【完結】真実の愛に目覚めたと婚約解消になったので私は永遠の愛に生きることにします!

ユウ

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75.仕組んだのは~ジークベルトside

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相変わらずの仕事の早い男だ。
ロゼッタの養子縁組を早々に終えて次の仕事に入るアルデンテ侯爵。


「策士が」

「何の事ですかな?私は娘が面会する少し前に彼等と話をしただけですぞ」


ティアの行動がすべて解っていたかのような言い分だな。

だが、俺もティアがロゼッタと和解すればその後にどうするかは解っていた。


平民のまま元の生活をさせてやりたいのは山々だが、既に貴族達に目をつけられている時点で無理だろう。


王都内の何処にいても奴らの手が伸びるのは明白だが、病気の母親と怪我をした父親では辺境地で生きるのも至難の業だった。


だからこそ、侯爵家の中に迎え入れて、侯爵領地内で暮らすならば問題ない。
もしくは傘下に入れるならば簡単に手を出す事は出来ないだろう。


「当初は侯爵領地内でと思いましたが、ロゼッタの母君は素晴らしい才能を持っていましてな」

「才能?」

「はい、侯爵家の料理長も唸らせるほどの美的感覚です。父君も料理の腕が素晴しい…手放すには実に惜しい人材です」


下町では貧しいながらも中々の評判の飲食店を営んでいたと聞く。
二人で店を回していたと聞くが、それ程の才能があったとは。


いや、待てよ?
ロゼッタも以前に食事に毒が混ざっているのを早い段階に気づいていた。

ならばかなりの鋭敏の舌の持ち主だった事になるな。


「人間性に関しても問題ありません。後に我が侯爵家の喫茶を任せても良いかと料理長が申しております」

「そうか」


万一、辺境地に住むことになったとしてもだ。

ある程度の地位を与え、侯爵家の息がかかっていれば手は出せないだろう。


「私も娘を持つ身としては、捨て置けませんでしたしな」

「当初は激怒していただろう」

「ええ、ですが…彼等と直接話をして判断しました」


腹黒であるが悪人ではない。
少しばかり偏った考えと娘命であるが、それさえなければ優秀な男だ。


「今回彼等は被害者ですし」

「そうだな」

ロゼッタに関しても、何も知らずに恋をした相手が王子だった。

だが、今は冷静になっている。


「こうなると少しあれが哀れになって来たが」

「そうですか?身から出た錆ですよ。いいではありませんか」


一応まだ王太子なんだがな!

「あんな薄情な男、知りませんな」

「かなり根に持っているだろ」

「当然です。死んでも忘れませんぞ」


自業自得とは思うが、少しばかりティエゴを哀れに思うな。

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