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9.お嬢様の婚約者は騎士様~ロビンside①
しおりを挟む私の名前はロビン・キャンティー。
男爵家の長女で、実家は貧しかった事からステンシル侯爵家に侍女として働いていました。
私のお世話はステンシル侯爵家の次女。
アイリスお嬢様のお世話をする事で幼少期からお傍に仕えていました。
通常貴族令息や令嬢は、跡継ぎの場合は乳母や傍仕えの者がお世話をする。
しかし、ステンシル侯爵家の長女のイライザ様は、母君の手で大切に育てられていた。
次女のアイリス様は、忘れられた存在でした。
その下のローズマリー様も母君に可愛がられ慈しまれていたと言うのに。
貴族間でも兄弟や姉妹の各差別は波紋を呼ぶというのに。
跡継ぎとなる長子が優遇されるのは暗黙の了解でありますが、これ見よがしに贔屓をすれは確執が生まれるのは多くありました。
ただ、一番質の悪いのは自覚が無い事です。
ステンシル侯爵夫人は、アイリス様を蔑ろにしているのにその自覚が無いのです。
長女であり跡継ぎであるイライザ様を優先するのは当然だと言い放ち、美しく着飾り欲しい物は何でも与えられ。
すぐ下のアイリス様には何も得与えない。
貴族令嬢として美しい振る舞いが完璧な姉に対して、姉に劣るアイリス様に厳しい言葉を浴びせますが、決してアイリスお嬢様が悪いわけではありません。
だってそうでしょう?
幼い頃から母親の愛情に恵まれずほったらかいしにされ、家庭教師も雇っておられなかったのです。
しかも長女のイライザ様は第二王子との婚約が決まり、三女のローズマリー様も王族との婚姻が取り決められました。
ですが、次女のアイリス様はお二人の婚約者が決まった後に思い出したように婚約を取り決めたのです。
条件は次男であるこが絶対でした。
その考えは直ぐに理解できました。
奥様はアイリス様を姉君よりも身分の低い、跡継ぎにも慣れぬ殿方を据え置こうとしたのです。
表向きは跡取りの妻では大変だとか言いながらもアイリス様をこれ見よがしに貶しておられたのです。
ですが旦那様も悪いのです。
アイリス様の為に用意された教育費を奥様はイライザ様の為にお使いになっていました。
その所為でアイリス様のドレスはお古。
しかもわざと地味な物ばかりを着せて引き立て役にして、ローズマリー様にはドレスを新調する。
長女を最優先するだけならよかったのです。
ですが次女だけ差別するのであれば、社交界ではあらぬ憶測を呼びます。
お優しく聡明なアイリス様は幼少の頃から我慢する事が増え、笑って耐えしのぶ技が身についてしまったのです。
ですが、アイリス様は不幸ではありませんでした。
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