巻き込まれて婚約破棄になった私は静かに舞台を去ったはずが、隣国の王太子に溺愛されてしまった!

ユウ

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63被害者も加害者~アンリエットside

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あの茶番劇により被害を被った生徒は多い。
だけど被害者だと名乗る女子生徒は加害者になったので法で裁く事が決定された。


裁判をするまでもなく有罪判決が下されるが、公の場で裁いた方が良い確実だと思った一番の理由は加害者である彼女、クレスタ―・オルガ子爵令嬢。


魔力を暴走させ、ジゼルに大火傷を負わせた罪は重かった。
彼女は裁判を待たずして罪に問われるだけでなく両親も領地剥奪された後に爵位を剥奪される事になる。


しかし、それに対して異論を唱えたのが彼女の母親だった。


「娘は被害者です。あの女の所為で」

「すべては彼女の責任ではありません。学園内で魔法を使う事は校則違反、そして貴女の娘を止めようとしたユーモレスク伯爵令嬢を押しのけて魔法を使ったのは彼女自身です」

「でも…怪我だってたいしたことはなく」

「普通なら死んでいました。彼女だから助かったにすぎません」

「結果的に傷も治ったのでしょう?だったらここまでするなんて…」


話しにならないわね。
自分の娘がどれだけの事をしたか理解していない。

いいえ、彼女は娘を庇うよりも自分に火の粉が飛ぶのが嫌なのかもしれない。

「こんおままでは最終裁判まで持ち越しになりますわ。その場合どうなさいますの?」

「裁判だなんて…そんな!ユーモレスク伯爵令嬢に直接話を…」

「隣国の王太子妃となられる方に目通りが叶うと?」

「ですが!」


「もう止めないか!」


余りの言葉にオルガ子爵が夫人を止めようとする。

「だって貴方…どうせ大した傷じゃないのに!」

「止めないか!」


この女、何処までも無礼で最低なのか。
裁判をすれば確実に負けるし、ジゼルが大人しいのを良い事に言いたい放題をするなんて。


「第一、ユーモレスク伯爵令嬢はこの度の事件について何もおっしゃっていませんわ!ですから…」

「解りました。では彼女に決定権を与えます。被害者である彼女に…これ以上は許しませんわ」

「ええ…」

口元に笑みを浮かべる彼女は解っているのか。
学園内でも争いを望まず控えめだった彼女が助けてくれるはずだと思っているのだけど。




甘いわよ!



「まったく困ったものですな」

「ええ…ですが、再起程の発言はしっかり記録しております」


万一最終裁判に持ち越しになった時は提出するわ。


だけど、彼女の発言は自分を境地に立たせることを理解していない。

ジセルの性格上、この国の法律に任せ。
そして私達に委ねてくれるだろう。

裁判もする気はないと言うだろうが、その時に後悔するのは彼女達だ。


証言は取ったのだから。

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