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第三章真実の聖女
34懲りない連中
しおりを挟むそれから一か月。
メアリは正式に教皇猊下として正式に発表された。
学園を卒業した後に神殿に入り白の大魔導師として国民の前にお披露目されることになった。
しかしここで問題は発生した。
これまでメアリを馬鹿にしていた生徒は手のひらを返したように媚びを売り始めたのだが。
特別科の校舎に普通科の生徒は無断で入れるわけもなく門前払いを受けた。
他にも悪い噂に便乗してメアリを貶めようとした証拠を風紀委員が見つけた事により立場は悪化した。
それでも図々しい人間はいる物で。
「メアリさん!」
「わぁ!」
教室から校舎に移動する間に一人の時を身からって、大人数でメアリに詰め寄った。
「ねぇ、先生から貴女に何とか言ってくれない」
「私達友達じゃない…いいでしょ」
「少し勘違いしちゃっただけだし?ねぇいいでしょ」
「聖職者なんだから慈悲の心を持つべきじゃない?」
これまでメアリを散々侮辱して中には暴力を与えた生徒達は何処までも神経が図太かった。
そしてちゃんとした謝罪もすることなく自分達の都合ばかり押し付けられていたのだ。
「今回の事は風紀院と監督生代表の皆様の判断によるもので…私からはなんとも」
「だけど、貴女が命令すればどうにかなるでしょ?」
「そうよ権力を使えばあんな連中黙らせるじゃない!教皇なんだし!」
(聖職者を何だと思っているの…)
何も言わないメアリを良い事に言いたい放題を言うが、この学園の規則を完全に忘れている。
「校則では生徒を導く監督生代表と風紀委員の皆様には生徒を捌く特権が与えられています。私に意見する事は出来ません」
「はぁ?教皇の癖に」
「大体彼等は身分が低い田舎貴族じゃない」
自分達の要望が通らない事を苛立たせ尚且つ、何処までも融通の利かない事に苛立つ。
「本当に使えないわね!こっちが下手に出てやってるのよ!」
「そうよ、少しは話が解ると思ったのに」
「こうなったら…」
多勢に無勢。
いかに白の大魔導師であっても攻撃魔法は使えない。
彼女達は言う事を聞かせるために武力行使に出ようとしたのだが――。
「はい、証言を取りました」
「「「は?」」」
魔力を発しようとした時だった。
メアリは懐に隠しておいた水晶を取り出した。
「何言ってんのこいつ…」
「それはこちらの台詞だ」
頭の上から声が聞こえ見上げるとそこには風紀委員長と風紀委員達が隠れていた。
「なっ…」
「証言は頂きました。メアリ様、ご協力感謝します」
「まさか図ったの!」
彼女達はメアリを睨みつけるが、既に白の大魔導師としての称号を得たメアリは一人でフラフラしている時点でおかしかった。
メアリは予め罠をはるべく囮になったのだった。
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