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第二章魔導士の条件
23食堂のパン職人
しおりを挟む学園内の敷地内を散歩しながら目的地なく移動していく。
一匹の魔獣が素早く歩いて行く。
キョロキョロと周りを見渡しながら、きままに散歩を楽しむ。
「何?」
「誰かの使い魔かしら?」
一般科の校舎に入るも生徒達は特に気にする事はない。
首輪の水晶を見るとちゃんと契約をした従魔だという証明だった。
しかも監督生の使い魔の証明となるバッチをつけているのだった。
「うわぁ、なんか新鮮!」
一方、部屋から魔獣を通じて外の様子を見ていたメアリは興奮していた。
「モモン!食堂に行って!」
ソーマの使い魔、モモンガのモモンに食堂に行くようにお願いすると快く鳴き声を上げて、食堂に進んでいく。
「偉いぞモモン…って違うよ。そっちじゃない!」
食堂には入って行ったが、厨房の方に一直線に向かう。
「お腹がすいていたのかな…」
厨房の中に入ると見習いの料理人の元に向かった。
「何だ?また来たのかお前」
「キュー」
「今日は残り物が沢山だ。食べるか」
「キュキュ―!」
用意されたのはほとんど手が付けられていないフルーツの盛り合わせに、新作のパンだった。
「これはコッペパン…しかも白パンじゃない!」
メアリの大好物第一号だった。
中には胡桃やドライフルーツを練りこんだ見た目も素晴らしかった。
「キュキュ!」
「そうか、そうか。そんなに美味しいか」
モモンはコッペパンが気に入ったのか幸せそうにがっつく。
「わっ…私も食べたい」
映像越しからでもよだれが出る程美味しそうだった。
しかし今のメアリは食堂に行く事もできない。
「後で絶対に買いに行こう」
そう思っていたら。
「このパンは全て捨てろとの事だ。こんな貧相なパンを食べさせる気かとクレームだ」
「そんな…何故ですか?遠征でも栄養が取れるように考えたんですよ?それに…これなら寒い場所でも柔らかい状態で食べれるように」
「ああ、俺もそう思った。だが聖女様の食するパンには貧相らしい」
「何が聖女ですか。ここ数日我儘放題で食堂でも料理長の料理に文句をつけて…あれが聖女等」
「軽はずみな言葉は控えろ…」
「はい」
コパンと呼ばれる少年は実家が貧しいパン屋だった。
貧しいながらもパン作りに情熱を注ぐ少年で、パン職人にばる事を夢見ていた。
「あの人だったら喜んでくれるのに」
「あの、例のお嬢さんか」
「はい、コッペパンの妖精さんです!」
コパンの表情が明るくなる。
パン職人のクロック。
「噂の魔女か」
「魔女じゃありません!彼女は噂で言われるような悪い人じゃありません…パンを美味しいと言ってくれる人に悪い人はいないって爺ちゃんが言ってました」
「うむ…俺も悪い子には見えないんだがな」
クロックは捨てなくてはならないコッペパンを手に取りながらある少女を思い浮かべた。
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