【完結】真実の愛に目覚めたと婚約解消になったので私は永遠の愛に生きることにします!

ユウ

文字の大きさ
108 / 144

103.兄と弟

しおりを挟む




王弟殿下は幼少期から王太子の座を、王位を狙っていた。

しかし、通常は長兄が王太子となるのが決まりで、弟王子は補佐になる。


「数秒の差で、凡愚な兄上が王など…ありえぬ!」

「ジュデッカ」

「私の方がずっと上手くやれる。鎖国を守り国を強くできたと言うのに…なのに何故だ!母上も実子の私よりも兄上を優先して!」


最初こそは大人しく語っていたが感情が高まり始めて過去の恨みを告げた。


先代王妃陛下は確か――。


「体も弱く頭も悪く、王としての威厳が全くないのに…ぐっ!」


陛下の罵倒を言い放つ王弟殿下だったが、騎士団よりも早く裁きが下された。


「本当に伯父と甥は同じですわね。何故ご自分が選ばれなかったか解りませんの?」

「ぐっ…」

「生まれが早い遅いではなく、貴方は人脈がない、人の気持ちが解らない。だから選ばれなかっただけですわ」

「苦しい…」


王妃陛下の迫力にガタガタ震え、胸倉を掴まれ苦しむ王弟殿下は情けなかった。


「それからもう一つお教えて差し上げますわ。宰相、よろしくて」

「はい、ここまで来て隠す必要はありませんな」


ずっと沈黙を守ってた宰相に大臣達は真っ青な表情をする。


「貴方は先代王妃陛下のお子ではございませんわ」

「は?」

「とある貴族派の者が送り込んだ身分もない女の子供です」

「馬鹿な!」

王妃陛下の言葉に私も耳を疑ってしまった。


「側室でもない女性の子など、死ぬまで後ろ指を指されるだろうと…王妃陛下は憎い女の子をご自分の子として育てられました。その苦しみを貴方には一生理解できないでしょうね?女性を消耗品としか思っていないのですから」


言葉一つ、一つに棘があった。


「ジュデッカ、私はそなたを弟思って来た。だが…そなたは私の妻達を侮辱した。それゆえに爵位を侯爵以上の物を与えなかった…だが」


「もう無駄ですわ。言っても解りませんわ。陛下が伯爵位を与えたのか。王族派の中で貴方の存在を危険視する声ができた故に命を守る為でしたのに」

「あと少し…あと少しだったのだ」


きっと、王位を狙う行動が目に余り過ぎていたのだろう。


「そなたがティエゴの後見人になって、立派に役目を果たせば皆解ってくれる。そう思ったのだ…なのに」

「では…私は」

「自分で自分の首を絞めただけ。本当にどうしようもない人ですわね」

「あっ…あああああ!」


頭を抱え発狂する王弟殿下に誰も言葉をかけなかった。


「罪人を連れて行きなさい。しかるべき裁きを受けさせたるのです」

「ハッ!」

「待ってください兄上!助けてください…お願いです!」


騎士団に連行されながらも最後まで助けを乞う姿は見られたものではなかった。


しおりを挟む
感想 396

あなたにおすすめの小説

愚かな者たちは国を滅ぼす【完結】

春の小径
ファンタジー
婚約破棄から始まる国の崩壊 『知らなかったから許される』なんて思わないでください。 それ自体、罪ですよ。 ⭐︎他社でも公開します

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

奪われる人生とはお別れします 婚約破棄の後は幸せな日々が待っていました

水空 葵
恋愛
婚約者だった王太子殿下は、最近聖女様にかかりっきりで私には見向きもしない。 それなのに妃教育と称して仕事を押し付けてくる。 しまいには建国パーティーの時に婚約解消を突き付けられてしまった。 王太子殿下、それから私の両親。今まで尽くしてきたのに、裏切るなんて許せません。 でも、これ以上奪われるのは嫌なので、さっさとお別れしましょう。 ◇2024/2/5 HOTランキング1位に掲載されました。 ◇第17回 恋愛小説大賞で6位&奨励賞を頂きました。 ◇レジーナブックスより書籍発売中です! 本当にありがとうございます!

【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った

五色ひわ
恋愛
 辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。アメリアは真実を確かめるため、3年ぶりに王都へと旅立った。 ※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話

全てを捨てて、わたしらしく生きていきます。

彩華(あやはな)
恋愛
3年前にリゼッタお姉様が風邪で死んだ後、お姉様の婚約者であるバルト様と結婚したわたし、サリーナ。バルト様はお姉様の事を愛していたため、わたしに愛情を向けることはなかった。じっと耐えた3年間。でも、人との出会いはわたしを変えていく。自由になるために全てを捨てる覚悟を決め、わたしはわたしらしく生きる事を決意する。

婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~

ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。 そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。 シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。 ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。 それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。 それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。 なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた―― ☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆ ☆全文字はだいたい14万文字になっています☆ ☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆

【完結】旦那様、その真実の愛とお幸せに

おのまとぺ
恋愛
「真実の愛を見つけてしまった。申し訳ないが、君とは離縁したい」 結婚三年目の祝いの席で、遅れて現れた夫アントンが放った第一声。レミリアは驚きつつも笑顔を作って夫を見上げる。 「承知いたしました、旦那様。その恋全力で応援します」 「え?」 驚愕するアントンをそのままに、レミリアは宣言通りに片想いのサポートのような真似を始める。呆然とする者、訝しむ者に見守られ、迫りつつある別れの日を二人はどういった形で迎えるのか。 ◇真実の愛に目覚めた夫を支える妻の話 ◇元サヤではありません ◇全56話完結予定

処理中です...