婚約者の姉を婚約者にしろと言われたので独立します!

ユウ

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29.帝国の聖女

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生活環境は落ち着いたとは言い難い。
伯母上に押し切られる勢いで、アイリスはナージャ叔母上の養女に迎えられた。


「お初にお目にかかります。シメリス帝国第三の皇女のナージャにございます」

「アイリスと申します」


柔らかい物腰と、永遠の乙女のような美しさを持つナージャ叔母上にアイリスも見惚れていた。


伯母上と母上とは異なり、叔母上は本当の淑女だ。
幼少期から聖女として祈りを捧げ俗世から隔離されているが、聖書を愛し、慈善活動を行い聖職者として振舞う故に独特の雰囲気がある。

穢れのない乙女のようで、甥の俺からしても少女のようだ。


「お久しゅうございます。叔母上」

「すっかり紳士ね?ユーリ」

二人と本当に血が繋がっているのか疑わしい程の物腰が柔らかい。

「この度は…」

「大変でしたね?姉から聞いております。ユーリが国を出るなど、よっぽどの事」

俺が言いたいことは解っている叔母上は多くは語らない。

「私は貴方が不義を行うような方とは思っておりません。ですから後悔してはなりませんよ…これも天のお導きです」

「はい」

「ですが、私に娘ができることは嬉しゅうございます。私の立場上難しかったので」

聖女として国を守る立場にある叔母上は結婚は難しいのでアイリスが養女となる事は喜ばしいのかもしれない。


「私は皇族以上の地位を持っています。故にアイリス様が私の義娘になるということは皇族の仲間入りになりとなります。立場は侯爵令嬢です…しかし今のままではなりません」

「…と申しますと?」

「アイリス様自身に独立をしていただかなくてはなりません。勿論ユーリもです」

独立とはどういう事だろうか?

「元よりユーリは独立して自身の力で成り上がる予定だったのでしょう?」

「はい」

「ならば夫婦そろってまずは独立を果たしていただきます」


叔母上の言いたいことは解った。
俺とアイリスに自身で地位を得ろとのことだ。

「婚約発表を行うまでにアイリス様には他国に認めさせるものを提示させなくてはなりません。ユーリも国民を納得させるだけの功績を見せつけるのです。そうすれば文句は言えませんわ」


「かしこまりました」

「大丈夫ですわ。ユーリは騎士としての役目を果たすだけ。アイリス様もこれまで培ってきた物がおありでしょう。私がサポートいたしますので」

「ありがとうございます」


ナージャ叔母上が手助けをしてくださるならば心強い。
神殿側を味方につけることができればと思っていたのだが、俺は知らなかった。


天使と呼ばれる叔母上はある意味で帝国一番の策士であることに。


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