56 / 85
3章⭐︎新しい家族から学ぶ帝王学編⭐︎
早かった家出
しおりを挟む
-side リアム-
『お主……家での諸々はどうするのだ。我だけでヨルムンガルドを見つけるのは大変だから、着いてきてくれるのは助かるが』
「放っておこう。そうしよう」
「それは……無責任じゃないか?ヘンリー様にはどう説明するつもりだよ」
「普通に真正面から堂々と訪ねて、許可を取ればいいかなと」
「取れるか?」
「そうは言っても、この家の人、誰も俺を止められないと思うんだけど」
「……。お前、シンプルに問題児だよな。手がつけられない分、余計に厄介だ」
「褒め言葉?」
「だったら、どうする?」
「夕飯一品増やす」
「交渉成立」
『おい、レオン。お前まで買収されると終わるぜ。だけど……。たしかにな。ごり押すというのは、アリかもしれない。みんなで、探した方が早めに終わる。リアムの力、特にロキ様の加護があった方が探すのは楽になるだろうしな!』
「決まりだね。早速ヘンリー様に話をつけてくる」
「お、おう。こういう時だけは元気いいのなお前……」
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
というわけで、早速、ヘンリー様の書斎の目の前に来ている。
「ヘンリー様。リアムです」
「……。ちょっと待て。その入ってくる際の淡々とした言い方。なんか嫌な予感しかしないんだが。お前にしては妙に改まっているというか……通さなくてもいいか?」
色々と失礼な人だな。俺がそんなことするやつだということは何も間違ってないけど。むしろ大正解すぎて、ただただすごいですけど。
「え?ダメですけど。というか、勝手に入りますね」
「……。元々、親の威厳なんて最初からなかったのかもしれないな」
ヘンリーが落ち込んでいるのを若干可哀想だと思いつつも、護衛に通してもらう。
「あの……しばらく勉強をお休みして、旅に出たいんですが」
「お、おう。そうか。いずれ、こういうこと言い出すのは想定の範囲内だったがな。早すぎないか?まだ、うちに来て3ヶ月も経ってないぞ。それにまだまだ……学園に入る前に、お前に教えることが山ほどあるんだがな。金勘定に関しては俺よりお前の方が良くできているから何もいえないが。この前のパーティだってコネ作りのために行なったが、結局招待した同い年の子とは仲良くなっていないって話ではないか」
ギクリッ……!!同い年くらいの子と仲良くするの面倒くさがってたの、もろばれてた。言い訳になってしまうが、今の俺は5歳児。転生者なこともあって、流石に同い年くらいの子相手はキツイ。
同年代の子と比べても、おそらく相当賢いであろうノアですら10歳だから、少なくともそれまでは話し相手ならないだろう。
だから、関わっていなかった。
けど、父上の言っていることも分かる。
幼い頃から知り合っていて、仲良くしておくというのが、信頼関係を作る上で役に立つことは事実。だからといって、頻繁には遊び相手になりたくない。絶妙な距離感が大切だから、そこを探っていたのだ。
ただ、それを説明するのは面倒なので、とりあえず、笑って誤魔化す事にした。
「あはは……、まあほら。俺の友達なんてノアとミラだけいれば十分というか……、ね?」
「はい、言い訳だな」
「ぐう……!!ドヤ顔精神攻撃は卑怯です。父上」
「言っとくけど、卑怯度で言ったらお前の方だからな?……っとその顔は気付いているか。それで、どこへ行く?場所によっては護衛をつけるが」
反対すると言えないあたり、自分の立場をよく分かっていらっしゃる。俺が卑怯だという事も承知の上でこのような提案をしてくれているのだ。我が父ながら、いい父すぎるな。
「それが……、分からないんです。その……ヨルムンガルドを探しに行くので」
「はあ!?ヨルムンガルド探しに。なんと羨ましいっ…!!その……お、俺も行きたいのだが」
「ダメですよ。ヘンリー様」
隣の執事が諌める。ヘンリー様もSランクの冒険者だからな。どうせ、ヨルムンガルドと戦いたいとか言い出すんだろう。
「ぐ……。し、しかし……我が息子のこと心配で心配で仕方がないのだ」
「はいダウト。絶対、ヨルムンガルド探しに行きたいだけですよね」
「う……でも、さ、流石にそれは本当だぞ。お前だけでは心配だろう」
「確かにそれもそうですけど。でも、わざわざ、この屋敷の当主である父上が行く必要はないですよ?ルーカスも、シルバーもレオンも、一緒ですし。俺自身もそこそこ強いですし、大丈夫ですって」
「ただの驕り……と言えないところが、親としては辛いところだな。実際お前は強い。
だがこれだけは言わせてくれ」
緊張した面持ちでそう言われて、思わずごくりと息を呑む。きっと大事なことを言われるのだろう。
「…………………。俺も連れて行ってくれ!!」
「大事な言葉を期待して損しました。父上。
はあ、わざわざ、土下座までして頼み込まなくても、流石に連れて行きますって」
「本当か?よっしゃあ!!」
「でも仕事はどうするんですか?」
「そういう時のための代官だろう。大丈夫だ。俺がいなくても世界は回るもの」
大丈夫だろうか?この領主。
「はあ……分かりました。後のことはこちらでお任せください。では、リアム様、レオン様、ヘンリー様の臨時パーティでのご出発という事で王国に報告いたします」
おお、出来るな。この執事。
「頼んだ」
「ですが、おそらく臨時とはいえ、王国最強のパーティになるでしょう。最短で許可は出ると思いますが、帰って来た時、大事になる事だけは覚悟しといてください。手ぶらで帰って来るとかは許されないですからね」
執事が溜息混じりにそう言う。思ったよりも大事になってしまったようだ。
「もちろん。分かっている。実の息子に格好悪いところ見せれないからな。リアム。父ちゃん頑張るからな!!」
そう言って、父上は当主としての貴族の顔から冒険者としての顔になる。
おお……こうやって見ると、面倒見のいい先輩冒険者という感じあってかっこいいな。
「頼りにしてます!よろしくお願いします!」
どんな冒険者になるだろうか?
いずれにせよ、2人の化け物級冒険者から色々学べるのだ。
俺も楽しみで仕方がないな!
----------------------------------
『お主……家での諸々はどうするのだ。我だけでヨルムンガルドを見つけるのは大変だから、着いてきてくれるのは助かるが』
「放っておこう。そうしよう」
「それは……無責任じゃないか?ヘンリー様にはどう説明するつもりだよ」
「普通に真正面から堂々と訪ねて、許可を取ればいいかなと」
「取れるか?」
「そうは言っても、この家の人、誰も俺を止められないと思うんだけど」
「……。お前、シンプルに問題児だよな。手がつけられない分、余計に厄介だ」
「褒め言葉?」
「だったら、どうする?」
「夕飯一品増やす」
「交渉成立」
『おい、レオン。お前まで買収されると終わるぜ。だけど……。たしかにな。ごり押すというのは、アリかもしれない。みんなで、探した方が早めに終わる。リアムの力、特にロキ様の加護があった方が探すのは楽になるだろうしな!』
「決まりだね。早速ヘンリー様に話をつけてくる」
「お、おう。こういう時だけは元気いいのなお前……」
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
というわけで、早速、ヘンリー様の書斎の目の前に来ている。
「ヘンリー様。リアムです」
「……。ちょっと待て。その入ってくる際の淡々とした言い方。なんか嫌な予感しかしないんだが。お前にしては妙に改まっているというか……通さなくてもいいか?」
色々と失礼な人だな。俺がそんなことするやつだということは何も間違ってないけど。むしろ大正解すぎて、ただただすごいですけど。
「え?ダメですけど。というか、勝手に入りますね」
「……。元々、親の威厳なんて最初からなかったのかもしれないな」
ヘンリーが落ち込んでいるのを若干可哀想だと思いつつも、護衛に通してもらう。
「あの……しばらく勉強をお休みして、旅に出たいんですが」
「お、おう。そうか。いずれ、こういうこと言い出すのは想定の範囲内だったがな。早すぎないか?まだ、うちに来て3ヶ月も経ってないぞ。それにまだまだ……学園に入る前に、お前に教えることが山ほどあるんだがな。金勘定に関しては俺よりお前の方が良くできているから何もいえないが。この前のパーティだってコネ作りのために行なったが、結局招待した同い年の子とは仲良くなっていないって話ではないか」
ギクリッ……!!同い年くらいの子と仲良くするの面倒くさがってたの、もろばれてた。言い訳になってしまうが、今の俺は5歳児。転生者なこともあって、流石に同い年くらいの子相手はキツイ。
同年代の子と比べても、おそらく相当賢いであろうノアですら10歳だから、少なくともそれまでは話し相手ならないだろう。
だから、関わっていなかった。
けど、父上の言っていることも分かる。
幼い頃から知り合っていて、仲良くしておくというのが、信頼関係を作る上で役に立つことは事実。だからといって、頻繁には遊び相手になりたくない。絶妙な距離感が大切だから、そこを探っていたのだ。
ただ、それを説明するのは面倒なので、とりあえず、笑って誤魔化す事にした。
「あはは……、まあほら。俺の友達なんてノアとミラだけいれば十分というか……、ね?」
「はい、言い訳だな」
「ぐう……!!ドヤ顔精神攻撃は卑怯です。父上」
「言っとくけど、卑怯度で言ったらお前の方だからな?……っとその顔は気付いているか。それで、どこへ行く?場所によっては護衛をつけるが」
反対すると言えないあたり、自分の立場をよく分かっていらっしゃる。俺が卑怯だという事も承知の上でこのような提案をしてくれているのだ。我が父ながら、いい父すぎるな。
「それが……、分からないんです。その……ヨルムンガルドを探しに行くので」
「はあ!?ヨルムンガルド探しに。なんと羨ましいっ…!!その……お、俺も行きたいのだが」
「ダメですよ。ヘンリー様」
隣の執事が諌める。ヘンリー様もSランクの冒険者だからな。どうせ、ヨルムンガルドと戦いたいとか言い出すんだろう。
「ぐ……。し、しかし……我が息子のこと心配で心配で仕方がないのだ」
「はいダウト。絶対、ヨルムンガルド探しに行きたいだけですよね」
「う……でも、さ、流石にそれは本当だぞ。お前だけでは心配だろう」
「確かにそれもそうですけど。でも、わざわざ、この屋敷の当主である父上が行く必要はないですよ?ルーカスも、シルバーもレオンも、一緒ですし。俺自身もそこそこ強いですし、大丈夫ですって」
「ただの驕り……と言えないところが、親としては辛いところだな。実際お前は強い。
だがこれだけは言わせてくれ」
緊張した面持ちでそう言われて、思わずごくりと息を呑む。きっと大事なことを言われるのだろう。
「…………………。俺も連れて行ってくれ!!」
「大事な言葉を期待して損しました。父上。
はあ、わざわざ、土下座までして頼み込まなくても、流石に連れて行きますって」
「本当か?よっしゃあ!!」
「でも仕事はどうするんですか?」
「そういう時のための代官だろう。大丈夫だ。俺がいなくても世界は回るもの」
大丈夫だろうか?この領主。
「はあ……分かりました。後のことはこちらでお任せください。では、リアム様、レオン様、ヘンリー様の臨時パーティでのご出発という事で王国に報告いたします」
おお、出来るな。この執事。
「頼んだ」
「ですが、おそらく臨時とはいえ、王国最強のパーティになるでしょう。最短で許可は出ると思いますが、帰って来た時、大事になる事だけは覚悟しといてください。手ぶらで帰って来るとかは許されないですからね」
執事が溜息混じりにそう言う。思ったよりも大事になってしまったようだ。
「もちろん。分かっている。実の息子に格好悪いところ見せれないからな。リアム。父ちゃん頑張るからな!!」
そう言って、父上は当主としての貴族の顔から冒険者としての顔になる。
おお……こうやって見ると、面倒見のいい先輩冒険者という感じあってかっこいいな。
「頼りにしてます!よろしくお願いします!」
どんな冒険者になるだろうか?
いずれにせよ、2人の化け物級冒険者から色々学べるのだ。
俺も楽しみで仕方がないな!
----------------------------------
57
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業で心も体もすり減らしていた青年・悠翔(はると)。
日々の疲れを癒してくれていたのは、幼い頃から大好きだったゲーム『ほのぼの牧場ライフ』だけだった。
両親を早くに亡くし、年の離れた妹・ひなのを守りながら、限界寸前の生活を続けていたある日――
「目を覚ますと、そこは……ゲームの中そっくりの世界だった!?」
女神様いわく、「疲れ果てたあなたに、癒しの世界を贈ります」とのこと。
目の前には、自分がかつて何百時間も遊んだ“あの牧場”が広がっていた。
作物を育て、動物たちと暮らし、時には村人の悩みを解決しながら、のんびりと過ごす毎日。
けれどもこの世界には、ゲームにはなかった“出会い”があった。
――獣人の少女、恥ずかしがり屋の魔法使い、村の頼れるお姉さん。
誰かと心を通わせるたびに、はるとの日常は少しずつ色づいていく。
そして、残された妹・ひなのにも、ある“転機”が訪れようとしていた……。
ほっこり、のんびり、時々ドキドキ。
癒しと恋と成長の、異世界牧場スローライフ、始まります!
異世界転生旅日記〜生活魔法は無限大!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
農家の四男に転生したルイ。
そんなルイは、五歳の高熱を出した闘病中に、前世の記憶を思い出し、ステータスを見れることに気付き、自分の能力を自覚した。
農家の四男には未来はないと、家族に隠れて金策を開始する。
十歳の時に行われたスキル鑑定の儀で、スキル【生活魔法 Lv.∞】と【鑑定 Lv.3】を授かったが、親父に「家の役には立たない」と、家を追い出される。
家を追い出されるきっかけとなった【生活魔法】だが、転生あるある?の思わぬ展開を迎えることになる。
ルイの安寧の地を求めた旅が、今始まる!
見切り発車。不定期更新。
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる