120 / 142
番外編
お転婆王女と苦労人皇子①
しおりを挟む全ての問題が片付き、新たな教皇猊下の誕生祭を行った後に結婚式が行われた。
ミカエルとメアリの結婚式は盛大に執り行われたがその裏で暗躍していた人物がいた。
「最高の出来栄えですわ!」
「部屋で叫ぶな。見っとも無い」
「あら?そんなことを言っていていいのかしら?姉君にご報告しますわよ」
「姉上を出すんじゃない!」
胃を押さえるユリウスはここ数日何度も胃薬を手に握っていた。
「結婚式のパネルは最高の出来栄えですわ。奮発して良かったですわ」
「おい、これを飾るのか」
「当然ですわ、来年にはメアリ様の像を作り、その後には新しい物語を書かせなくては。題して白の魔導士様シリーズですわ!」
「んなもんに労力を使うなら他にやることがあるだろ!」
ミカエルとメアリの結婚式では多くの記者を招き国一番のカメラマンを呼びその写真は全てリーシアの手元にある。
もはや病的な程だと思われても仕方ないのだが。
「お前、何でそんなに白の大魔導師に拘るんだよ」
「男性で比較的自由に過ごせる貴方には解りませんわ。王女というのはどれだけ残酷なのか。塔に閉じ込められたお姫様ですわ。鳥籠に捕らえられた哀れな鳥ですのよ」
「何所がだよ。お前は自由だっただろうが。公爵令嬢の時も王女になってからも」
ユリウスは国王が倒れ王弟殿下が王の代理を務める前のリーシアの生活ぶりを知っていた。
公爵令嬢の時も令嬢に有るまじき行動を取っていたが、今もそう変わらない。
多少の不自由はあったが。
「解ってませんわね。王女と公爵令嬢では重さが違いますのよ?その所為で私の長年の希望は叶わなかったんです」
「希望と言う名の野望だろうが」
「失礼な、白の大魔導師様を探す旅に出る希望を断たれましたのよ」
「メアリは自分から来ただろうが」
「そうですわ。まさか白の大魔導師様自ら私の前に来てくださるなんて。やっぱり運命ですわ」
「いや偶然だろ」
すっかり自分の世界に入り運命の日を思い出しながら悦に浸るリーシアは誰にも留められなかった。
「つーか、気になったんだが」
「何ですの?今忙しいのですが」
手でしっしっをするリーシアに怒りを覚える事はない。
今さらなのだから。
「お前の執着は接着剤よりもキツイぜ」
「まぁ、接着剤ですって?そんなちゃっちいのと一緒にしないでくださる?」
「否定しろよ」
そこは否定して欲しくもあるが、リーシアは写真をから手を放しながら紅茶を飲みながらつげた。
「いいでしょう。私の素敵なエピソードをお教えてさしあげるわ」
「いや、簡単でいい」
「あれはまだか弱かった三歳の頃ですわ!」
「いや、そこまで聞いてねぇよ!」
ユリウスが止めるもリーシアは語り始めた。
48
あなたにおすすめの小説
私が、良いと言ってくれるので結婚します
あべ鈴峰
恋愛
幼馴染のクリスと比較されて悲しい思いをしていたロアンヌだったが、突然現れたレグール様のプロポーズに 初対面なのに結婚を決意する。
しかし、その事を良く思わないクリスが・・。
私の頑張りは、とんだ無駄骨だったようです
風見ゆうみ
恋愛
私、リディア・トゥーラル男爵令嬢にはジッシー・アンダーソンという婚約者がいた。ある日、学園の中庭で彼が女子生徒に告白され、その生徒と抱き合っているシーンを大勢の生徒と一緒に見てしまった上に、その場で婚約破棄を要求されてしまう。
婚約破棄を要求されてすぐに、ミラン・ミーグス公爵令息から求婚され、ひそかに彼に思いを寄せていた私は、彼の申し出を受けるか迷ったけれど、彼の両親から身を引く様にお願いされ、ミランを諦める事に決める。
そんな私は、学園を辞めて遠くの街に引っ越し、平民として新しい生活を始めてみたんだけど、ん? 誰かからストーカーされてる? それだけじゃなく、ミランが私を見つけ出してしまい…!?
え、これじゃあ、私、何のために引っ越したの!?
※恋愛メインで書くつもりですが、ざまぁ必要のご意見があれば、微々たるものになりますが、ざまぁを入れるつもりです。
※ざまぁ希望をいただきましたので、タグを「ざまぁ」に変更いたしました。
※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定も緩くご都合主義です。魔法も存在します。作者の都合の良い世界観や設定であるとご了承いただいた上でお読み下さいませ。
言いたいことはそれだけですか。では始めましょう
井藤 美樹
恋愛
常々、社交を苦手としていましたが、今回ばかりは仕方なく出席しておりましたの。婚約者と一緒にね。
その席で、突然始まった婚約破棄という名の茶番劇。
頭がお花畑の方々の発言が続きます。
すると、なぜが、私の名前が……
もちろん、火の粉はその場で消しましたよ。
ついでに、独立宣言もしちゃいました。
主人公、めちゃくちゃ口悪いです。
成り立てホヤホヤのミネリア王女殿下の溺愛&奮闘記。ちょっとだけ、冒険譚もあります。
出来レースだった王太子妃選に落選した公爵令嬢 役立たずと言われ家を飛び出しました でもあれ? 意外に外の世界は快適です
流空サキ
恋愛
王太子妃に選ばれるのは公爵令嬢であるエステルのはずだった。結果のわかっている出来レースの王太子妃選。けれど結果はまさかの敗北。
父からは勘当され、エステルは家を飛び出した。頼ったのは屋敷を出入りする商人のクレト・ロエラだった。
無一文のエステルはクレトの勧めるままに彼の邸で暮らし始める。それまでほとんど外に出たことのなかったエステルが初めて目にする外の世界。クレトのもとで仕事をしながら過ごすうち、恩人だった彼のことが次第に気になりはじめて……。
純真な公爵令嬢と、ある秘密を持つ商人との恋愛譚。
狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します
ちより
恋愛
侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。
愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。
頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。
公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。
婚約破棄されました。
まるねこ
恋愛
私、ルナ・ブラウン。歳は本日14歳となったところですわ。家族は父ラスク・ブラウン公爵と母オリヴィエ、そして3つ上の兄、アーロの4人家族。
本日、私の14歳の誕生日のお祝いと、婚約者のお披露目会を兼ねたパーティーの場でそれは起こりました。
ド定番的な婚約破棄からの恋愛物です。
習作なので短めの話となります。
恋愛大賞に応募してみました。内容は変わっていませんが、少し文を整えています。
ふんわり設定で気軽に読んでいただければ幸いです。
Copyright©︎2020-まるねこ
えっ「可愛いだけの無能な妹」って私のことですか?~自業自得で追放されたお姉様が戻ってきました。この人ぜんぜん反省してないんですけど~
村咲
恋愛
ずっと、国のために尽くしてきた。聖女として、王太子の婚約者として、ただ一人でこの国にはびこる瘴気を浄化してきた。
だけど国の人々も婚約者も、私ではなく妹を選んだ。瘴気を浄化する力もない、可愛いだけの無能な妹を。
私がいなくなればこの国は瘴気に覆いつくされ、荒れ果てた不毛の地となるとも知らず。
……と思い込む、国外追放されたお姉様が戻ってきた。
しかも、なにを血迷ったか隣国の皇子なんてものまで引き連れて。
えっ、私が王太子殿下や国の人たちを誘惑した? 嘘でお姉様の悪評を立てた?
いやいや、悪評が立ったのも追放されたのも、全部あなたの自業自得ですからね?
真実の愛のお相手様と仲睦まじくお過ごしください
LIN
恋愛
「私には真実に愛する人がいる。私から愛されるなんて事は期待しないでほしい」冷たい声で男は言った。
伯爵家の嫡男ジェラルドと同格の伯爵家の長女マーガレットが、互いの家の共同事業のために結ばれた婚約期間を経て、晴れて行われた結婚式の夜の出来事だった。
真実の愛が尊ばれる国で、マーガレットが周囲の人を巻き込んで起こす色んな出来事。
(他サイトで載せていたものです。今はここでしか載せていません。今まで読んでくれた方で、見つけてくれた方がいましたら…ありがとうございます…)
(1月14日完結です。設定変えてなかったらすみません…)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる