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番外編第二章元王子の行方
4.遅すぎた後悔
しおりを挟むマルリア夫人はゆっくりと話してくれた。
国内の地方は何処も貧しく、食事も医療も酷い状態だったことを。
そして連れていかれた場所は。
「ここは…」
「病院だよ」
「こんな小屋に?」
離れた場所から中に入ると不潔すぎるベッドに寝かされている兵士。
「ここは名ばかりの病院だ。医師なんていない。貧しいから中央も支援ができないんだ」
「なら、何故訴えないんだ」
「そんな事できるはずないだろう。ここだけじゃないんだ。寂れた領地は…」
しかし、母上は援助をしているはずだ。
地方や貧しい領地に。
「王妃陛下の配慮でまだマシだ。ただ、下手に援助をしても貴族の懐に入り私達に援助されることはない。だから無暗に援助するのは危険だ」
「だが…」
「今の貴族社会は腐敗しているんだよ…だからこそ王妃陛下は必死で戦われているし。だが王宮がクーデターを起こしたり内乱が起きれば城下町に住まう国民は火の粉を被る」
「それは…」
「そして中央の政治が荒れれば私達は食べることもできない。戦争なんて起きたら最悪だ」
この時僕は初めて知った。
王宮内の些細な争いも彼等にとっては生きるか死ぬか。
今でもギリギリの生活をし、傷ついた兵士はこんな小屋にいて。
生きているか死んでいるか解らない。
もっと恐ろしいのは五歳にも満たない子供までも怪我をしてベッドで横たわっている。
「アンタ達は税金を支払わない、だけど私達は税を納めているのに…暮らしは最悪だ」
「僕は…」
「アンタは一度だって私達がどんな暮らしをしているか考えた事はあるか?」
僕はずっと自由な暮らしができる平民が羨ましいと思った。
だけどロゼッタ言われたことがある。
「ティエゴ様は何も知らないから…」
そう言われた時はその意味を知らずにいた。
「小さな子供も仕事に出される。まだ五歳ぐらいでだ。特に女の子は酷いもんさ…アンタは自由になりたいと言ったらしいね?これでも自由と言えるかい?」
「僕は何も知らなかった…知ろうともしなかった」
「そうさ。アンタ知らなかった。無知でない物ねだりをして多くの人を泣かせたのは事実だ」
言葉一つ、一つが痛かった。
「顔を上げな。アンタはなく資格も傷つく資格もないよ」
「ならどうしたら…」
「自分で考えな。そんなどうしようもないアンタだけどね。罪を犯さない人間なんていやしないさ…自分の罪から逃げるんじゃないよ」
自分の罪。
これまで僕がしてしまった事はあまりにも大きい。
どうしたらいいと言うんだ。
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