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45.王宮にて
しおりを挟む完全装備で俺達は王宮にて出迎えられた。
「よく来てくれた」
「この度は遠路はるばると良くぞお越しくださいました」
国王陛下と王妃陛下が出迎えてくださり、その隣にはクレイル様とエラノーラ様もいる。
王族のトップが出迎える事で俺達の立場を周りもしらしめているようだった。
「この度は同盟を受け入れていただき誠にありがとうございます」
「もったいなきお言葉を感謝しますぞ」
周りの反応は多様だった。
両陛下の対応を良しとする者もいれば、腰が低すぎると思う者がいるだろうが。
今回の同盟は対等な物ではないのだから。
「この度の同盟の功労者でもある私の妻も同行させることができて安堵しております」
「私も嬉しく思います」
両陛下との挨拶が終わったら次はクレイル様とエラノーラ様だ。
お二人も決して前にはできないが王太子と妃殿下としての矜持を守りながら挨拶を交わす。
「この度はおめでとうございます。アイリス様」
「ありがとうございますエラノーラ様。まだまだ若輩者ながら、精一杯務めさせていただきたく思います」
アイリスも当たり障りなく挨拶をした後に俺はクレイル様と、アイリスはエラノーラ様も一緒に同盟についても話さなくてはならない。
「エラノーラ様、妻はまだ未熟故に、色々教えていただけると幸いです」
「まぁ、御謙遜を。帝国では政治にも関わり、殿下の補佐役を立派になさっていると聞いておりますわ」
「ご存じでしたか」
「私、隣国の情報は必ず耳に入れておりますのよ。特にシメリス帝国の医療発展にアイリス妃が貢献されていると。我が国も賢妃として憧れの的ですわ」
「もったないお言葉ですわ」
ポーカーフェイスではなく心から喜んでいるアイリスに俺も嬉しくなる。
「立ち話もなんです。お茶会の席を用意しましたので…どうぞ」
「ありがとうございます」
王妃陛下の好意によりお茶会に参加することになった。
しかしそこでわずかに睨みを聞かせてる貴族に視線を送る。
随分と不躾な視線だ。
ずっと馬鹿にしていた令嬢が今では同盟の皇太子妃で政治も口を挟めるのだから不愉快だろうな。
「王妃陛下、母より手紙を預かってまいりました。そしてこちらは同盟の暁にと」
「まぁ、ナージャ姫から?」
王族と侯爵家の家紋にもう一つ。
聖女の証を見せる。
「その紋章は…聖女様の!」
「我が妻の母は我が帝国の聖女だ。此度は遅れて視察に来るゆえに…代理を務めることになっている。妻の言葉は聖女の言葉なのでよろしく頼む」
「なっ…」
ここで脅しをかけておく。
皇太子妃というだけでは、心配だから聖女の代理であることもしっかり告げて置かなくては。
後から知らずに無礼をしたと言い訳をされても困るのだからな。
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