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44.敵地へ
しおりを挟む皇帝陛下の代理として俺達は祖国の土を踏んだ。
随分久しぶりに感じるのはシメリス帝国での生活が馴染んでいる証拠だった。
「妃殿下、どうか我らにお任せください」
「ええ、頼りにしているわ」
今回の旅に同行してくれたのはこの騎士団の団長と副団長だった。
一人は女性騎士であるが、腕は申し分ない。
ただし見てくれはどう見ても男にしか見えないのだが。
「しかし、リリアン」
「はい」
「お前は本当に女性か…見れば見る程麗しい美剣士に見えるな」
「敵地に向かうのです、重装備で行かなくては」
彼女からしたら敵地になるのだろうか?
元祖国であり同盟国になる国でもあるのだから。
「従国でしかない国ですので威厳が必要です。万一殿下と妃殿下に無礼を働くなら剣の錆にしなくては」
「おいリリアン。同盟を壊す気か」
「妃殿下に無礼を働く場合は致し方ありません。ですが、公爵夫人からは許可を頂いております」
かなり上等な紙に直筆で書かれ皇族の紋章が書かれた誓約書を見せられる。
「何だこの五か条は!」
皇太子妃付き護衛騎士五か条。
その一、常に主の為に剣を掲げる事。
その二、主の剣となれ
その三、魔女を討て
その四、妃殿下の矜持を死んでも守れ
その五、妃殿下の騎士とあれ。
「魔女って何だよ」
「妃殿下を貶めた汚らわしい女です」
まずい。
伯母上は本気でイライザを殺す気だ。
肉体的な意味ではなく社会的地位を奪わせる気でいるのだ。
「これは…」
「いけませんね。追加しなくては。魔女を火炙りにと」
「そこか!」
ロビンはどんどん帝国の女性らしくなっていく。
「おいジャック、止めてくれ…って、何呑気にレース編みをしているんだ」
「精神統一です」
ブリチア王国についてからずっとしていたのか!
「綺麗な髪飾りですね」
「妃殿下の髪飾りを社交界で宣伝した後に、高値で売りつけようかと。帝国の流行にも敏感な女性は少なくないでしょう…妃殿下ブランドをブリチアに浸透させるんです」
「私の…ですか」
「フフッ」
どんどんジャックが壊れて行く。
こいつもイライザに対して思うところがある。
なんせ婚約期間中、届けさせたドレスを奪った事もあるのだから。
ドレスの一部はジャックが衣装設計までしていたのだが、そのドレスを奪われたり。
時には切り裂かれたりしていた事がある。
事故に見せかけイライザやローズマリーが行った陰湿な行動を今でも許せないだろう。
王宮に行けば必ず何らかの嫌がらせが待っている。
その時の対策はしているが、用心して置かなくてはならない。
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