【完結】真実の愛に目覚めたと婚約解消になったので私は永遠の愛に生きることにします!

ユウ

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64.立往生~エドガーside

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どうしてこうも悪い事が続くんだ。

私の心をとは反対に厭味ったらしい程の晴天に、呑気な船長にこれ以上無い程苛立ちが募る。


「いやぁ、本当に参ったな」

「本当ですね。予定よりものんびりした船旅になるとは」


こっちは早く国に戻らなくてはならないと言うのに!



「だが、帝国から今日は年に一度は船を出せない日だったんだから仕方ありませんよ」

「そうですね。帝国では海の生き物を感謝し労わる日が設けられてると聞く。しかもこの時期はシャチが繁殖期だったのなら小舟か、船も制限されているからな」

「貨物船ぐらいしか動けないなら仕方ないですね。そのかわり帝国に滞在できるなんて嬉しい限りです」


王族御用達の船に、船員達は根っからの船乗りだった。
その所為か、航海に関しては決まり事を徹底して、天候が悪ければ出向はせず、帝国に入る前にも航海する際に面倒な決まりごとがあっても破る事はない。


緊急事態ならば、押し通して当然と言うのに。


「お前達、何を呑気な事を言っている。緊急時なのだぞ」

「何がですか?アリスティア様は既に国境を越えて帰国されているならばお役御免では」

「我らの役目はアリスティア様のを迎えに行けと命令を受けていましたので何か問題が」


大問題だろうが!
あの忌まわしい男と共に帰国しているのだからな。


「ハハハッ!海は気まぐれだからな…そう急かすこともあるまいよ。小僧」

「なっ!」

この私を小僧だと!
なんと無礼な男なんだ。


「スミス船長!この度は誠にありがとうございます」

「滞在中に帝国の船に泊めていただくとは。光栄です!」


おい、お前達!
相手は帝国の格下の身分の者だぞ。

たかが船を操縦する爺に何を敬礼しているんだ。


「私はこのような大きな船は初めてです」

「私も長生きしていますが、帝国の技術は素晴らしいですな。特にこの船のデザインは美しい」


仮にもこいつ等は下級とはいえ、貴族だ。
貴族が平民に畏まるなどありえない事だと言うのに!


「そうか、そうか。存分に楽しんで行くとよい。この船は後にジークベルト様とアリスティア様の新婚旅行にも利用される予定だ」

「なっ!」


何を言っているんだこの爺は!


ティア様があの余所者とだと?


「やはりそうだったのですか」

「ジークベルト殿下とアリスティア様が」

「実にめでたい事だ。ジークベルト様は我が帝国の血筋を受け継いだ方。現皇帝陛下は叶うならばジークベルト様を立太子をと仰せだが、内乱を避ける為に断られてな」


馬鹿な…。


あの男の母親は貴族であるが、皇族の血は受け継いでいないはずだ。

何を言っているんだ!
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