白のグリモワールの後継者~婚約者と親友が恋仲になりましたので身を引きます。今さら復縁を望まれても困ります!

ユウ

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最終章白の治癒師

4策略家な王女

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これまでミカエルはメアリの思いは胸に秘めていた。
自分はこの国の王子である以上はいずれ決められた相手と婚姻を結び国を守らなくてはならない。


自分の思いは封印していた。
国の為に、民の為に生きるのが王族と教えられてきたのだから。



なのに――。


「殿下、貴方はまだまだですわね?私が気づかないとでも?」

「ぐっ…」

「殿下と私の好みは似ていますの。メアリ様を見て何も感じないはずありませんわ…だって私もメアリ様を愛してますもの」

「リーシャよ、頼むから父の胃を潰さないでくれ…いや、お前の母もそうだったが」


まさかそう言う趣味かとも思ったが。
この国では同性結婚は禁じられていないので珍しい事ではない。


「私は自由恋愛主義ですがそんな趣味はりませんわ。でも私が男性なら…ね?」


「ね?じゃないだろ」

「ですから、私は殿下の気持ちなんてお見通しですわ。ちなみにユリウスも知ってましてよ?」

「筒抜けか…」

「当然」


伊達に付き合いが長いわけじゃない。
ミカエルの気持ちは友人達にはバレバレだった。


「メアリ様を見つけたのは貴方ですわ。女神様もグリモワールも最初から貴方を選んでいたのではなくて?」

「運命か…」

「あくまできっかけですわ。メアリ様なら運命なんて踏みつけられますわね。あの馬鹿も道を踏み外さずにメアリ様を大事にすれば勝ち組だったのに」


言い方はかなり悪いが、教皇猊下の伴侶となれば万々歳だ。


「ですが、自分で黄金を手放したのです」

「言い方が…」

「まどろっこしいのですわ!殿下、見守る愛なんて幻想ですわ。メアリ様が好きなら男を見せなさい」

「ああ…どうしてこうなのだ。リーシャよ」


何度思ったか解らない。
リーシアが男だったらどれだけ良かったかと何度思ったか。


「ミカエルよ王代行として命じる。今後そなたはパートナーとして勤めよ。お披露目前には婚約を結ぶこととする」

「はい」


こうしてリーシアの強引な後押しもあり、二人は婚約をする事になったのだがミカエルはメアリの気持ちはどうなのかと不安に思っていた。



「はぁー…」


王族貴族の婚姻に感情など不要だと言われているがミカエルはアーク達の一件もありメアリの心を心配していた。


あの断罪ではアークへの愛情はないように見えるが、簡単に割り切れる物ではない。


今回の婚約もメアリは自分の思いを殺してでは?と思っていた。


確かめる時間もないまま婚約式が執り行われることになった。
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