【完結】真実の愛に目覚めたと婚約解消になったので私は永遠の愛に生きることにします!

ユウ

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20.永遠の愛

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私はずっと、心を封じていた。
侯爵令嬢として、王太子妃として完璧な振る舞いを強要されて来た。

そうしなくては行けないから。
そうせざる得なかったからだし、今でも私は思う。

「ジークベルト殿下。私は侯爵令嬢として、愛の為にすべてを捨てることはできません。私は愛よりも理を持つべきだと思います」


感情は大事かもしれない。
けれど、愛の為ならば何をしても良いと言う考えは間違いだと思う。

「愛情だけではどうにもなりません」

「当然だ。理を持って政治を行う。理を犯して己の自己愛を優先する等身勝手な愛情だ。だからこそもう一度言う。理を持って愛場を失うことなく俺と共に歩んでくれ…この国の未来を守る為にも」


差し出された手はあの頃と同じ。

私が掴みたいと思った手と同じだった。


「真実の愛に破れた女です」

「では俺と永遠の愛を誓ってくれ」


私の言葉を受け入れながらも手を差し伸べるジークは諦めることはないようだった。

「君に相応しい男は俺以外にいないと思うが?自分で言うのもなんだが、辺境伯爵の爵位を得ている。王都から離れた場所で外敵を監視しながらも政治にも口出せる立場だ。これ以上の優良物件はないぞ」

「優良物件って何ですか」

「それに、君は王家の椅子に座っているのは似合わない。騎士としての才能を持ち、政治を行えるだけの頭脳を持っている。それだけの宝を無駄にする気か?」


私の小さなころの夢。
お父様のように騎士となり、国を守り政治にも精通できたらと願っていた。


「負けました」

「フッ、当然だ」


ここまで言われて断るなんてできない。

「よろしくお願いいたします」

「ああ、こちらこそ」


長い間苦しんだ時間。
先のない道を歩き続けていた私はたった一つの光に手を伸ばし続けた。


小さな光に手が届くようにと。


その光にようやく手が届いた気がした。


「共に生きて行こう。俺のティア」

「はい、ジーク」


私の光はあの時からこの人だった。
誰よりも国を思い憂いながらも皆の幸福を願い続けた一国の王子。


そして私の騎士様だった。


「お姫様には騎士はお約束だ」

「騎士ではなく王子様の間違いですわ」

「そうだな」


零れた涙はきっと悲しみの涙じゃない。
頬に伝う涙は幸福の涙でだで、私はようやく掴むことができた事に安堵した。



―――のだが。


「殿下、婚約しても正式な夫婦になるまで許しません。血判を押して誓ってください」

「おい…」

「正式な夫婦になるまでキスは手の甲までしか許しません。部屋で二人きりになる事も許しませんぞ!」


まだまだ問題は多いようだった。


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