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93.私の返事~ロゼッタside
しおりを挟む国王陛下の言葉に私は迷いはなかった。
「ロゼッタ!」
なのにティエゴ様は私に縋るような目をしていた。
だけど、私はもう愛情を抱けなかった。
気の毒には思うけど、私は同情だけで彼を庇うことはできないのだから。
「そなたが望むならば、ティエゴとの婚約を認めよう」
「父上!」
周りの視線が私に向けられる。
「私はティエゴ様との婚約は望みません。私は侯爵令嬢となった暁には、義姉の補佐をさせていただきたく思います。婚約者も義父の許しを得ていなければしません」
「なっ!」
最初は出家の道を考えていた。
だけど、お父さんもお母さんも侯爵家の庇護を受けて近いうちに男爵の爵位を得ることになっている。
お父様はアルデンテ家の喫茶部門を任されることが正式に決まったのだから。
私も好きに生きるように言ってくれた。
自分達はもう気にしなくても良いとまで言ってくれたし。
「私は貴族の掟に従います」
「そうか、良くぞ結審した」
「見事な返答ですわ。この短期間で良く成長しましたね」
「短い期間ですが、色々勉強させていたております」
お姉様の教えの通り、常に笑顔で余裕の態度を見せる事。
誰になんて言われても笑顔こそが最大の武器だと言う意味が解ったわ。
「君は僕を裏切るのか!」
「ティエゴ様、私の妹を侮辱なさる気ですの?これ以上は許しませんわよ」
「なっ!」
お姉様が私を庇う様に前に出てくださった。
「ロゼッタ、立派でしたわよ。良く言いましたわ」
「はい…」
「私が嫁いだ暁には貴女を迎える準備をしておきます」
「待っている」
嬉しい。
お姉様にジークベルト様は私を迎えようしてくださっている。
「これで円満に終われますね」
「エリシア!」
拍手が送られる中、エリシア様が笑みを浮かべられる。
「うむ、誠に良き事だが役者が足りぬのではないか?」
「なっ…誰だ!」
何時の間にか音もたてずにその場にいらしたのは。
「まだ一人忘れておる故に、スペシャルゲストを用意してやった。坊主の為に」
「なっ…何処の老害だ。無礼者!」
「老害?それは私の事か?」
「伯父上を老害だと…なんと無礼な」
ティエゴ様、もしかして知らないのかしら。
その方がどなたか。
「お姉様」
「あの方は既に現役を退いて長いですから…ですが、知らないとは」
「いくら何でもないだろ」
その方が誰か薄々気づいている人達は真っ青な表情をしていた。
「ティエゴ!お前という奴は!」
「この大馬鹿者!」
この後どうなるかなんて誰にでも想像ができた。
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