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119.女性の強さ
しおりを挟む「あれはすごかった」
演説を思い出しながら、ジークは疲れた表情をしていた。
「この世は男と女で成り立っているが、男はさも自分が偉いと思っているからな」
「ええ」
反感を抱いた者もいたけど、辺境地では夫婦ともに差別が少なかったそうだ。
厳しい土地故に、お互いに協力し合わないといけないのも理由の一つでもあるけど辺境伯爵が妻を大事になさる方が多かったのだ。
「女はでしゃばるななんて言ってるのはあの男ぐらいだからな。まぁあの馬鹿騎士もロゼッタを散々利用して妻は飾りとしてしか見ていないのだろう」
「ええ、そうですわね」
あの男。
エドガーは私を都合の良い道具。
もしくは人形としてしか見ていないのだから。
「家を守るは女性、家庭を守るの女性、そして夫を支えるも女性なのだから」
「その内、百年ぐらいすれば同等。いや、男以上の評価を受けるだろう」
女性が統治する国が増えれば世の中はきっと変わる。
「そうなるように努力しませんと」
「その前に辺境地の守りを固めないとな」
「ええ…貴族派の残党はまだ残っていますから」
まだまだ問題は多い。
貴族絶対主義や、女性が国を治める事を良く思ってない貴族。
王位を狙う者も少なからずいるのだから。
「敵は外だけとは限らないと痛い程理解いたしましたわ」
「まぁな…だが、そこまで心配はないと思うが」
「え?」
あれだけの体験をしておきながら心配はないとはどういうことなのかしら?
「死神が目を光らせているんだからな」
「ルクシウスね」
「後は平民代表のお姫様がいるだろ。規格外の戦力もいるんだ」
私が王都を去った後にロゼッタも当初の目的とは異なり貴族令嬢として。
また女領主としての活躍を見せた。
これまで飲食店で働いていた経験を生かして王都にお店を一か所にまとめてお惣菜のお店を作る事を考案した。
王宮勤めの侍女やお針子は多忙だったこともあり新たな事業としては理想的だった。
しかも町では子育てがひと段落下女性や、職がない女性を雇う事で一流の料理人を雇わずに済んでいる。
おかげで新しい事業を広げることができ、尚且つ女性の働く場を提供できたことによりロゼッタは職がなくて困っている女性の手助けや、慈善活動を活発に行っている。
貴族の酔狂だという人もいるが、そんなのは一部だった。
「社交界では天使と悪魔って呼ばれているがな」
「ロゼッタは小悪魔ですけど」
強かさを覚えたロゼッタも賢く生きる道を着実に覚えいた。
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