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4章⭐︎学園編⭐︎
褒められられてない俺
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-side リアム-
「さっすがリアム!」
「強いね」
「……ま、まあ」
『意外とこいつ褒められられてないのウケるぜ!』
うっさいやい。
「リアム君、流石でしたよ」
「カーティス先生!」
「“攻撃こそ最大の防御”と仮説に書かれた時は面食らいましたが、有言実行ですね」
「は、はひぃ!」
先生に褒められた!良かったあ!
『やっぱり全然褒められられてないみたいですね』
『意外とかわいいのう』
よせやいっ!かわいいより、かっこいいって言われたい!
そんな調子で浮かれていると、先生は--パンパンッ!と手を叩く。
「以上で戦闘訓練を終了する!この結果は後日、クラス分けに反映される!」
ほほう。俺とノアは顔を見合わせてはしゃぐ。
「--って事は俺らは当然Sクラスって事!?」
「--だよね?当然だよね?」
「そこ!うるさい!廊下に立ってろ!」
「「--ゲッ!」」
「……素行が悪くて能力ある奴って厄介よねえ……」
後ろでリリーが何かを呟いたのを尻目に廊下に連れ出されたのだった。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
「ただいまー!」
「おお、リアムか。おかえり」
「学校はどうだ?リアム?」
「レオン!」
「今日能力試験があったよ!当然Sクラス!」
ふふん!とドヤ顔する。
父上は呆れた様子だ。
「あー……、あのなリアム。クラス変えは結構頻繁に行われるから、気をつけてな」
「--へ?」
学校で色々あった情報がいってるからか随分と父上厳しいことを言うじゃないか?
「そりゃあお前、入学試験で行われた心理学のテストをクリアしていたら、頻繁にクラスを変えるのは当然な事くらい分かるだろう?」
「は?」
「え?」
「あ、あはははは!そんなわけそんなわけないじゃないですか?」
俺は笑って誤魔化す。
「知っているか?」
--ジー
俺は思わず目を逸らす。
「今お前、嘘をついている行動しかしていないぞ」
「ぐはっ……!」
「はあ……、まあいい、貴族たるもの、心理学くらい、当たり前に学んでおけ」
「わかりましたあ……」
そういっていつものようにセンシティブな話題をさらっと切り出す父上。
「学校でいじめが起こるメカニズムくらいは知っておいて損はないだろう」
「はあ?」
「まあ諸説あるがな、俺が推している通説でもいいか?」
「うん」
「まずな、人間の人間関係ってのはある程度符号で表す事ができる」
「ほうほう」
もしかして、ど理系の方ですか?とは、言えない。俺もレオンもそう言う気質があり、この場でこうやって話すことを疑問に思うものもいないからだ。
「好きを+、嫌いを-で表す」
「ふむ」
「AさんBさんの関係、BさんCさんの関係、AさんCさんの関係、それら全てが好きの+か、2つが嫌いの-の時のみ均衡が保たれ、居心地の良い関係、つまり友人関係が成り立つ。そして全ての人間がこの安定したバランスを保つ事を目指すと言う仮説を立てよう」
「へー」
本当に理系っぽいな。2つが-でも良いというのは、-と-でプラスと見なされるからだろう。
「今Aさんであるお前が、対象物であるCさんを好き、つまり+だとしよう。誰でもいい、クラスメイトの一人とか」
「ほうほう」
じゃあ、さっきの仮想戦闘訓練で最初に戦った人でいいか。
「ここに、Bさんのノア殿下がいてCさんを好きだったら+、嫌いだから-だとする」
「あー」
「察しの通り、全員+だったら、お前とノア殿下とCさんの関係は良好だし、ノア殿下がCさんが嫌いだった-の関係になるから、お前は-という均衡を保つために、Cさんを嫌いになる事を目指すだろう」
「まあ、ノアを敵に回すくらいならなあ」
「そうだな、この際、嫌いになる理由なんてなんでもいい、大体はノアが理由を提示してくれるはずだ。根本的な理由がバランスを保つためだからな」
「うわあ……」
「そうだ。それが広がるのがいじめだ。大体こう言う状況はシステムエラーによって起こる。閉鎖的で逃げられない環境で起こりがちだ」
「ほう」
「本来、そう言う状況では真っ先にノア殿下みたいな人を切るべきなんだ。誰かの悪口を言うって言うことは感情が抑えられない余裕や理性的になれず、未熟な証でもあるから、そう言うやつとビジネスをやっていても仕方がない。だが、閉鎖的な環境だとそれはしにくい」
「なるほど」
確かに、前世の世界のネット上で置き換えると配信者をAさん、アンチをBさん、リスナーをCさんって考えると、推しを傷つけるBさんを切るのが正解か。
そういう意味で、ネットくらい広い環境だと、攻撃的な人からはある程度、逃げられるし、いじめは起こりにくいのかもしれない。
あとは、開放感ある大学より、閉鎖的な高校の方がいじめは起こりやすいか。攻撃的な人からは、逃げられるもんね。
この世界の貴族はそう言うことを帝王学で既に勉強しているから、システムエラーが起こりにくいのか。
「まあ、現実のノア殿下は未熟どころか成熟しすぎてて、相手につけいられるような隙なんて見せないからそんな事は絶対に起こらない」
「確かに、あいつが悪口言っている姿は想像できない。なんか、全てを掌握してそう」
「そりゃお前、ノア殿下はお前と違って心理学なんて使いこなしまくってるからな。だから、貴族社会でも信頼が厚いんだ」
「なるほど……、え!?じゃあ、俺は貴族社会で全然信頼性がないって事!?」
「……」
「………」
「ま、まあ、まだ子どもだし、これから頑張れよ、リアム」
ガビョーン。戦闘スキル以外のメンタル面でもトレーニング頑張ろうと思った1日だった。
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「さっすがリアム!」
「強いね」
「……ま、まあ」
『意外とこいつ褒められられてないのウケるぜ!』
うっさいやい。
「リアム君、流石でしたよ」
「カーティス先生!」
「“攻撃こそ最大の防御”と仮説に書かれた時は面食らいましたが、有言実行ですね」
「は、はひぃ!」
先生に褒められた!良かったあ!
『やっぱり全然褒められられてないみたいですね』
『意外とかわいいのう』
よせやいっ!かわいいより、かっこいいって言われたい!
そんな調子で浮かれていると、先生は--パンパンッ!と手を叩く。
「以上で戦闘訓練を終了する!この結果は後日、クラス分けに反映される!」
ほほう。俺とノアは顔を見合わせてはしゃぐ。
「--って事は俺らは当然Sクラスって事!?」
「--だよね?当然だよね?」
「そこ!うるさい!廊下に立ってろ!」
「「--ゲッ!」」
「……素行が悪くて能力ある奴って厄介よねえ……」
後ろでリリーが何かを呟いたのを尻目に廊下に連れ出されたのだった。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
「ただいまー!」
「おお、リアムか。おかえり」
「学校はどうだ?リアム?」
「レオン!」
「今日能力試験があったよ!当然Sクラス!」
ふふん!とドヤ顔する。
父上は呆れた様子だ。
「あー……、あのなリアム。クラス変えは結構頻繁に行われるから、気をつけてな」
「--へ?」
学校で色々あった情報がいってるからか随分と父上厳しいことを言うじゃないか?
「そりゃあお前、入学試験で行われた心理学のテストをクリアしていたら、頻繁にクラスを変えるのは当然な事くらい分かるだろう?」
「は?」
「え?」
「あ、あはははは!そんなわけそんなわけないじゃないですか?」
俺は笑って誤魔化す。
「知っているか?」
--ジー
俺は思わず目を逸らす。
「今お前、嘘をついている行動しかしていないぞ」
「ぐはっ……!」
「はあ……、まあいい、貴族たるもの、心理学くらい、当たり前に学んでおけ」
「わかりましたあ……」
そういっていつものようにセンシティブな話題をさらっと切り出す父上。
「学校でいじめが起こるメカニズムくらいは知っておいて損はないだろう」
「はあ?」
「まあ諸説あるがな、俺が推している通説でもいいか?」
「うん」
「まずな、人間の人間関係ってのはある程度符号で表す事ができる」
「ほうほう」
もしかして、ど理系の方ですか?とは、言えない。俺もレオンもそう言う気質があり、この場でこうやって話すことを疑問に思うものもいないからだ。
「好きを+、嫌いを-で表す」
「ふむ」
「AさんBさんの関係、BさんCさんの関係、AさんCさんの関係、それら全てが好きの+か、2つが嫌いの-の時のみ均衡が保たれ、居心地の良い関係、つまり友人関係が成り立つ。そして全ての人間がこの安定したバランスを保つ事を目指すと言う仮説を立てよう」
「へー」
本当に理系っぽいな。2つが-でも良いというのは、-と-でプラスと見なされるからだろう。
「今Aさんであるお前が、対象物であるCさんを好き、つまり+だとしよう。誰でもいい、クラスメイトの一人とか」
「ほうほう」
じゃあ、さっきの仮想戦闘訓練で最初に戦った人でいいか。
「ここに、Bさんのノア殿下がいてCさんを好きだったら+、嫌いだから-だとする」
「あー」
「察しの通り、全員+だったら、お前とノア殿下とCさんの関係は良好だし、ノア殿下がCさんが嫌いだった-の関係になるから、お前は-という均衡を保つために、Cさんを嫌いになる事を目指すだろう」
「まあ、ノアを敵に回すくらいならなあ」
「そうだな、この際、嫌いになる理由なんてなんでもいい、大体はノアが理由を提示してくれるはずだ。根本的な理由がバランスを保つためだからな」
「うわあ……」
「そうだ。それが広がるのがいじめだ。大体こう言う状況はシステムエラーによって起こる。閉鎖的で逃げられない環境で起こりがちだ」
「ほう」
「本来、そう言う状況では真っ先にノア殿下みたいな人を切るべきなんだ。誰かの悪口を言うって言うことは感情が抑えられない余裕や理性的になれず、未熟な証でもあるから、そう言うやつとビジネスをやっていても仕方がない。だが、閉鎖的な環境だとそれはしにくい」
「なるほど」
確かに、前世の世界のネット上で置き換えると配信者をAさん、アンチをBさん、リスナーをCさんって考えると、推しを傷つけるBさんを切るのが正解か。
そういう意味で、ネットくらい広い環境だと、攻撃的な人からはある程度、逃げられるし、いじめは起こりにくいのかもしれない。
あとは、開放感ある大学より、閉鎖的な高校の方がいじめは起こりやすいか。攻撃的な人からは、逃げられるもんね。
この世界の貴族はそう言うことを帝王学で既に勉強しているから、システムエラーが起こりにくいのか。
「まあ、現実のノア殿下は未熟どころか成熟しすぎてて、相手につけいられるような隙なんて見せないからそんな事は絶対に起こらない」
「確かに、あいつが悪口言っている姿は想像できない。なんか、全てを掌握してそう」
「そりゃお前、ノア殿下はお前と違って心理学なんて使いこなしまくってるからな。だから、貴族社会でも信頼が厚いんだ」
「なるほど……、え!?じゃあ、俺は貴族社会で全然信頼性がないって事!?」
「……」
「………」
「ま、まあ、まだ子どもだし、これから頑張れよ、リアム」
ガビョーン。戦闘スキル以外のメンタル面でもトレーニング頑張ろうと思った1日だった。
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