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第二章聖女と勇者と巫女
21兄弟の絆
しおりを挟む婚約の準備が整い王宮に足を運ぶことになった。
謁見の前に一人呼び出されたオンディーヌは緊張しながら頭を下げる。
「初めまして、貴女がレグルスの恋人だね」
「オンディーヌと申します」
病床に臥していた王太子殿下、リュミエールはオンディーヌに優しい笑みを浮かべていた。
「この度はなんとお礼を申してよいか。どうか弟をお願い申し上げます」
「そのような…どうか!」
「私の心を弱いばかりに、これまでレグルスには苦労をかけてきた。加護を持たなかったのは女神の御意思であれど、私達の絆を何度も引き裂いた事を今でも恨んでいる」
穏やかな表情でありながらも言葉の一つ、一つに怒りを感じる。
(この方はお優しい方だわ)
少しの会話で読み取れる。
リュミエール自身がどれだけ苦しみ、レグルスとの関係に悩んでいた事が解る。
「私は弟を守りたかった…だけど自分の弱さに負け。できなかった」
「恐れながら…」
「構わない」
意見するのは恐れ多くも感じながらもリュミエールが許可をした。
「レグルス様も同じように思っておられるかと。人の心を試す洞窟で、殿下の偽物を見せられても変わらなかったと海皇より伺いました」
「私の?」
「はい、どんなに心が弱っても、保身の為に逃げるような方ではないと」
「そうか…本当に馬鹿な子だ」
手を顔で覆いながら泣きたくなった。
(私がすべてを奪ってしまったのに)
レグルスがどれだけリュミエールを慕っていたか知っている。
第一王子であるからではなく王となる覚悟と聡明さに民を思っているかも解っていた。
「レグルス様は政治には詳しくないともおっしゃっていました。加護を持っていなくとも、殿下が王に相応しいと。だからご自分は王家から消えるべきだと」
「大臣がレグルスを利用しようとしている事は解っていた…だが私はレグルスを」
「存じております。お互いに思い庇い合っていらした」
二人は正反対でありながらも大切の思い合い兄弟の絆を利用された。
今回の事もレグルスは自分の身を捨ててまでも助けようとしたのは王太子殿下の為じゃない。
兄を守りたかったからだった。
「私は王家から出てもレグルスとの縁を切る気はない。君達が自由に生きたいと言うならどんな手を使ってでも守ろう…だからせめて願いを聞いてくれるかい」
「はい」
「ありがとう」
形は違えど、思いは同じだと思いながらオンディーヌは隣国にいる兄を思った。
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