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20供物と女神の影
しおりを挟む肌に当たる風が冷たく感じる中、冬に突入する寸前だったのに粉雪がぱらつく。
「空にオオロラが…」
「異常気象だな」
何かを告げているのかと思いながらも今優先すべきは今日を生きることだ。
「アレク、引いているよ」
「ああ」
現在私達は氷をくり抜きワカサギ釣りをしていた。
食料は大事だ。
できるだけ旅先で食料を調達する必要があった。
「本当に釣れるのか」
「バッチリよ」
ワカサギは群れで集まるから水晶のような光る物をひっかけておけば…
「大量だ」
「おお!」
ふふん!
私の読みは正しかったようだ。
「ねぇアレク」
「何だ?」
「あそこにもっと大量なのが」
ふと私の視線の先で器用に魚釣りをしている二匹。
「ワフワフ!」
「アォーン!」
大量の魚を釣っている。
尻尾に餌でも巻き付けているのだろうか?
「あんな釣りの仕方もあるのね」
「いや…あれは魔力を集中させて磁石の原理を使っているんだ」
「へぇ、すごいな」
野生の犬かと思ったけどあの二匹はやっぱり魔獣なんだ。
でも魔獣って怖い存在だと聞かされていたけどこんなにも人に慣れているんだから間違っているよね。
「おいで二匹とも」
「ワン!」
「ワフっ!」
私が二匹を呼ぶと駆け寄ってくる。
「寒いから尻尾温めようね」
既に尻尾が凍り付いている。
折角立派な尻尾なのに。
「火の準備をしよう」
「お願い」
アレクが魔法で火の準備をしてくれたのでワカサギを天ぷらにした。
その前にいつも恒例のあれをしないと。
「豊穣の女神のノエル様、本日の収穫した魚の一部です。今日はこちらになります」
今日のお供えものだ。
「今日も糧をありがとうございます」
祭壇がないので丁度いい大きな石があるので、祭壇代わりにした。
勿論、毎度おなじみのお酒も用意した。
「さてと、私達のご飯の準備をしよう」
振り返り、アレクの元に行こうとした私は後でお供えしたそれを取りに行こうと思ったが…
「あ、そうだ…これも」
お花も添えるのを忘れた私は振り返ると天ぷらとお酒がふわふわ浮いていた。
「嘘…」
ふわふわういたお供え物は光と一緒に消えてしまった。
「消えちゃった…って何所に?」
もしかして豊穣の女神様が天に持っていってしまったのかな?
女神様は通常聖女や、神官様に等しい人にしか姿を見ることはない。
私のような凡庸な人間が女神様の声を聞くことはありえないと言われた。
でも、あの光景は間違いないわ。
「やっぱり女神様は近くにいらしたのですね」
なんて素敵なことだろうか
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