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宮本のいう通り、テスト範囲はその日の帰りに配られた。最初のテストだからか、テストの内容はまだ簡単そうだ。一年の復習がちらほらとあるが問題ないだろう。
明日土曜日からテスト準備期間ということで、今日を終えたら当分部活はない。駿に恋愛相談をするチャンスがないまま、メニューをこなして、テスト明けの部活の予定を顧問から聞いた。
「宮瀬、お前テストちゃんと頑張れよ」
「……なんですか、その言い方。なんか赤点ギリギリの奴みたいじゃないですか?」
「お前は二年のエースで、特進で、おまけに顔がいいだろう? 完璧でモテるお前に少しでもジェラシー燃やして、頑張ってもらいたいんだよ」
顧問の目が俺の後ろにいた部員に向いたのでそういうことかと了解する。スポーツ推薦で入った連中の中には、特進なのにエースの俺に競争心剥き出しの奴が何人かいる。そいつらがテストで赤点取らないように、俺がその競争心に油を注げということだ。
顧問の言葉は適当に流しておいて、俺は駿のところに戻った。
すでに帰り支度を終えていた駿に待ってもらって一緒に帰る。最寄りの駅前で、夜電話する約束を取り付けた。
「とうとう春の風が吹いたんですね」
ニヤニヤ笑う駿にむかついたが、「九時にちゃんと出ろよ!」と告げるだけ告げた。
『それで? 宮本をどう落とすかでしょ?』
九時きっかりに電話したら呼び出し一回で、駿は出た。そしてこっちが電話の典型文をいう前に、本題に入られた。
『よくわかったな』
『そりゃあわかります。俺は颯人の親友だしね。お前が今まで誰とも付き合わず、誰のことも好きにならずの朴念仁だったってことね』
『よく朴念仁なんて言葉知ってるな』
『は? 俺も特進なんだけど?』
『はは。……てことで俺にも春の風が吹きました。アドバイスお願いします』
『はいはい。まあまず、初恋おめでとうございます。パチパチパチ~』
『……お前ほんといい加減にしろよ』
俺が男子を好きだと知っても駿は態度を変えない。いつも通りの軽くてうざい絡みに思わず笑ってしまう。
『あっ今お前、俺が親友でよかったって思っただろ? ……まあいいやふざけんのはこんくらいにして、宮本は相当奥手と見えますから、攻める一手に尽きるでしょう』
『その天気予報みたいな言い方はやめろ。もっとなんか具体的にないの?』
『……お前まじで宮本のこと好きなんだな。いやお前のことだから、気の迷いだなんて思ってなかったけどさ。……いうて俺も今までの彼女全部告られたパターンだしなあ。自分から相手落としに行ったことないんだわ。でもそうね、とりあえず二人だけで遊ぶ約束取り付けろよ。共通の趣味探してさ』
『趣味かあ。……読書とか?』
『おお! 宮本が好きな作家のイベントとかやってねえの?』
駿の指摘に俺は早速起動しておいたパソコンで検索をかけてみたが、それらしい情報は出てこなかった。そう伝えると駿はしばらく唸って次の案を出してきた。
『じゃあ普通にテスト期間だし、一緒に勉強するとか? 図書館かカフェとか。カフェだったらそのまま流れで街散策するとかできるし、デートぽいじゃん。お前ら二人とも特進でもエリートだから勉強しなくていいだろう? なんなら今回は恋愛に全振りして、テスト死んじまえ』
嫌なこというよな。まあ、そのプランはありだ。ただテスト期間のデートとなると宮本に迷惑じゃないか? 宮本はテスト本気で挑みたいかもしれないし。
『ごほんっ!』
色々と考えていて黙ってしまっていたようだ。スピーカー越しに駿が咳き込んで存在をアピールしてきた。
『颯人の強みはコミュニケーション能力と正確なシュートだろ? いつもみたいにやればいいんだよ。宮本は多分、颯人が当たってきたら手を広げて受け止めてくれると思うよ。……うん、ということでそろそろ勉強に戻るわ。じゃ、おやすみー』
一方的になんか心に響くことを言い残して、駿は電話を切った。呆気に取られていると、チャットに親指を立てている犬のスタンプが送られてきた。
何かスタンプを返そうと思っているとまた一つメッセージが入る。
〝ちなみに二人はお似合いだと思うよ〟
しばらくその文章を眺めて俺は駿に返事を送った。
〝駿って結構いい奴だよな〟
数分して怒った犬のスタンプが届いた。
駿と話したあと、宮本に「一緒に勉強しよう」とメッセージを送るか悩んだが、突然そんな連絡が来たら怖いだろうと思って、スマホを持てなかった。
土曜日もそればかりに悶々としていて、もう夜は判断力が鈍るという人間の特徴をあえて利用してメッセージを送ることにした。宮本の連絡先は知らないから、クラスのグループチャットから、宮本のアイコンを探す。
が、見つからなかった。
いやこの時代に、いくらコミュ障だからってクラスのグループチャットに参加してないなんてことあるのだろうか。担任まで入ってるのに?
「メンバー一覧」を一生懸命探すが、宮本はやっぱり見つからない。
いやもしかしてこの「XXXX」が宮本という可能性もある。……でも宮本の性格だったら多分自分のアカウントの名前は本名で設定しているはずだ。
岩田のアカウントに連絡をして宮本の連絡先を聞くという手も考えたが、岩田の性格上、多分宮本の許可を取ったとしても、俺に彼の連絡先は教えてくれないだろう。昨日も睨まれたし……。
土日は結局、部屋で一人だけの勉強だった。
明日土曜日からテスト準備期間ということで、今日を終えたら当分部活はない。駿に恋愛相談をするチャンスがないまま、メニューをこなして、テスト明けの部活の予定を顧問から聞いた。
「宮瀬、お前テストちゃんと頑張れよ」
「……なんですか、その言い方。なんか赤点ギリギリの奴みたいじゃないですか?」
「お前は二年のエースで、特進で、おまけに顔がいいだろう? 完璧でモテるお前に少しでもジェラシー燃やして、頑張ってもらいたいんだよ」
顧問の目が俺の後ろにいた部員に向いたのでそういうことかと了解する。スポーツ推薦で入った連中の中には、特進なのにエースの俺に競争心剥き出しの奴が何人かいる。そいつらがテストで赤点取らないように、俺がその競争心に油を注げということだ。
顧問の言葉は適当に流しておいて、俺は駿のところに戻った。
すでに帰り支度を終えていた駿に待ってもらって一緒に帰る。最寄りの駅前で、夜電話する約束を取り付けた。
「とうとう春の風が吹いたんですね」
ニヤニヤ笑う駿にむかついたが、「九時にちゃんと出ろよ!」と告げるだけ告げた。
『それで? 宮本をどう落とすかでしょ?』
九時きっかりに電話したら呼び出し一回で、駿は出た。そしてこっちが電話の典型文をいう前に、本題に入られた。
『よくわかったな』
『そりゃあわかります。俺は颯人の親友だしね。お前が今まで誰とも付き合わず、誰のことも好きにならずの朴念仁だったってことね』
『よく朴念仁なんて言葉知ってるな』
『は? 俺も特進なんだけど?』
『はは。……てことで俺にも春の風が吹きました。アドバイスお願いします』
『はいはい。まあまず、初恋おめでとうございます。パチパチパチ~』
『……お前ほんといい加減にしろよ』
俺が男子を好きだと知っても駿は態度を変えない。いつも通りの軽くてうざい絡みに思わず笑ってしまう。
『あっ今お前、俺が親友でよかったって思っただろ? ……まあいいやふざけんのはこんくらいにして、宮本は相当奥手と見えますから、攻める一手に尽きるでしょう』
『その天気予報みたいな言い方はやめろ。もっとなんか具体的にないの?』
『……お前まじで宮本のこと好きなんだな。いやお前のことだから、気の迷いだなんて思ってなかったけどさ。……いうて俺も今までの彼女全部告られたパターンだしなあ。自分から相手落としに行ったことないんだわ。でもそうね、とりあえず二人だけで遊ぶ約束取り付けろよ。共通の趣味探してさ』
『趣味かあ。……読書とか?』
『おお! 宮本が好きな作家のイベントとかやってねえの?』
駿の指摘に俺は早速起動しておいたパソコンで検索をかけてみたが、それらしい情報は出てこなかった。そう伝えると駿はしばらく唸って次の案を出してきた。
『じゃあ普通にテスト期間だし、一緒に勉強するとか? 図書館かカフェとか。カフェだったらそのまま流れで街散策するとかできるし、デートぽいじゃん。お前ら二人とも特進でもエリートだから勉強しなくていいだろう? なんなら今回は恋愛に全振りして、テスト死んじまえ』
嫌なこというよな。まあ、そのプランはありだ。ただテスト期間のデートとなると宮本に迷惑じゃないか? 宮本はテスト本気で挑みたいかもしれないし。
『ごほんっ!』
色々と考えていて黙ってしまっていたようだ。スピーカー越しに駿が咳き込んで存在をアピールしてきた。
『颯人の強みはコミュニケーション能力と正確なシュートだろ? いつもみたいにやればいいんだよ。宮本は多分、颯人が当たってきたら手を広げて受け止めてくれると思うよ。……うん、ということでそろそろ勉強に戻るわ。じゃ、おやすみー』
一方的になんか心に響くことを言い残して、駿は電話を切った。呆気に取られていると、チャットに親指を立てている犬のスタンプが送られてきた。
何かスタンプを返そうと思っているとまた一つメッセージが入る。
〝ちなみに二人はお似合いだと思うよ〟
しばらくその文章を眺めて俺は駿に返事を送った。
〝駿って結構いい奴だよな〟
数分して怒った犬のスタンプが届いた。
駿と話したあと、宮本に「一緒に勉強しよう」とメッセージを送るか悩んだが、突然そんな連絡が来たら怖いだろうと思って、スマホを持てなかった。
土曜日もそればかりに悶々としていて、もう夜は判断力が鈍るという人間の特徴をあえて利用してメッセージを送ることにした。宮本の連絡先は知らないから、クラスのグループチャットから、宮本のアイコンを探す。
が、見つからなかった。
いやこの時代に、いくらコミュ障だからってクラスのグループチャットに参加してないなんてことあるのだろうか。担任まで入ってるのに?
「メンバー一覧」を一生懸命探すが、宮本はやっぱり見つからない。
いやもしかしてこの「XXXX」が宮本という可能性もある。……でも宮本の性格だったら多分自分のアカウントの名前は本名で設定しているはずだ。
岩田のアカウントに連絡をして宮本の連絡先を聞くという手も考えたが、岩田の性格上、多分宮本の許可を取ったとしても、俺に彼の連絡先は教えてくれないだろう。昨日も睨まれたし……。
土日は結局、部屋で一人だけの勉強だった。
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