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49.無知な三女~ローズマリーside③
しおりを挟む辺境伯爵三男なんて大した出世も望めないと興味もなかったけど。
カディシュ様の噂は悪くなかった。
私と同年代の令嬢からは評価が高く、上の二人にはない音楽センスに芸術センスを持っていると聞かされた。
既にウィディア辺境伯爵領地の一部を任される程の優秀さらしく。
身目麗しく、物腰や柔らかく有望株であることも解った。
少し前までは子供で興味もなかったけど、久しぶりにも召して垢抜けたようにも思えた。
「見てカディシュ様よ」
「素敵ね」
「最近はご立派になられて、先日のお茶会でも素晴らしい采配を振るったとか」
社交界では一番の有望株だと噂が持ちきりで、私の婚約者には少しばかり身分が低いけど妥協できる範囲内だと思った。
「ごきげんようカディシュ様」
ただこの愛想の無さは何とかならないのかしら?
社交界でこんな不愛想に振舞っていてはこの先今くやっていけない。
「よろしければ私とお話しませんか。最近はお顔を見ないので心配してましたのよ」
「はぁ…」
「社交界にも滅多に顔を出さずに領地に引っ込んでらっしゃるのですもの」
私も社交界に出る機会はめっきり減ったけど、、それでも最低限は顔を出していた。
「携わっている事業が御座いまして」
「ですが、貴族の勤めは社交界に顔を出す事ですわ。これからはもっと顔を出してくださいませ。カディシュ様がお顔をお出しになられないので寂しゅうございました」
「ローズマリー様、貴女何を…」
「そうですわ!無礼な」
何が無礼なのよ?
傍にいた下級貴族の令嬢が私を睨んだ。
「節操がないのは姉だけでなく妹もですの?」
「は?」
「ご自分の婚約は破談になったので他の殿方を狙うとはなんと浅ましい事ですの」
そこに現れたのは、私の知らない令嬢だった。
「アンジェリカ様!」
「ごきげんよう!」
下級貴族令嬢は急いで挨拶を交わすも、私は言葉なんて交わしてやらないわ。
「アンジェリカ嬢、どうしたのです」
「どうにもこうにもありませんわ。ブリチア王国ではこのような礼儀がなってない令嬢もふんぞり返るのですか?これでは妃殿下が馬鹿にされますわ」
「なっ…無礼者!」
「まぁ、声を上げてなんてはしたないのかしら。知性の欠片もございませんわね」
なんなのこの女。
さっきからこの私に向かって無礼な。
「カディシュ様、私は妾を持つ事に反対はしませんわ。ですが、もう少しお選びになったらいかがでしょう?」
「は?妾ですって!この私が…」
「だってそうでしょう?さっきからカディシュ様に色目を使っていたから…もしかしてブリチア王国の令嬢は親しくもない男性にこのよう真似をなさるの?」
この女!
白々しい事を言いながら私を馬鹿にしているのね!
なんて無礼なの!
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