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1.こじらせていることは自覚してます
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授業が始まる前の一年B組の教室。俺――宮下響は、黒板を背にして皆の前に立った。
「昨日の課題を集めますーー!」
俺が号令をかけると、クラスメイトから「はーい……」という声があがった。ちょっとダルそうな声だ。朝なのでテンションが低いのだろう。
授業前に皆の課題を集めて、教卓に置いておく。それがクラス委員である俺の毎朝の仕事だった。
今は五月の終わり。クラス委員としての役割にも慣れた。他にも諸々、委員長としての仕事はある。簡単にいえば雑用なのだが、中学の頃からクラス委員をやっていたので、特に苦だとは感じていない。
俺は、いわゆる委員長キャラだ。勉強ができて、真面目で、人望はそこそこあり、教師からも信頼されている。
ちなみに、外見は凡庸だった。黒髪で、モブ顔。地味なパーツが大人しく顔面におさまっている。身長は高くもなく、低くもなく。平凡を絵に描いたような容姿だった。
確かにモブ顔なのだが、自分ではそれなりに気に入っている。この顔と共に生きてきたので愛着があるのだ。
俺は、集まったノートの冊数を確認した。
「あれ? 一冊、足りない気が……」
数え間違いだろか。そう思ってもう一度、ノートを確認してみようとしたとき。
教室の後方から「委員長~~!」と、俺を呼ぶ声が聞こえた。
「何、どうした?」
俺が顔を上げると、男子生徒が椅子をギコギコと揺らしながら手を上げていた。
「まだ、玖堂が来てませーーん」
……なるほど。
俺は、窓側の一番後ろの席に視線をやった。そこが玖堂の席なのだ。残念ながら、というか案の定、彼の姿はなかった。
「じゃあ、足りないのは玖堂の分だな」
俺は納得して、集まったノートをまとめて教卓に置いた。
こんな風に、玖堂が遅刻することは珍しいことではない。彼には遅刻癖がある。たいてい二時間目が終わった頃に、ダルそうに登校してくる。
どんなにやる気がなさそうでも、眠そうな顔をしていても、パッと目を引く容姿をしている。
そう、玖堂碧斗というのは、かなりのイケメンなのだ。
くっきりとした二重瞼に、長い睫毛。すっと通った鼻筋のおかげで、彼の横顔は芸術品みたいに美しい。
瞳の色は、ちょっと明るめのブラウン。髪も同じ色だ。全体的に長さがあって、ときどき鬱陶しそうに髪をかき上げている。邪魔なら切れよ、と俺は見る度に思っている。
おまけに玖堂は長身だった。ごく普通のブレザーなのに、彼が着ると途端にハイセンスな制服になる。おそらく、スタイルが良いからそう見えるのだろう。
ネクタイは常にゆるゆるで、着崩しているのに野暮ったく感じない。自分の席に座っているだけなのに、ドラマのワンシーンみたいなのだ。
初めて玖堂を見たとき、あれ? 今、この教室って撮影現場で使ってます? イケメン俳優がいるんですけど……と、思わず錯覚したほどだった。
玖堂は、常に気だるい雰囲気を漂わせている。
いつもダルそうで、やる気が感じられない。エアコンの「省エネモード」のようだ。稼働はしているものの、勢いは皆無。何をするにも動作は緩慢だし、教室を移動するときだって、たらたらと廊下を歩いている。
玖堂を見ていると、リモコンの「強」を押したくなる。ダダダッと「強」を連打して、玖堂をキビキビと動かしたい衝動に駆られるのだった。
「昨日の課題を集めますーー!」
俺が号令をかけると、クラスメイトから「はーい……」という声があがった。ちょっとダルそうな声だ。朝なのでテンションが低いのだろう。
授業前に皆の課題を集めて、教卓に置いておく。それがクラス委員である俺の毎朝の仕事だった。
今は五月の終わり。クラス委員としての役割にも慣れた。他にも諸々、委員長としての仕事はある。簡単にいえば雑用なのだが、中学の頃からクラス委員をやっていたので、特に苦だとは感じていない。
俺は、いわゆる委員長キャラだ。勉強ができて、真面目で、人望はそこそこあり、教師からも信頼されている。
ちなみに、外見は凡庸だった。黒髪で、モブ顔。地味なパーツが大人しく顔面におさまっている。身長は高くもなく、低くもなく。平凡を絵に描いたような容姿だった。
確かにモブ顔なのだが、自分ではそれなりに気に入っている。この顔と共に生きてきたので愛着があるのだ。
俺は、集まったノートの冊数を確認した。
「あれ? 一冊、足りない気が……」
数え間違いだろか。そう思ってもう一度、ノートを確認してみようとしたとき。
教室の後方から「委員長~~!」と、俺を呼ぶ声が聞こえた。
「何、どうした?」
俺が顔を上げると、男子生徒が椅子をギコギコと揺らしながら手を上げていた。
「まだ、玖堂が来てませーーん」
……なるほど。
俺は、窓側の一番後ろの席に視線をやった。そこが玖堂の席なのだ。残念ながら、というか案の定、彼の姿はなかった。
「じゃあ、足りないのは玖堂の分だな」
俺は納得して、集まったノートをまとめて教卓に置いた。
こんな風に、玖堂が遅刻することは珍しいことではない。彼には遅刻癖がある。たいてい二時間目が終わった頃に、ダルそうに登校してくる。
どんなにやる気がなさそうでも、眠そうな顔をしていても、パッと目を引く容姿をしている。
そう、玖堂碧斗というのは、かなりのイケメンなのだ。
くっきりとした二重瞼に、長い睫毛。すっと通った鼻筋のおかげで、彼の横顔は芸術品みたいに美しい。
瞳の色は、ちょっと明るめのブラウン。髪も同じ色だ。全体的に長さがあって、ときどき鬱陶しそうに髪をかき上げている。邪魔なら切れよ、と俺は見る度に思っている。
おまけに玖堂は長身だった。ごく普通のブレザーなのに、彼が着ると途端にハイセンスな制服になる。おそらく、スタイルが良いからそう見えるのだろう。
ネクタイは常にゆるゆるで、着崩しているのに野暮ったく感じない。自分の席に座っているだけなのに、ドラマのワンシーンみたいなのだ。
初めて玖堂を見たとき、あれ? 今、この教室って撮影現場で使ってます? イケメン俳優がいるんですけど……と、思わず錯覚したほどだった。
玖堂は、常に気だるい雰囲気を漂わせている。
いつもダルそうで、やる気が感じられない。エアコンの「省エネモード」のようだ。稼働はしているものの、勢いは皆無。何をするにも動作は緩慢だし、教室を移動するときだって、たらたらと廊下を歩いている。
玖堂を見ていると、リモコンの「強」を押したくなる。ダダダッと「強」を連打して、玖堂をキビキビと動かしたい衝動に駆られるのだった。
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