エリート上司に完全に落とされるまで

琴音

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三章 和樹しか見えない

9 新婚旅行とお式 前編

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 落ち込んでても仕方がない。
 俺は木村さんに俺しか知らない進捗しんちょくファイルの場所をふたりのファイルに移動したり、客先にあいさつしたり忙しく動いていた。
 まあ、木村さんならなんとでもするだろうけどね。俺の前の人の退職して、俺が引き継いだけど困りもしなかったし。そんな感じでお休みの前夜。

「智、二泊出来る支度してくれ」
「へ?旅行に行くの?」
「うん。寒いのはイヤだから沖縄にした」
「え……飛行機で?」
「そうだよ」

 こんな時期に……直近にゴールデンウイークもあるだろ?待てないのか?と質問。

「待てない。とても大切な旅行なんだ。僕らに取ってね」
「はあ……」

 よくわからないけどスーツケースに服とかを詰め込んだ。そして翌日朝、暗い中始発で空港を目指し沖縄に。

「ぐは!あったかいどころか暑く感じる」
「本当だね」

 空港を出てタクシーのりばに向かっていると。なんで通り過ぎるんだよ!てかどこ泊まるんだよ。なんにも教えてくれなくて不安。なに聞いてももうすぐ分かるからと教えてくれない。仕方なく和樹の後ろを歩いていると、向こうで手をふる人が……あれ?和樹に似てる人が。名札付いてる?

「兄さん!お迎えありがとう。無理言ってごめんね」
「いやいいよ。こんな時ぐらい兄らしいことをさせてくれ」

 うそ……兄さんって拓司たくしさんだよね。俺はスーツケースを横に置いて、

「初めまして。楠木智也と申します」

 俺は頭を下げた。急に現れるもんだから心臓飛び出そう……冷や汗と動悸がする。

「君が智也くんか。話に聞いていた通りだね。素直そうだ」
「でしょう?」

 和樹は楽しそうに拓司さんと話しながらトランクにスーツケースを詰め込んだ。
 黒の高級車とか……俺こんなの乗ったことないぞ?よく役員クラスが使ってる車じゃねえか。

「ほら乗れよ」
「う、うん」

 車の後部座席に俺と和樹が乗り込むと、拓司さんの運転で空港から出発。南国らしい景色が窓から流れていく。

「和樹。言われたのは用意したけどさ」
「ありがとう」
「あれだけでいいのか?食事とかは?」
「いいんだ。観光ついでみたいにしたかったから」
「そう。俺たちも出ようか?」
「ああ、時間が取れれば来てよ。無理しなくていいからね」
「わかった」

 そんなに時間も掛からずホテルに到着……ここ知ってる。グループ最大の沖縄のゴージャスホテルだ。プライベートビーチがついてて、部屋は全てオーシャンビュー……俺は車を降りて見上げていた。すげぇ。

「智行くよ」
「はい!」

 車寄せからエントランスに向かうとボーイ方がお荷物をどうぞと言われ、スーツケースを渡して……おいおい記帳は?

「んなもんはしないよ。支配人の身内だから兄さんがするでしょ」
「はい……」

 ふたりでなんか話してたけど耳に入らず、そのままついて行った。通常のエレベーターホールを抜けて、最上階専用エレベーターでスイートルームに案内された。……俺一生自腹では来ないだろうお部屋。

「和樹、昼食はどうする?」
「ああ外で……いや、ルームサービスでお願い。ここのおすすめでいいから」
「ああ分かった。運ばせる」

 何もかもがすごくて、俺は呆然と部屋を眺めていた。カタログで見るのとは違うなあ。キッチンもあってバーカウンターとか……インテリアもゴージャスだ。

「和樹、これ大丈夫なの?」
「うん」

 俺は魂が抜けたように聞いていた。すると拓司さんが、

「クックッ……かわいいなこの子」
「でしょ?この素直さが智也の魅力だよ」
「へえ。お前よくこんな子を捕まえたもんだ。ここまでくせがないと俺は心配になるがな」
「いや、智は素直が武器なんだ。ある意味強いよ」
「ふーん」

 ヒソヒソ二人は話してたけど、俺は部屋を見て歩いていた。和樹が見て楽しめって言うからさ。部屋は広く開放感のある作りで、ベッドには天蓋てんがいもあって……

「智そろそろ座ったら?」
「あ、うん」

 呼ばれて俺が和樹の隣に座ると、拓司さんはまたなと出て行った。すげぇイケメン……年齢のせいか渋い感じでね。和樹に感じるかわいい部分はなくて、そう!お祖父さんに目元とか似てるかな。

「拓司さんかっこいい……」
「だろ?今はあんまり会えないけどね」
「ここが勤務地なら仕方ないか」
「まあね。兄さんは僕よりある意味優秀。家を上手く利用して国内屈指のホテルの総支配人だ」
「へえ……」

 拓司さんは昔からグループに参加するつもりで生きて来ているから覚悟が違う。やるからにはと相当努力もしたそうだ。

「だからここを任されていている」
「すごい……」

 奥さんもここの支配人で、実質現場を仕切っている人。奥さんは遠い身内の方で、蒼士さんのお母さん方の親戚だそう。

「へえ……まさか政略結婚?」
「あはは違うよ。たまたま同じホテル勤務だっただけ。それでお付き合いして結婚したんだ」
「へえ。奥さんも優秀なんだね」

 拓司さんも奥さんもここが沖縄に出来てからずっとここだそうだ。用事がなければ本社には来ない。それに奥さんは女性としてより、人として好きになって結婚されたそうで、仲はいいんだって。
 拓司さんは若い頃は遊んでたけど、結婚後は浮気とかも聞かない。夫婦でここに何年も勤務してるけど、ケンカもなくていい関係だそう。グループで唯一夫婦で勤務してるホテルだそうだ。余程相性がいいのか、お互いを尊敬出来るなにかがあるんだろうなあ。

「そうだ!和樹この旅行はなに?こんないい部屋でさ」
「智也、まずキスして。話しはそれからね」
「ああうん」

 チュッと軽くした。すると、んふふっと和樹は幸せそうに笑った。

「僕たちは正式に結婚は出来ないから、せめて新婚旅行とお式だけでもって兄さんにお願いしたんだ。この日しかこの部屋ムリって言われて今日になった」
「え……お式……俺と和樹の?」
「そうだよ。僕は年始頃からひとりで出かけることが多かったろ?打ち合わせしてたんだ」

 うそだろ……俺にそんな日が来るなんて。一生ないと……和樹がパートナーにとプロポーズしてくれたのすら奇跡だと思ったのに。お式とか。

「ごめん……胸かして」
「うん」

 俺は膝に乗り抱きついた。嬉しくて涙が。

「ありがとう和樹」
「いいえ。喜んでくれてよかった」

 俺が泣き止む頃にルームサービスが来たけど、なにこの食事。

「すごく美味しそう」
「海の幸を使った物ばかりだね」

 ダイニングテーブルに並べられた食事は、コースを一度に出したみたいな感じで目にも華やかだった。和樹は用意してくれてるスタッフに、

「支配人が用意した車はどこにありますか?」
「はい。お出かけの際に車寄せにご用意します。何時がよろしいですか?」
「そうだな、二時間後にお願いします」

 手際よく並べていくスタッフのお兄さん。

「かしこまりました。その時にこちらも下げに参ります。それと僭越せんえつながら、ご結婚おめでとうございます」
「ありがとうございます」

 ホテルのスタッフが下がるとふたりで見合ってうふふ。身内以外におめでとうって言われると嬉しいものだねって。
 車はどこ行くの?と食べながら聞いたけど、特にって。これは目的地考えてなかったそうだ。

「ふたりで過ごすことを目的にしてたから、そんなに観光するつもりもなくて」
「そう」

 先月中過ぎから忙しくあんまり話したり出来なかったろ?って。確かに。お雛様観に行った後から忙しくてなあ。
 食事が終わるとふたりで広いベランダに出た。椅子とテーブル、端にはジャグジーもある。俺は海が見たくてベランダに出た。

「本州とは海の色も景色も違うね」
「そうだね。智は沖縄初めて?」
「うん。長崎まではあるけどね。そこより南は初めてだよ」
「そっか」

 潮風がなんて気持ちいいんだろう。海の匂いもする。眼下には砂浜を歩いている人が見えて、風に乗って笑い声も聞こえる。

「ごめんね。泳ぎたかったかな?でも海開き来週なんだ。だから今空いてたんだよ」
「ああそっか。別に泳がなくてもいいかな」

 ぼんやりふたりで海を眺めてると、智って頬を撫でてキスしてくるし!下から見えるかもでしょ!

「座れば見えないよ」
「もう!んうっ……」

 舌を絡ませてると外でしてるみたいな気分だ。波の音もあってね。俺は和樹に跨がって……

「和樹…これ以上はしたくなる」
「うん。まだ時間あるから……」

 俺の短パンを脱がすと漏れたのを擦り付けてずぶっ!なにしやがる!

「和樹!だめでしょ!夜に……あ…ん……」
「我慢はしたくない」
「ここティッシュ近くにない……服汚れる……うっ…」
「ハァハァ…着替えたら不審か」

 俺を下ろしてティッシュを掴んで戻ってすぐにズブリ。

「これならいいでしょ?」
「和樹……昨日してないからって」
「これから四日はし放題だ」
「穴が持たねえよ」
「じゃあ限界までね」

 そう言うとグチュグチュと。和樹は俺の先を掴んで……

「外と思うと興奮するよね」
「あっ…声がまん……あっキツい……キスして」
「うん」

 口を塞がれながらしてても声が……んっ…あぅ

「我慢してる智もいいな」
「俺声をがまん……しないから…ハァハァ…もう出……そ…」
「一緒に」

 跨がってるから深くて、外だと思うと興奮して……出る……くうっ!

「まだだよ」
「ウグッい、痛…い……かずきっ」

 強く握られて震える……出したいのに!根元握られて痛い!快感と痛みで声が……!あうっ!

「か、かず……ウグッ……ぎもぢい……なんでぇ…」
「智…煽るな」

 和樹は強く唇を押し付けて口を塞ぐ!苦しっ気持ちよくて痛くて苦しくて涙出る……バカみたいに気持ちいい。この堪らない快感に周りの音が消え、射精するまでなにも聞こえなかった。

「ハァハァ……ふふっよかったようだな」
「あぁ…よかった。俺……やっぱりМだな……痛みに悦んじゃった」
「だと思った。いつも以上に感じてただろ?」
「うん……飛ぶとは違う快感で……」
「これ好き?」
「うん」

 チュッとされて今晩もしてあげるって。ヤダ楽しみ。さてそろそろ時間だと股間を処理して支度した。まあ、貴重品持つくらいだけどね。俺ドライブなんて久しぶりで、いそいそと準備した。



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