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50.公爵令嬢の困惑②〜公爵令嬢視点〜
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最近では公爵家当主である父が頭を抱えている姿を頻繁に見掛ける。
どうしたのかと聞いても『お前が心配することはない、なんとかしてみせるから』と理由を話してはくれない。
豪華な屋敷に相応しい装飾品が日に日に姿を消している。
使用人達も自ら辞める者が続いている、まるで沈みゆく船を見捨てるかのように。
我が家になにかが起こっているのは確かだ。
そしてなぜか元生徒会役員達の末路が頭をよぎる。
か…考えすぎよね…?
だって我が家は公爵家よ。
王家についで高貴な立場だわ。
そう思っていても、何かせずにはいられなかった。
でも実際に私ができることはなんだろうかと必死に考える。
私は王族である第4王子の婚約者。
それを使えばいい、彼に助けを乞えばいい。
王家が私達のことを見捨てるはずなどないのだから。
急いで王宮へと向かう。
約束はなかったが、第4王子の婚約者である私はなかに入ることが許された。
第4王子に会うとすぐに私は無我夢中で助けを求めた。
「お願い、我が家を助けて頂戴!
お父様が困っているの、理由は話してくれないけれども、」
でも私の言葉を遮るように彼は声を上げた。
「煩いっ、こっちはそれどころじゃない!
公金に手を出していたのがバレて廃嫡されるかもしれないんだっ!」
廃嫡?なにを言っているのか。
彼は王子だ、守られるべき立場の人だ。
「えっ…。で、でも国王陛下ならそんなことなさらないわ」
陛下がそんな誤った判断をするはずがない。
「第1王子である兄上にバレたんだ!
父上は穏便に処理しようとしてくれた。だがあの頭の固い兄はそれを許さなかった。罪を償えと言ってくるんだ。
それに今まで父上が裏で穏便に処理してくれていたことも芋蔓式にバレてしまって、父上も微妙な立場に立たされている。兄上はことを大袈裟に捉えて、父である国王陛下に退位を迫っている…」
「で、では婚約解消を…」
婚約解消をしなければ。
私まで道連れにされたくない。
「はんっ、なにを言っている、君も同罪だろう?公金で散財したのは私だけじゃない、君だってそうだ。未来の王子妃なのだからいいわよねって言っていただろうがっ」
第4王子は吐き捨てるようにそう告げると頭を抱えて『もうおしまいだ…』と泣き始めた。
こんなことになると分かっていたら使わなかったのに…。
誰か助けて…。
どうしてこんな事になったのか…。
頭を過るのは生徒会役員だった時のこと。
あの時も追い詰められてもう駄目かと焦ったけれども、周りが勝手に配慮してくれた。だから乗り越えることができた。
私の輝かしい人生に汚点は一つもつかなかった。
そのうえ捕らえられたあの令嬢も解放され、結果的には誰ひとり傷つくこともなかった。
後味の悪い思いをしなくて良かったと心のうちで安堵していたのを微かに覚えている。
今回だってなんとかなるかもしれない。
いいえ、なんとかなるわ。
……絶対に……。
そう思えてくると少し気が楽になった。
とりあえず屋敷に帰りましょう。
父が、誰かが、きっとなんとかしてくれるはず。
だって私は高貴な公爵令嬢なのだから。
どうしたのかと聞いても『お前が心配することはない、なんとかしてみせるから』と理由を話してはくれない。
豪華な屋敷に相応しい装飾品が日に日に姿を消している。
使用人達も自ら辞める者が続いている、まるで沈みゆく船を見捨てるかのように。
我が家になにかが起こっているのは確かだ。
そしてなぜか元生徒会役員達の末路が頭をよぎる。
か…考えすぎよね…?
だって我が家は公爵家よ。
王家についで高貴な立場だわ。
そう思っていても、何かせずにはいられなかった。
でも実際に私ができることはなんだろうかと必死に考える。
私は王族である第4王子の婚約者。
それを使えばいい、彼に助けを乞えばいい。
王家が私達のことを見捨てるはずなどないのだから。
急いで王宮へと向かう。
約束はなかったが、第4王子の婚約者である私はなかに入ることが許された。
第4王子に会うとすぐに私は無我夢中で助けを求めた。
「お願い、我が家を助けて頂戴!
お父様が困っているの、理由は話してくれないけれども、」
でも私の言葉を遮るように彼は声を上げた。
「煩いっ、こっちはそれどころじゃない!
公金に手を出していたのがバレて廃嫡されるかもしれないんだっ!」
廃嫡?なにを言っているのか。
彼は王子だ、守られるべき立場の人だ。
「えっ…。で、でも国王陛下ならそんなことなさらないわ」
陛下がそんな誤った判断をするはずがない。
「第1王子である兄上にバレたんだ!
父上は穏便に処理しようとしてくれた。だがあの頭の固い兄はそれを許さなかった。罪を償えと言ってくるんだ。
それに今まで父上が裏で穏便に処理してくれていたことも芋蔓式にバレてしまって、父上も微妙な立場に立たされている。兄上はことを大袈裟に捉えて、父である国王陛下に退位を迫っている…」
「で、では婚約解消を…」
婚約解消をしなければ。
私まで道連れにされたくない。
「はんっ、なにを言っている、君も同罪だろう?公金で散財したのは私だけじゃない、君だってそうだ。未来の王子妃なのだからいいわよねって言っていただろうがっ」
第4王子は吐き捨てるようにそう告げると頭を抱えて『もうおしまいだ…』と泣き始めた。
こんなことになると分かっていたら使わなかったのに…。
誰か助けて…。
どうしてこんな事になったのか…。
頭を過るのは生徒会役員だった時のこと。
あの時も追い詰められてもう駄目かと焦ったけれども、周りが勝手に配慮してくれた。だから乗り越えることができた。
私の輝かしい人生に汚点は一つもつかなかった。
そのうえ捕らえられたあの令嬢も解放され、結果的には誰ひとり傷つくこともなかった。
後味の悪い思いをしなくて良かったと心のうちで安堵していたのを微かに覚えている。
今回だってなんとかなるかもしれない。
いいえ、なんとかなるわ。
……絶対に……。
そう思えてくると少し気が楽になった。
とりあえず屋敷に帰りましょう。
父が、誰かが、きっとなんとかしてくれるはず。
だって私は高貴な公爵令嬢なのだから。
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