。その線が濃厚か。だったら、今のうちに練習させとくか。その役目』


 一方なにやら、従魔達はブツブツと呟いている。雰囲気的にすっごい失礼なこと言われている気がするんだけど気のせいだろうか。


「2匹とも微妙な顔してどうしたの?」
『ああ……。主人。お前、勇者ではないんだよな?』
「え?そんなの俺に聞かれてもわかんないよ」
『確かにそれもそうだな。ふむ。おそらく、違うだろうな。しかし、うーむ。分からん』
「話の流れ的には、あの光って勇者召喚?」
『おそらくはだけどな!やっと来たっという感じだぜ』
『そうだのう。見るのは、200年ぶりくらいか。やっと勇者のお出ましか』


 2匹が呑気に話している。対して俺は気が気ではない。


「う、うん。そうだね。(おかしい。だったら俺が本能的に今からやろうとしていることって、人類の敵になることかもしれない)」
『お前、あそこでやることがあるんだろ?早く行こうぜ!』
『そうだのう』
「……どうした?リアム言いたいことがあれば言え」


 レオンは俺の異変に気づいたようだ。
 全く、やたらと勘が良くて本当に困る。
 俺は言葉をじっくりと選ぶことにした。


「……なあ。突然になるんだけど、俺はこの先人類の敵になるかもしれない。だから、今ここで殺してほしい」
「………。はあ?お前は何を言っているんだ?気でも狂ったのか?」


 確かに。口にして気づいたが厨二病満載のセリフだな。異世界でも同じ反応をされるらしい。今の俺、ただただ痛い奴だな。なんか、急に冷静になってきた。


『そんなこと俺が許すわけないけどな!お前はノート様の眷属なんだぞ』
『ロキ様の加護も持っておるしのう。生きてもらわんと困るのだ』


 2匹は怒っているようだ。親に対する侮辱行為と捉えられたか。というか、俺ノートの眷属だったのか。


「それより、本当に大丈夫か」


 レオンは本当に心配そうである。


『まあ、レオン落ち着けよ。どうせ此奴のことだから勇者召喚を見ないといけないと本能で悟ってパニクってるだけだ!』
『全く。主人殿はたかだか勇者召喚にモブとして巻き込まれることが決定したくらいで大袈裟だのう。どうせ偶然通りかかった通行人程度なんだろうし大丈夫じゃろうて』
「へ?そうなの?」
「あ。そうなのか。……よかったなリアム。世界の敵にならなくて」


 レオンがポンと肩を叩きそう言った。
 ……。もうやだ。俺一生お婿に行けない。


 ♢  ♢  ♢  ♢  ♢


 気を取り直して、勇者召喚が行われているであろう方向に向かう。途中、偶然通りがかった通行人の練習をルーカスに叩き込まれ、準備万端である。


「あそこ……か。……!!」


 俺達が本能的に分かった勇者召喚の現場に行くと、いきなり武装した勢力がきた。


『……!!今だのう。主人殿』
『……!!今だ!リアム。練習の成果を示す時だぞ!』


 従魔達が急かしてくるので俺も渾身のモノマネを披露する。


「う、うん。わ、わー(棒)。勇者様御一行ですか!(棒)ステキデスー!(棒)」


 ザワ……!!
 俺がこう言った瞬間、敵がざわついて俺に敵意を向けてくる。へ?何か俺やっちゃいましたか?(ガチトーン)


「なに?なぜお前が勇者召喚のことを知っている」
「え?なぜでしょうね」


 んん……?
 俺はルーカスの方を見る。


『[鑑定]あ、こいつら勇者とは無関係な奴らだ。やっちゃったぜ』
「やかましいわ。というか不味くないか?囲まれている」


 バチバチ……。ボオオ……。
 俺がそう言った瞬間、雷魔法や火魔法が飛んできた。
 あ、死んだと思った次の瞬間、『おー。』『ふぁーーあ。』と全くやる気のない声が念話で流れてきて、爆発音と共に辺り一帯が吹き飛んでいた。
 次の瞬間、周辺の現場に残っていたのは地下への隠し入り口だけだった。


「はえー。流石に死んだと思ったぜ」
「う、うん」


 俺たちが驚いている一方で、従魔達は我関せずと言った感じである。


「お前らさ、そんな“なんかやっちゃいましたか?”みたいな雰囲気してるけど、さっきの本気でやっちゃったことは消えないからな!」
『あ、バレたか』『むー。ケチくさいのう。助かったからいいではないか』


 全く反省する気がないな。此奴ら。
 どうしたものか。


「お前ら、そんなことしてないで、早く地下に行くぞ」
「あ、た、確かに。そうだね。行かないと」


 地下に続く階段を降りると、そこは大広間になっていた。物陰に隠れて観察する。
 なにやら、豪華な格好をした人達が沢山。
 おそらく、聖職者だろう。それも、かなり偉い人たちが集まっているとみた。
 そして、見知った顔が2人。


「ノア、ミラ」


 しかし、どうやら気絶させられているようだ。


『やっぱりか。薄々気づいていたがあいつが勇者なようだ。鑑定できなかったから、今までわかんなかったぜ』
『鑑定スキルを持っていると聞いた時点で、勇者ということは薄々気づいていたがのう』


 2人が、ノアのことを勇者だと断言した。
 しかし、なぜか直感的に俺はノアが勇者ではないことが分かった。分かったけど…。


「ち……違う。ノアは勇者ではないと思う。
 ……だけど、もしそうだとしたら」
「どういうことだ?リアム」
『勇者ではない?だが、鑑定結果にはそう出ているぞ』
『ああ。まだ、覚醒前っぽいけどな。って聞いてないみたいだな。おーい』


 そんな……そんなはずはない。だって。


「そんな。もし、弱きものが強きものになる条件が“転生”だったら、俺は一生あいつに会えないってことか?」


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