婚約者の姉を婚約者にしろと言われたので独立します!

ユウ

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2.非難

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「どういうつもりですの!」


早々に俺に文句を言うイライザ。
怒りの矛先は俺よりもアイリスに向いているが、彼女を責めるのは筋違いも甚だしい。


「アイリス!貴女って人は!」

「お止めください、ステンシル侯爵夫人。悪いのは私です。彼女は悪くない…私がアイリス以外を愛せなかった。私はを貫きます」

「なっ!」


真実の愛。
この言葉はイライザにとって最も不快な言葉だろう。

なんせ、この言葉で婚約者に捨てられたのだから。

「何を言って…」

「私は幼少期より、婚約を結びました。政略的な物でありましたが、お二人にはくれぐれも頼むと仰せでした」

「そっ、それは…」

「故に私はアイリスをいかなる時も愛すると誓いました。我がウィンディア家は代々騎士の一族。騎士の誓は絶対なのはご存じでしょう」


ウィンディア家は武官の家柄であり、聖騎士の称号を持つ俺は幼少期から騎士の鑑であれと教えられてきた。

「騎士として、男として、一度愛した婚約者を死ぬまで愛し抜くと」

「そんなの!」

「公の場でこのような真似をなさるなんて!イライザに…」

ステンシル侯爵夫人の怒りは最もだろう。
溺愛する長女に恥をかかせたのだから、覚悟はしていた。


「お止めくださいステンシル侯爵夫人」

「母上」

「この度の非礼は私の責任ですわ。こんなことになる前に止められなかった私の責任です」

「ウィンディア辺境伯爵夫人!」

「なんとお詫びしたらよいか解りません。いくら騎士道を貫いたとはいえ」

母上は辛そうに表情を歪めていた。
普段から紳士として振る舞い、騎士として恥じない行動をするように厳しく言われて来た。


俺のやり方は貴族令息として失格だろう。


「聖騎士として相応しい振る舞いをして来たのに残念だ。お前は勘当だ」

父上が冷たく告げる。
陛下に国外追放を命じられた時点で勘当となるのは決定している。


「申し訳ありません父上」

「そんな父上!兄上は…」

「止めろカディシュ」


俺を庇おうとする弟のカディシュが抗議するも、兄上が止めてくださった。

直情的で真っすぐすぎる弟は清廉潔白だが、非があるのは俺なので、ここで俺を庇えばカディシュの立場が悪くなるのだから。


「イライザ嬢、愚弟の非礼をお詫びいたします」

「ルカ―シュ様…」

慰めん言葉に涙ぐむ、イライザだったが…。

「弟は潔癖症なのです。誰でもいいわけではないのです」

「は?」

「いかに侯爵閣下の命令でも婚約者の姉と婚約と言われましても無理です」


詫びを入れながらも兄上は堂々とイライザを否定した。
遠回しにお前の婚約者に等死んでもなるかと訴えているような目だった。


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