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77.いざ戦場へ
しおりを挟む王妃陛下に協力を得て、お披露目当日の日となった。
不安がないと言えば嘘になる。
それ以上に勝るのは胸がワクワクするわ。
お披露目をした後に貴族達が、ティエゴ様がどんな反応をするのか。
「悪い顔をしているぞ」
「ええ、今日から私は悪い女になりますの。噂通りにね?」
「知ってたか」
社交界で出回っている私の噂。
愛する二人を引き離そうとする悪女のように噂を流されている。
全ては彼の指金だろうけど、私を侮るのもいい加減にして欲しいわ。
私を甘く見過ぎていた事を後悔させてあげる。
王弟殿下も自分の立場を理解できていないようだから、ちゃんとした舞台で教えてあげるわ。
「ロゼッタ」
「はいお姉様」
「綺麗よ。自身を持ちなさい」
部屋にて美しく着飾られたロゼッタ。
以前は着せられている感じが否めなかったけど、今は違うわ。
ちゃんと着こなせている。
「ロゼッタ、今から向かうのは戦場。このドレスは言わば、戦装束よ」
「はい」
「貴女は陰湿な嫌がらせ、心無い言葉を言われるでしょう。大勢で陰口という刃が貴女の誇りを傷つけるかもしれないわ」
「…はい」
社交界とは恐ろしい場所。
決して華やかで素敵な場所ではないのだから。
だけど――。
「負けてはなりません。貴女はそんなくだらない連中の言葉に潰されるような花ではありません。誇りを持ちなさい、自信を持ちなさい、戦いなさい」
かつて私が戦い続けたように。
守る物があってすべきことをする為に、望む物を手に入れる為に。
「女の戦場で生き抜きなさい。貴女は守られるような弱い女性ではないはずよ」
「はいお姉様」
両親を守る為に戦う道を選んだロゼッタは強い。
自分の恋よりも両親を守る事を選んだ彼女が、負けるはずがない。
「これはお守りです」
「このペンダントは!」
「我が侯爵家の家紋が石の中に彫られています」
青紫の石がついたペンダント。
アルデンテ侯爵家の人間として証で私も形こそは違うが身に着けている。
「このペンダントが貴女を守ってくれますように」
「はい」
万一ロゼッタを罵倒する声があったとしてもこのペンダントが彼女を守ってくれるはず。
「お嬢様、馬車の準備が整いました」
「ええ」
こうして私達は魔の巣窟に向かった。
戦場で戦う為に覚悟を決め、アルデンテ家の家紋がついた馬車に乗り込んだのだった。
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