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101.歪みの原因~エドガーside⑤
しおりを挟む余計な事を考える必要はない。
どうあがいても選択権はないのだから。
だが、顔合わせの時以降、アリスティア様は反抗的な態度を見せていた。
まだ心の準備ができていないのだろう。
だが、厄介な事にアルデンテ侯爵との諍いが起きてしまった。
婚約解消に関しては納得したが、私との婚約を認める事はないそうだ。
アリスティア嬢の気持ちを優先するとの事だったが。
「やはりしばらく様子を見るべきか」
「殿下、それはなりません」
時間を置けば新たな婚約者ができてしまう。
アルデンテ侯爵家は高位貴族の中でも実力、家柄と血筋に申し分がない。
特にアルデンテ侯爵家は辺境伯爵との交流が深い。
貴族派、王族派の貴族からしたら喉から手が上る程欲しい地位が手に入るのだ。
「アリスティア様は素直になれないだけです…貴方様の婚約者でたし。ここは私達が話を進めるのが一番です」
「本当だろうか?」
「ええ、あの方は王妃になるべく教育を受けた方です。国の為、王太子殿下である貴方様をお支える事二すべてを捧げているのですから」
「そうか…」
そうだ。
断れない状況に追い込んでしまえばあの方も意地を張る事はない。
「ですが、私は妻としてあの方を大切にしたいと思っているのです。女性としての幸福をしならずにおられるあの方に殿下は女性としての幸せを教えられたお優しさは伝わっているでしょう」
「そうか…そうだな!」
「ロゼッタ様のお披露目で婚約発表をすればよろしいかと」
両陛下がいらしゃる場で公にすれば断れないだろう。
殿下との婚約解消は王宮でも噂になっているし、新たな婚約者が私だと知る者も多い。
まだ正式に発表だれていなだけだ。
――だと思ったのに!
何故あの男が!
今さらになって王宮に戻ってきて、アリスティア様の新たな婚約者として名乗り出たのだ。
「エドガー!これはどういうことだ!」
「私は…」
「まさかこのタイミングで現れるなど!これでは私は笑い者ではないか!」
広間での出来事で私は笑い者だった。
伯父上も私も恥をかかされてしまったし、国王陛下にいたってはあの男の帰還を心から喜び勝手に婚約を許してしまう始末だ。
「万一の事があればどうなるか解っているだろうな」
「はい、絶対にそんな事はありえません」
そうだ。
絶対にあの男の好きにさせるものかと思ったのに、あの男は用意周到だった。
私から一度ならず二度までもアリスティア様を奪うとは!
「貴様如きが…他民族の分際で!」
私の思いを踏みにじり計画を壊す等許されるわけがない!
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