巻き込まれて婚約破棄になった私は静かに舞台を去ったはずが、隣国の王太子に溺愛されてしまった!

ユウ

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2.責任

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「貴女が怪我を負ったのは私の責任だ」


深々と頭を下げられるウィルフレッド殿下は、ゆっくりと話してくださった。

「あの現場に、貴女は一年生の生徒を突き飛ばし、結界を敷きました」

「はい」

「通常なら全体防御で結界を敷き、身を守れたでしょう。ですが、貴女は突き飛ばした生徒を守る為にもご自分の結界を緩めました」

「申し訳ございません。私の所為で!」


もしかしてあの時の一年生は彼女だったの?


「彼女は私の侍女でして。学園内ではもう一人の側近とは別で生徒として在籍していたのです。あの時私がもっと早くかけつけていれば…」

そんなの誰の所為でもないじゃない。
どうしてウィルフレッド殿下が謝られるのか。

「違います。あの場にいた私は巻き込まれていました」

「ですが…」

「もしかしたら私がしゃしゃり出なければこんな事にならなかったかもしれません」

あの時私は咄嗟に足が動いた。
助けなければと、考えるよりも足が自然に足が動いてしまっただけ。


それにあの場にいた時点で私は――。


「いいえ、もしかしたら…」


ふと過ったのは落胆と失望。
あんな状態になっても私に関心を持たなかった婚約者。

それどころか風の魔法で私を殺そうとした事に私は――。


「…あのままでもよかったのに」


思わず口に出してしまっていた事をこの時私は知らなかった。


「ジゼル嬢」

「申し訳ありません。お二人はご迷惑をおかけしまして」


できるだけ明るく振舞うも二人が私を見る目は変わらない。


「それで、ここは何処でしょうか?」

「ここは私が滞在している邸だ」

そうなると王族の別邸になるのか。


「私が…そんな」

「心配しなくていい。連れて来たのは私なのだから」

「ですが…」

あの後どうなったのだろうか。
学園内で攻撃魔法を発動して、その後校舎はめちゃくちゃになって。


「あの後どうなりましたでしょうか。シャーロット様とナターシャ様は」

「ジゼル嬢。貴女が気に病むことはない。むしろ貴女は被害者なのだから」


何処か怒ったような表情をされるウィルフレット様。

あれ?
公爵令嬢ならば面識もあるはずだし留学の時も友好的な関係を築いているはず。


なのに何故?


「他の貴族令嬢の代表でもある公爵令嬢としては落第だ。何より許せないのはあの男だが」

「あの男?」

「殿下」

「いや、すまない。今はゆっくり体を休めて欲しい」

解らないことが多くて、ゲームではないシナリオが発生してもおかしくはない。
だって、ここはもう現実の世界なのだから。


だけど隣国のウィルフレッド殿下は現段階では攻略対象になってはいなかった。

何故なら彼は続編で攻略対象となるのだから。




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