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休み時間になるたびに誰かしらが宮本に話しかけていてモヤモヤした。誰も宮本の魅力に気づかなかったくせに、外見が変わっただけで寄ってくるのだ。
そんなことを屋上で、駿に愚痴ったら駿は呆れた顔をして笑った。
「こないだの奴らはともかくみんな別に宮本のこといじめてたわけじゃないじゃん。なんていうか宮本って過度に自信がなくてずっと下向いてたから話しかけない方がいいかなって思わせる雰囲気あるじゃん? それが髪切って見た目の雰囲気変わって仲良くなれるかもって思うんじゃないの?」
「宮本と仲良くなりたいかって、そんな外見で左右されるわけ?」
「お前の言いたいこともわかるけどさ。……真面目な話、宮本好きって言ってるやつも出てきてんのよ。お前まじで攻めないとダメだぞ」
ほらやっぱり、外見なんじゃないか。
ムッと口を尖らせていると駿は俺の弁当からスイートポテトを奪った。
「おい」
「確かに颯人は優位だった。お前だけが宮本のことが好きだったからな。でも今は! お前だけが宮本の魅力を知ってるわけじゃない。お前だけが宮本を狙ってるわけじゃない。ここからは早い者勝ち。宮本が誰を好きになるか次第! ということで、お前はもうウジウジ俺に文句言ってないで攻めないといけないのよ」
駿は真面目な顔をしてグサグサ刺さることを言う。と思ったらニヤッと笑って「こんなふうに簡単に奪われるなよ?」と俺のスイートポテトを口に運んだ。
昼休みが終わる五分前教室に戻ると、宮本と男子たちが輪になって話していた。
「まじ? 宮本グループチャット入ってなかったの!」
やっと気づいたかぼけ。
「待ってじゃあ連絡先交換しよ。なんで今まで教えてくれなかったんだよ。うわあ、なんかいじめてたみたいじゃん……」
男子たちをすり抜けて自席に座って、腰を捻って輪に入る。
「なんの話してるの?」
普段あまり話さない連中だ。俺が会話に入ったことに驚いているみたいだった。それは宮本も宮本の隣に椅子を寄せて座っている岩田も同じだったようで、お互いに顔を見合わせていた。
「宮瀬! 宮本がグループチャットに入ってなかったって知ってたか?」
「……知らなかった」
「あっぼ、僕がはい、入らない方がっ、いい、いいかなって思ったから……」
宮本が焦ったように口を開いて、こっちを見たり目を逸らしたりを繰り返した。少し頬が赤くなっていて可愛い。髪型が変わっても辿々しく話す姿は変わららなくて少し安心した。
「奏、二年になったときにちょうどスマホ買い替えてデータ飛ばしちゃったんだよ。それでタイミング逃しちゃって、招待しようと思ったんだけど、大丈夫って」
岩田が横から補足した。確かに岩田とは連絡先を交換しているだろうに、チャットに招待されていないのはどういう訳だと思っていたが、単純に宮本が遠慮していただけらしい。
「じゃあこうしよう。宮本、俺と交換しよう。そしたら俺がグループチャットに招待するよ」
提案してみると宮本は明らかに目を輝かせた。前髪も眼鏡もないその瞳は、汚れを知らない透き通ったガラスみたいだ。
「……いいの?」
「もちろん!」
連絡先を最初に交換するのは俺だ。岩田はともかく、他の連中に先を越されたくない。操作に慣れていない宮本に、連絡先を交換するための操作方法を教えるのは楽しかった。
スマホの画面に「宮本奏」と表示されて、俺の予想が間違っていなかったことに高揚感を覚えた。やっぱり宮本は、本名フルネームだった。まず個人のチャットに連絡をいれる。
――宮瀬颯人だよ。よろしく。
合わせてクマが手を振っているスタンプを送った。
「今メッセージ届いた? それ俺だよ」
宮本は画面をこっちに向けながら上目遣いで「これ?」と聞いてきた。大きな瞳が少し不安そうだ。
「そうそれ」
宮本が俺の名前「颯人」をタップしてチャットを読む。そして小さく笑った。
「かっ、か可愛い、クマだね」
君の方が一億倍は可愛いと思うよ。
「僕は、宮本、奏です。よろしく、お願い、します」
宮本の小さな口が文章を打ちながら言葉を溢していく。スマホを打つのに集中しすぎて書いていることを喋っていることに気づけていない。
自分のスマホ画面をチラッとみるとちょうどそのタイミングでうさぎがお辞儀しているスタンプが届いた。にっこり笑って見せれば宮本は安心したようにほっと息を吐いた。
本当は嫌だが言ってしまった手前やるしかない。俺はそのままクラスのグループチャットを開いて、今、フレンドになったばかりの宮本を招待した。
「宮本、チャット見てみて。グループ入れたから」
スマホをツンツンと叩いて促すと、宮本が画面をしばらくいじってパアッと笑顔の花を咲かせた。
「っぼ、僕あいさつ、しっしたほうがいいかな? ……よろしく、おね、お願いします。宮本、かっ奏です」
――宮本、よろしくね。
チャットに入ったメッセージに俺は誰よりも早く言葉を打った。それに周りの男子たちも続く。宮本のスマホは、送られてきたメッセージの数だけ弾むような着信音を鳴らした。
「……てか俺が宮本招待すれば、二人が交換する手間省けたよな、これ」
岩田が今気づいたとばかりに目を見開くが、今気づいてくれて俺は感謝している。
だって直接連絡先を交換できたんだから。
岩田ナイス!
そんなことを屋上で、駿に愚痴ったら駿は呆れた顔をして笑った。
「こないだの奴らはともかくみんな別に宮本のこといじめてたわけじゃないじゃん。なんていうか宮本って過度に自信がなくてずっと下向いてたから話しかけない方がいいかなって思わせる雰囲気あるじゃん? それが髪切って見た目の雰囲気変わって仲良くなれるかもって思うんじゃないの?」
「宮本と仲良くなりたいかって、そんな外見で左右されるわけ?」
「お前の言いたいこともわかるけどさ。……真面目な話、宮本好きって言ってるやつも出てきてんのよ。お前まじで攻めないとダメだぞ」
ほらやっぱり、外見なんじゃないか。
ムッと口を尖らせていると駿は俺の弁当からスイートポテトを奪った。
「おい」
「確かに颯人は優位だった。お前だけが宮本のことが好きだったからな。でも今は! お前だけが宮本の魅力を知ってるわけじゃない。お前だけが宮本を狙ってるわけじゃない。ここからは早い者勝ち。宮本が誰を好きになるか次第! ということで、お前はもうウジウジ俺に文句言ってないで攻めないといけないのよ」
駿は真面目な顔をしてグサグサ刺さることを言う。と思ったらニヤッと笑って「こんなふうに簡単に奪われるなよ?」と俺のスイートポテトを口に運んだ。
昼休みが終わる五分前教室に戻ると、宮本と男子たちが輪になって話していた。
「まじ? 宮本グループチャット入ってなかったの!」
やっと気づいたかぼけ。
「待ってじゃあ連絡先交換しよ。なんで今まで教えてくれなかったんだよ。うわあ、なんかいじめてたみたいじゃん……」
男子たちをすり抜けて自席に座って、腰を捻って輪に入る。
「なんの話してるの?」
普段あまり話さない連中だ。俺が会話に入ったことに驚いているみたいだった。それは宮本も宮本の隣に椅子を寄せて座っている岩田も同じだったようで、お互いに顔を見合わせていた。
「宮瀬! 宮本がグループチャットに入ってなかったって知ってたか?」
「……知らなかった」
「あっぼ、僕がはい、入らない方がっ、いい、いいかなって思ったから……」
宮本が焦ったように口を開いて、こっちを見たり目を逸らしたりを繰り返した。少し頬が赤くなっていて可愛い。髪型が変わっても辿々しく話す姿は変わららなくて少し安心した。
「奏、二年になったときにちょうどスマホ買い替えてデータ飛ばしちゃったんだよ。それでタイミング逃しちゃって、招待しようと思ったんだけど、大丈夫って」
岩田が横から補足した。確かに岩田とは連絡先を交換しているだろうに、チャットに招待されていないのはどういう訳だと思っていたが、単純に宮本が遠慮していただけらしい。
「じゃあこうしよう。宮本、俺と交換しよう。そしたら俺がグループチャットに招待するよ」
提案してみると宮本は明らかに目を輝かせた。前髪も眼鏡もないその瞳は、汚れを知らない透き通ったガラスみたいだ。
「……いいの?」
「もちろん!」
連絡先を最初に交換するのは俺だ。岩田はともかく、他の連中に先を越されたくない。操作に慣れていない宮本に、連絡先を交換するための操作方法を教えるのは楽しかった。
スマホの画面に「宮本奏」と表示されて、俺の予想が間違っていなかったことに高揚感を覚えた。やっぱり宮本は、本名フルネームだった。まず個人のチャットに連絡をいれる。
――宮瀬颯人だよ。よろしく。
合わせてクマが手を振っているスタンプを送った。
「今メッセージ届いた? それ俺だよ」
宮本は画面をこっちに向けながら上目遣いで「これ?」と聞いてきた。大きな瞳が少し不安そうだ。
「そうそれ」
宮本が俺の名前「颯人」をタップしてチャットを読む。そして小さく笑った。
「かっ、か可愛い、クマだね」
君の方が一億倍は可愛いと思うよ。
「僕は、宮本、奏です。よろしく、お願い、します」
宮本の小さな口が文章を打ちながら言葉を溢していく。スマホを打つのに集中しすぎて書いていることを喋っていることに気づけていない。
自分のスマホ画面をチラッとみるとちょうどそのタイミングでうさぎがお辞儀しているスタンプが届いた。にっこり笑って見せれば宮本は安心したようにほっと息を吐いた。
本当は嫌だが言ってしまった手前やるしかない。俺はそのままクラスのグループチャットを開いて、今、フレンドになったばかりの宮本を招待した。
「宮本、チャット見てみて。グループ入れたから」
スマホをツンツンと叩いて促すと、宮本が画面をしばらくいじってパアッと笑顔の花を咲かせた。
「っぼ、僕あいさつ、しっしたほうがいいかな? ……よろしく、おね、お願いします。宮本、かっ奏です」
――宮本、よろしくね。
チャットに入ったメッセージに俺は誰よりも早く言葉を打った。それに周りの男子たちも続く。宮本のスマホは、送られてきたメッセージの数だけ弾むような着信音を鳴らした。
「……てか俺が宮本招待すれば、二人が交換する手間省けたよな、これ」
岩田が今気づいたとばかりに目を見開くが、今気づいてくれて俺は感謝している。
だって直接連絡先を交換できたんだから。
岩田ナイス!
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