婚約者の姉を婚約者にしろと言われたので独立します!

ユウ

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1.国外追放

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この国では赤い薔薇は求婚の意味を示していた。


「アイリス、どうか受け取ってくれるか」


「ユーリ様…」


男性側が赤い薔薇の告白をして、求婚をした後、返事は薔薇で返すのが決まりだった。


アイリスは薔薇を一輪差し出す。


「ありがとう」

「いえ…ですが」


泣きそうな表情をするアイリスに俺は愛しさが込み上げてくる。
ずっと耐え忍んでいたのだろう。

こんな顔をさせるなんて俺は婚約者失格だ。


「許して欲してくれ。君にこんな顔をさせて…すべては俺が不甲斐ないばかりに、侯爵家を説得できずに」

「いえ…いいえ!ユーリ様は悪くありません」

「俺と共に生きてくれるか?俺は家を捨てる。貴族でなくなるだろうが」


「はい、勿論です」

差し出された白薔薇を握りしめる。
赤い薔薇の返事が白薔薇であれば告白を受け入れると言う意味合いを持つ。


「待って…ユーリ様!」


「そういうことです。申し訳ありませんが私は貴女と婚約出来ません」


アイリスを抱きしめながら背後で固まるステンシル侯爵一家。

流石というべきか早々に正気に戻ったイライザに呆れるのを通り越して尊敬するな。


「ご自分が何を言っているのかお解かりですの?」

「ええ」

「貴族を捨てる気ですの?正気の沙汰とは思えませんわ」


「私はこの国の騎士。騎士団長を預かる身として騎士道に反する行いはできません。婚約者を裏切りその姉と婚約なんて人として、男としても論外です」

「なんて事を!」

俺の言動はステンシル侯爵家を敵に回す行為かもしれない。
家族にも迷惑をかけるだろうし、この場には国王両陛下もおられる。


「陛下、ご無礼をお許しください」

「第二騎士団団長を務め、誰よりも王家に忠誠心が強いそなたは誰よりも誠実であると信じておる」

「貴方の人柄は知ってますわ。ですが、このような場でそのような事を申せばどうなるか解ってますね」


両陛下に膝をつき、最後の別れとなるのを覚悟した。
相手は侯爵家である以上は、俺自身も無傷で済むはずもない。


「お待ちください陛下!」

「待て、ハンス」

「しかし!」

第一騎士団隊長と、第三騎士団隊長の二人が俺を心配そうに見る。
幼少期から苦難を共にした友人でもある彼等は俺の行く末を心配してくれたのだろう。


「ユーリ・ウィンディア!そなたを国外追放とする!」

「貴族籍から除籍し、貴方の爵位、領地は全て召し上げます。そしてアイリス・ステンシル。貴女も同罪ですわ」


国王陛下の言葉に続き、王妃陛下がアイリスも同罪だと告げた後に俺達は貴族ではなくなった。


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