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73.提案
しおりを挟む私達の計画は着実に進んでいた。
まず最初にロゼッタさんのご両親の安全を確保し、絶対に手が出せないようにした。
そして次にだが。
「ロゼッタさん、貴女は私の妹になりなさいな」
「え?」
「それが一番安全だな」
現段階ではご両親の身の安全が最優先だけど。
その次に優先すべきなのはロゼッタさんの身の安全だった。
「元よりティエゴ様は貴女を私の妹にするようにと命じておられました」
「ですが、それは…」
「今とは状況が違うが、君の身の安全を守るにはアルデンテ侯爵家の養女に迎えるのが一番安全だ。何、ほとぼりが落ち着けば領地で静かに暮らす事も可能だ」
ご両親を侯爵家で匿う事は簡単だった。
彼等の顔を知らない者も多いし、領地に住んでもらっても問題ない。
ロゼッタさんは出家して、静かに暮らすとも言っていたけど。
現段階では出家した後に貴族派の貴族が手を出してくる可能性。
ティエゴ様がまた良からぬことをして被害を受ける可能性が無きにしも非ずだからだ。
「でも…」
「例え養子に入ったからと言って、両親と引き離すような真似はいたしませんわ。でも、しばらくは我慢していただかなくてはなりません…家族を一度に守る方法としてはこれが最善なのです」
悔しいけど、完全な形で守ってあげるのは侯爵家に迎え入れる以外は難しい。
「ごめんなさいね…」
「そんな!ここまでしたいただいて申し訳なく思っています」
申し訳なく思う私とは反対に勢いよく頭を振るロゼッタさん。
「私の妹になるのは嫌かしら」
「いいえ…私はずっと一人で。本当は兄弟が欲しくて…でも、私は」
「難しい事は考えるな。君が嫌ならば断ればいい。それだけだ」
シンプルな言い方だけど、遠回しに助け舟をだしてくれたジークには感謝しかない。
「私でいいんですか」
「貴女がいいのよ」
私は両親の為にここまでの決断をした彼女を尊敬している。
そして同時にすごいと思った。
身分差別をするつもりはないけど、平民が王家に抗おうとするなんて誰にでもできない。
それに、今もティエゴ様への気持ちは残っているのに。
ロゼッタさんは家族を選んだ。
自分の恋を捨て、大切な家族を守る決断をした彼女だからこそ。
私は彼女を全力で守りたい。
「よろしくね」
「はい…はい!お姉様!」
今日で何度目になる涙か解らない。
だけどその涙は悲しみの涙ではない事が解り嬉しくなった。
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