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「契約結婚しませんか、僕と」
「はいっ喜んで!」
見目麗しい若い貴族の男女が、意気投合した証に……死が二人を別つまで続く最高の作戦として選んだのが、まさかの契約結婚。しかしながら恋とは不思議なもので、男はみるみるうちに女に夢中になっていくのです。
――これはそんな恋に不器用な辺境令嬢マリッサ・アンジュールとイケメン公爵ジュリアス・クラインの物語。
* * *
亜麻色の髪に琥珀色の瞳を持つジュリアス・N・クライン公爵は、容姿端麗にして博学、フェンシングが得意で領地も広く所有、というモテ条件の宝庫のような男性。
もちろん、彼の恋人になりたがるご令嬢多数でしたが……二十五歳にして未だに独身でした。
貴族階級において、十代のうちに婚約する者も珍しくなく。跡取りにしては嫁選びが遅いと、ご両親は心配しているんだとか。
何故、彼が独身を貫いているかと考えても、それらしき理由は見当たらず。『運命の赤い糸を信じている』とか、『不幸な別れをした恋人のことが忘れられない』など、いろんな噂が絶えません。
なので、今日開かれるクライン家のパーティーでは、彼の花嫁の座を狙うご令嬢が美しく着飾って、いそいそと『ご出席』されていたのです。
ごめんなさいね、美しいご令嬢のみなさん。
ジュリアス・クライン公爵は本日をもって『独身貴族』を卒業し、この私……ストロベリーブロンドヘアの乙女『辺境令嬢マリッサ・F・アンジュール』と結婚発表します。
パーティーのメインイベントとも言える『ラストダンス』を決める瞬間。クライン公爵は辺境令嬢である私の前に跪き、我こそはと息巻いていたご令嬢達の目の前で永遠の愛を誓い始めたのです。
「マリッサ・アンジュール。キミは、容姿だけでなく心まで清らかだ。この世界の何処を探しても、キミほど好きになれる女性はいない。僕の……妻になってくれますか」
「……喜んで。クライン公爵、さあ踊りましょう。私と」
想定外の展開に『ザワッ……』とするギャラリーを尻目に、優雅にダンスを踊る私とクライン公爵は、意外なほど似合っていたとか。
「あぁっクライン様ぁっ。なんで、あんな田舎の令嬢と? ちょっと髪色が珍しい【ストロベリーブロンド】というだけだわ。わたくしの方が美人なのにっ」
「ふんっ。田舎者の癖に清楚ぶって、きっとクライン様は騙されているのよ。あのピンク色の髪だって、染めてるんじゃないの?」
失恋のショックで泣きながら馬車に乗り込むご令嬢、悪役モードで捨て台詞を残して去るご令嬢。私のストロベリーブロンドヘアの悪口なんかを言いながら、すごすごと退却していくのでした。
そんなみなさんを横目で見送りながら、本日の大役を終えたことにホッと胸を撫で下ろします。
やっかみがチラホラ聞こえてきましたが、こちとら前世の記憶持ちな分、人生の経験値が高いんで。小娘どもの悪口で、美味しい機会を逃すような真似は致しません。
はぁ……これから、ようやく自由です。早くクラインさん、今日の報酬をくれないかなぁ?」
えっ。さっきまでと、雰囲気が違う? 報酬とは何かって。
決まってるじゃないですか、契約結婚の報酬料ですよ!
だって私達、今日から仮面夫婦ですから!
「はいっ喜んで!」
見目麗しい若い貴族の男女が、意気投合した証に……死が二人を別つまで続く最高の作戦として選んだのが、まさかの契約結婚。しかしながら恋とは不思議なもので、男はみるみるうちに女に夢中になっていくのです。
――これはそんな恋に不器用な辺境令嬢マリッサ・アンジュールとイケメン公爵ジュリアス・クラインの物語。
* * *
亜麻色の髪に琥珀色の瞳を持つジュリアス・N・クライン公爵は、容姿端麗にして博学、フェンシングが得意で領地も広く所有、というモテ条件の宝庫のような男性。
もちろん、彼の恋人になりたがるご令嬢多数でしたが……二十五歳にして未だに独身でした。
貴族階級において、十代のうちに婚約する者も珍しくなく。跡取りにしては嫁選びが遅いと、ご両親は心配しているんだとか。
何故、彼が独身を貫いているかと考えても、それらしき理由は見当たらず。『運命の赤い糸を信じている』とか、『不幸な別れをした恋人のことが忘れられない』など、いろんな噂が絶えません。
なので、今日開かれるクライン家のパーティーでは、彼の花嫁の座を狙うご令嬢が美しく着飾って、いそいそと『ご出席』されていたのです。
ごめんなさいね、美しいご令嬢のみなさん。
ジュリアス・クライン公爵は本日をもって『独身貴族』を卒業し、この私……ストロベリーブロンドヘアの乙女『辺境令嬢マリッサ・F・アンジュール』と結婚発表します。
パーティーのメインイベントとも言える『ラストダンス』を決める瞬間。クライン公爵は辺境令嬢である私の前に跪き、我こそはと息巻いていたご令嬢達の目の前で永遠の愛を誓い始めたのです。
「マリッサ・アンジュール。キミは、容姿だけでなく心まで清らかだ。この世界の何処を探しても、キミほど好きになれる女性はいない。僕の……妻になってくれますか」
「……喜んで。クライン公爵、さあ踊りましょう。私と」
想定外の展開に『ザワッ……』とするギャラリーを尻目に、優雅にダンスを踊る私とクライン公爵は、意外なほど似合っていたとか。
「あぁっクライン様ぁっ。なんで、あんな田舎の令嬢と? ちょっと髪色が珍しい【ストロベリーブロンド】というだけだわ。わたくしの方が美人なのにっ」
「ふんっ。田舎者の癖に清楚ぶって、きっとクライン様は騙されているのよ。あのピンク色の髪だって、染めてるんじゃないの?」
失恋のショックで泣きながら馬車に乗り込むご令嬢、悪役モードで捨て台詞を残して去るご令嬢。私のストロベリーブロンドヘアの悪口なんかを言いながら、すごすごと退却していくのでした。
そんなみなさんを横目で見送りながら、本日の大役を終えたことにホッと胸を撫で下ろします。
やっかみがチラホラ聞こえてきましたが、こちとら前世の記憶持ちな分、人生の経験値が高いんで。小娘どもの悪口で、美味しい機会を逃すような真似は致しません。
はぁ……これから、ようやく自由です。早くクラインさん、今日の報酬をくれないかなぁ?」
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