辺境令嬢ですが契約結婚なのに、うっかり溺愛されちゃいました

星井ゆの花

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 一世一代の大芝居である『パーティー会場のど真ん中で、大胆にプロポーズされてその後優雅にダンス』を無事に済ませた私。

 与えられた自室に戻りメイドにお茶を淹れてもらい、ひと仕事終えた後のミルクティーを味わいます。前世ではしがない貧困女子高生だった私が、こうして高級ホテルさながらの豪華なお部屋で生活出来るなんて夢のよう!
 一生分の贅沢をこの異世界で、存分味わい尽くしてやろうじゃないですかっ。

 コンコンコン!

「マリッサ様、クライン公爵がお見えになりました」
「通してくださいな、お部屋係のあなたは席を外してよくってよ」
「では、ごゆっくり……」

 すると、ようやく来客の見送りを終えたクライン公爵が、私の部屋を訪れました。メイドに席を外してもらいこのお部屋にいるのは、偽装結婚夫婦の当事者である私とクライン公爵、そして契約結婚計画を知っているばあやさんのみ。

「いやぁお疲れ様でした。マリッサさんっ。僕が見込んだ通り、あなたは他の女性と違う『清楚なオーラ』があるっ! さすがは自然豊かな辺境地で、暮らしていただけのことはありますね。ピンク色の髪も、威嚇力抜群で素晴らしいっ」

 パチパチパチ……とクライン公爵は大袈裟に拍手をして、私の大根芝居をプロの舞台女優さながらの迫真の演技か何かのように褒めちぎります。
 褒めているのか貶しているのか、『清楚なオーラ』とはつまり『清純に見える若い娘』特有のオーラのことでしょう。
 案外、オールマイティーにいろんな男性に好かれるみたいですよ、こういう雰囲気。髪色も、ヒロインっぽいピンクだし。

「フッ……。ちょっと気になる言い回しですが、一応褒め言葉だと思っておくとしますか。それで、本日の報酬は……」

 現金主義の私が掌を差し出すと、クライン公爵は懐から小さな小箱を取り出します。

「もちろん、この婚約指輪の箱の下に……黄金色のお菓子が」
「ふふふっクライン公爵、お主も悪よのう」

 倭国の悪代官と行商人の如く、『お主も悪よのう』ごっこをしながら、小箱のリボンに手をかけます。
 箱を開けると、サファイアの指輪がきらり。それを支える台座の下には、報酬の金貨が。

 契約結婚の掟・その1:人前で婚姻をアピールする際には、公爵側が黄金色のお菓子を令嬢に渡すべし。お菓子の大きさは婚姻アピールの度合いに比例して大きくなり、プロポーズなどの大きな芝居をした当日はすぐに支給をしなくてはいけない。

 俄然、契約結婚っぽくなってきましたよ。これからも、やり甲斐がありそうです。
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