令嬢は大公に溺愛され過ぎている。

ユウ

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父の想い娘知らず

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派手に登場したセラフィーヌに一同は驚く。

「え?お父様!」

何故か隣にはプライム伯爵、セルジオがいる。

「グランツ侯爵との婚約話は馬鹿息子が言い出したこと」

「当初、私は渋っていた。名ばかりの侯爵家に嫁がせていいのかとな」

久しぶりに見る父に驚く。
娘に関心がないと思っていたのに真逆だった。

「グランツ侯爵は女癖が悪いことで有名だ。だからこそグランツ侯爵も若い娘の方が望ましいと馬鹿なことを言い出した。向こうが持ちかけた縁談と言うのに」

「当初、そなたは相当怒っていたな」

「当然でしょう。娘を馬鹿にされたのですから」

「お父様…」

なんの関心もなく愛されていないと思っていた。
だがその逆だった。


「アレーシャよ。セルジオはかなり不器用なのじゃ。そなたを庇えばさらに立場が悪くなると思って距離を置いたようじゃが‥‥この馬鹿垂れ!!」

「痛いです王太后様」

「本当に男はダメじゃな!そなたも素直になればよかったものを」

バシバシと扇でセルジオを叩き続ける。

「当時、領地の仕事で終われている際に危篤状態だった奥方から連絡が入った。領主としての役目を優先してくれと言われてな」

「母が!」

「さよう。本人は今にも飛び出す勢いだったらしいがな?仕事を放り出して」

「‥‥嫌がらせですか」

扇でも口元を隠しながらも笑うセラフィーヌ。

「まぁ、予定通りグランツ侯爵とその息子は阿呆だったおかげで計画は順調だったわ」

「補足すればあのピーナッツ娘にはちょうどいい。阿婆擦れ娘と花畑令息。お似合いではないか?」

「王太后様…」

上品に笑うどころか豪快に笑う姿に固まる。

「私は男の価値は妻で決まると思っていた。あの愚息も王妃がいたから一人前だったのじゃ。男は女を守ってこそかっこよく見える…レオンハルトを一人前にしたのはそなたへの愛じゃ」


貴族の結婚に愛だけではどうすることもできない。

それでも望んで好いた相手と共になれることは幸せなことだった。


「大公妃として嫁ぐ覚悟はあるかえ?」

「正直自信はありません」

「え?そんなあっさりと!!」

間髪入れずに言い放つアレーシャだったが、それは自信がないというだけではなかった。

「王の補佐は王弟殿下です。大公殿下は王を守る剣でもあります。その役目はただ貴族の令嬢だからと言ってと務まるものではないと心得ております」

「ああ、そうじゃ」

「ですが私はプライム家の長女としてこれまで資産家としての勉強を行い資産を増やす為に学んでおりました」

今は平和でも戦争が起きた時必要になるのは兵の数だった。

「万一兵を動かす為の財の確保、そして無駄に血を流すことないようにこの身が及ぶ限り尽くすことをお誓い致します」

騎士が君主に膝まづくのと同じように振る舞った。


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