26 / 30
23.閑話~嫁の奪還へ~
しおりを挟む
今日も平和な貧乏小国に驚きの知らせが届いた。
なんとロナ姫が皇帝ハヤンの正妃として迎えられるというのだ。
「いやーどうなるかと心配していたんだが本当に良かった、良かった」
心から安堵する国王。そして臣下達もみな揃って頷いている。
それもそうだ、貧乏小国では自慢の姫だが隣国で通用するとは実は誰も思っていなかった。
…それはいくらなんでも酷…くないかも?
「本当に蓼食う虫も好き好きですね~。隣国の皇帝の趣味が変わっていて救われましたな」
宰相がさらりと失礼な発言をするが、国王も怒るどころか『儂もこれからそれ言おうと思ったのにー!』と先に言われて悔しがっている。
国王と宰相からは間違いなくロナ姫と同じ匂いがする…。
もしかしたら焼き鳥兄弟の存在がロナ姫を作り上げたのかもしれない。
お馬鹿なやり取りをする二人に優秀な家臣が訊ねる。
「それでお祝いの品はどうしますか?」
こういう場合はドーンと祝いの品を送るのが常識だが、この国は特産品なし金なしなので送る物がない…。
いくら悩んでも無い袖は振れない。
『ならこれでいいかっ!』とこの春にたくさん生まれた可愛い子豚達を10頭贈ることにした。
ブヒブヒブヒーー。
ブッヒーブッヒッヒーー。
今日も元気溌溂な子豚達。
家畜世話係の新人二人、国王と宰相は子豚小屋に入り隣国へ贈る子豚を選んでいた。
「国王様、この子は可愛いし元気でロナ姫様にそっくりですよ。この子も送りましょう」
そう言って9頭目の子豚を選んだ宰相はその子を連れて子豚小屋から出ていった。
『フンフンフ~ン、豚のフン~♪』と鼻歌を歌いながら最後の10頭目の子豚を選んでいる国王。
可愛い姫への祝いの子豚を選んでいるので超ご機嫌だ。
「どの子にしようかのー♪」
そう言いながら子豚を吟味していると、ドンッとなにかにぶつかった。
「ああ、宰相かすまんな…」と言いながら振り向くとそこには宰相の姿はなかった。
代わりにふんぞり返ったブタ吉がいた。
それを見て即座にその場で正座をする国王。
ヒッー!
ブ、ブタ吉…様…。
あの日からブタ吉によって毎日肥溜めに落とされ、はたまた崖から突き落とされた憐れな国王はいつしかブタ吉を『ブタ吉様』と呼び、ひれ伏す様になっていた。
…現在この国の頂点は国王ではない、このブタ吉様である。
トントンと軽快なリズムで国王に近寄るブタ吉様。
※この後の会話は実は成立していません。
豚語が分からない国王ですがブタ吉の毛一本の動きも見逃さずに無理矢理心の中を察して会話のようになっています。
ブッヒッヒブーー!
(おい、何してやがる!)
「は、はい。実はこの度ロナが隣国の正妃になる事になりまして…。その祝いの品に子豚を10頭ほど贈ることに…なりました」
ブッヒー?ブブブヒッブ!
(なに?俺の嫁が正妃だとっ!)
「も、申し訳ございません!私の力及ばず…」
ブッブブウブウー、ブヒンブー!
(絶対に阻止してやるっ。おい国王、最後の一頭は俺にしろ!)
「ブ、ブタ吉様をですか…?ですが子豚では、」
ブブブブウウウウーーブッヒ!
(俺はちょっと大きな子豚だ。そうだよな?国王!)
「は、はい。ブタ吉様はまだ生後二か月の300キロの子豚でございます」
ブッヒブッブッブ。
(そうだ、やれば出来るじゃんかよっ)
待ってろよ俺の嫁!
間男から必ず救い出すぜ!
ブッヒッヒーーーーーーー!
ブタ吉の決意の咆哮が城中に響き渡る。
嫁奪還の為に動き出すブタ吉はまさに男気溢れる豚だった。
仲間の豚からは『頑張れ!ブタ吉』と激励を受け、男ブタ吉は子豚に紛れ込み隣国へと旅立った。
この時のブタ吉の頭の中はロナとの感動の再会でいっぱいだった。
【ブタ吉脳内劇場】
皇帝との結婚式に臨む囚われのロナ姫。
(この泥棒間男めっ)
颯爽と現れるブタ吉・ホフマンが『異議あり!』と叫びロナ姫を略奪。
(ブッヒッヒ、俺って最高にイケてる)
二人は手に手を取って幸せな未来へと走り去る。
(完)
だがブタ吉は知らなかった…。
ブタ吉が国王を脅している裏で行われていた運送業者と宰相のやり取りを。
『なるべく運送代金が安い方法でお願いします』
『えっ…。早くではなく安くでいいんですか?
そうなると他の荷物と一緒の運送になるので大分遅れますよ。到着予定日も未定になりますが』
『いいんです、いいんです。うち貧乏国でお金無いから構いません、ハッハッハ』
隣国へ何かを運ぶ時は通常三週間は掛かる。だがこのお安いコースは言うなれば相乗り配送のようなもの。色々と寄り道しながら運ぶのでいつ到着するか明記されていなかった…。
(ドナドナで歌ってみよう♪)
『ブタブタブ~タ、ブ~タ~。
子豚を乗ーせーてー。
ブタブタブ~タ、ブ~タ~。
偽装子豚が揺ーれーるー。』
なんとロナ姫が皇帝ハヤンの正妃として迎えられるというのだ。
「いやーどうなるかと心配していたんだが本当に良かった、良かった」
心から安堵する国王。そして臣下達もみな揃って頷いている。
それもそうだ、貧乏小国では自慢の姫だが隣国で通用するとは実は誰も思っていなかった。
…それはいくらなんでも酷…くないかも?
「本当に蓼食う虫も好き好きですね~。隣国の皇帝の趣味が変わっていて救われましたな」
宰相がさらりと失礼な発言をするが、国王も怒るどころか『儂もこれからそれ言おうと思ったのにー!』と先に言われて悔しがっている。
国王と宰相からは間違いなくロナ姫と同じ匂いがする…。
もしかしたら焼き鳥兄弟の存在がロナ姫を作り上げたのかもしれない。
お馬鹿なやり取りをする二人に優秀な家臣が訊ねる。
「それでお祝いの品はどうしますか?」
こういう場合はドーンと祝いの品を送るのが常識だが、この国は特産品なし金なしなので送る物がない…。
いくら悩んでも無い袖は振れない。
『ならこれでいいかっ!』とこの春にたくさん生まれた可愛い子豚達を10頭贈ることにした。
ブヒブヒブヒーー。
ブッヒーブッヒッヒーー。
今日も元気溌溂な子豚達。
家畜世話係の新人二人、国王と宰相は子豚小屋に入り隣国へ贈る子豚を選んでいた。
「国王様、この子は可愛いし元気でロナ姫様にそっくりですよ。この子も送りましょう」
そう言って9頭目の子豚を選んだ宰相はその子を連れて子豚小屋から出ていった。
『フンフンフ~ン、豚のフン~♪』と鼻歌を歌いながら最後の10頭目の子豚を選んでいる国王。
可愛い姫への祝いの子豚を選んでいるので超ご機嫌だ。
「どの子にしようかのー♪」
そう言いながら子豚を吟味していると、ドンッとなにかにぶつかった。
「ああ、宰相かすまんな…」と言いながら振り向くとそこには宰相の姿はなかった。
代わりにふんぞり返ったブタ吉がいた。
それを見て即座にその場で正座をする国王。
ヒッー!
ブ、ブタ吉…様…。
あの日からブタ吉によって毎日肥溜めに落とされ、はたまた崖から突き落とされた憐れな国王はいつしかブタ吉を『ブタ吉様』と呼び、ひれ伏す様になっていた。
…現在この国の頂点は国王ではない、このブタ吉様である。
トントンと軽快なリズムで国王に近寄るブタ吉様。
※この後の会話は実は成立していません。
豚語が分からない国王ですがブタ吉の毛一本の動きも見逃さずに無理矢理心の中を察して会話のようになっています。
ブッヒッヒブーー!
(おい、何してやがる!)
「は、はい。実はこの度ロナが隣国の正妃になる事になりまして…。その祝いの品に子豚を10頭ほど贈ることに…なりました」
ブッヒー?ブブブヒッブ!
(なに?俺の嫁が正妃だとっ!)
「も、申し訳ございません!私の力及ばず…」
ブッブブウブウー、ブヒンブー!
(絶対に阻止してやるっ。おい国王、最後の一頭は俺にしろ!)
「ブ、ブタ吉様をですか…?ですが子豚では、」
ブブブブウウウウーーブッヒ!
(俺はちょっと大きな子豚だ。そうだよな?国王!)
「は、はい。ブタ吉様はまだ生後二か月の300キロの子豚でございます」
ブッヒブッブッブ。
(そうだ、やれば出来るじゃんかよっ)
待ってろよ俺の嫁!
間男から必ず救い出すぜ!
ブッヒッヒーーーーーーー!
ブタ吉の決意の咆哮が城中に響き渡る。
嫁奪還の為に動き出すブタ吉はまさに男気溢れる豚だった。
仲間の豚からは『頑張れ!ブタ吉』と激励を受け、男ブタ吉は子豚に紛れ込み隣国へと旅立った。
この時のブタ吉の頭の中はロナとの感動の再会でいっぱいだった。
【ブタ吉脳内劇場】
皇帝との結婚式に臨む囚われのロナ姫。
(この泥棒間男めっ)
颯爽と現れるブタ吉・ホフマンが『異議あり!』と叫びロナ姫を略奪。
(ブッヒッヒ、俺って最高にイケてる)
二人は手に手を取って幸せな未来へと走り去る。
(完)
だがブタ吉は知らなかった…。
ブタ吉が国王を脅している裏で行われていた運送業者と宰相のやり取りを。
『なるべく運送代金が安い方法でお願いします』
『えっ…。早くではなく安くでいいんですか?
そうなると他の荷物と一緒の運送になるので大分遅れますよ。到着予定日も未定になりますが』
『いいんです、いいんです。うち貧乏国でお金無いから構いません、ハッハッハ』
隣国へ何かを運ぶ時は通常三週間は掛かる。だがこのお安いコースは言うなれば相乗り配送のようなもの。色々と寄り道しながら運ぶのでいつ到着するか明記されていなかった…。
(ドナドナで歌ってみよう♪)
『ブタブタブ~タ、ブ~タ~。
子豚を乗ーせーてー。
ブタブタブ~タ、ブ~タ~。
偽装子豚が揺ーれーるー。』
71
あなたにおすすめの小説
乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!
ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。
相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。
結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。
現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう…
その時に前世の記憶を取り戻すのだった…
「悪役令嬢の兄の婚約者って…」
なんとも微妙なポジション。
しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。
「一晩一緒に過ごしただけで彼女面とかやめてくれないか」とあなたが言うから
キムラましゅろう
恋愛
長い間片想いをしていた相手、同期のディランが同じ部署の女性に「一晩共にすごしただけで彼女面とかやめてくれないか」と言っているのを聞いてしまったステラ。
「はいぃ勘違いしてごめんなさいぃ!」と思わず心の中で謝るステラ。
何故なら彼女も一週間前にディランと熱い夜をすごした後だったから……。
一話完結の読み切りです。
ご都合主義というか中身はありません。
軽い気持ちでサクッとお読み下さいませ。
誤字脱字、ごめんなさい!←最初に謝っておく。
小説家になろうさんにも時差投稿します。
図書館でうたた寝してたらいつの間にか王子と結婚することになりました
鳥花風星
恋愛
限られた人間しか入ることのできない王立図書館中枢部で司書として働く公爵令嬢ベル・シュパルツがお気に入りの場所で昼寝をしていると、目の前に見知らぬ男性がいた。
素性のわからないその男性は、たびたびベルの元を訪れてベルとたわいもない話をしていく。本を貸したりお茶を飲んだり、ありきたりな日々を何度か共に過ごしていたとある日、その男性から期間限定の婚約者になってほしいと懇願される。
とりあえず婚約を受けてはみたものの、その相手は実はこの国の第二王子、アーロンだった。
「俺は欲しいと思ったら何としてでも絶対に手に入れる人間なんだ」
見た目の良すぎる双子の兄を持った妹は、引きこもっている理由を不細工だからと勘違いされていましたが、身内にも誤解されていたようです
珠宮さくら
恋愛
ルベロン国の第1王女として生まれたシャルレーヌは、引きこもっていた。
その理由は、見目の良い両親と双子の兄に劣るどころか。他の腹違いの弟妹たちより、不細工な顔をしているからだと噂されていたが、実際のところは全然違っていたのだが、そんな片割れを心配して、外に出そうとした兄は自分を頼ると思っていた。
それが、全く頼らないことになるどころか。自分の方が残念になってしまう結末になるとは思っていなかった。
愛のない結婚をした継母に転生したようなので、天使のような息子を溺愛します
美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
目が覚めると私は昔読んでいた本の中の登場人物、公爵家の後妻となった元王女ビオラに転生していた。
人嫌いの公爵は、王家によって組まれた前妻もビオラのことも毛嫌いしており、何をするのも全て別。二人の結婚には愛情の欠片もなく、ビオラは使用人たちにすら相手にされぬ生活を送っていた。
それでもめげずにこの家にしがみついていたのは、ビオラが公爵のことが本当に好きだったから。しかしその想いは報われることなどなく彼女は消え、私がこの体に入ってしまったらしい。
嫌われ者のビオラに転生し、この先どうしようかと考えあぐねていると、この物語の主人公であるルカが声をかけてきた。物語の中で悲惨な幼少期を過ごし、闇落ち予定のルカは純粋なまなざしで自分を見ている。天使のような可愛らしさと優しさに、気づけば彼を救って本物の家族になりたいと考える様に。
二人一緒ならばもう孤独ではないと、私はルカとの絆を深めていく。
するといつしか私を取り巻く周りの人々の目も、変わり始めるのだったーー
妹に婚約者を奪われたので、田舎暮らしを始めます
tartan321
恋愛
最後の結末は??????
本編は完結いたしました。お読み頂きましてありがとうございます。一度完結といたします。これからは、後日談を書いていきます。
「白い結婚最高!」と喜んでいたのに、花の香りを纏った美形旦那様がなぜか私を溺愛してくる【完結】
清澄 セイ
恋愛
フィリア・マグシフォンは子爵令嬢らしからぬのんびりやの自由人。自然の中でぐうたらすることと、美味しいものを食べることが大好きな恋を知らないお子様。
そんな彼女も18歳となり、強烈な母親に婚約相手を選べと毎日のようにせっつかれるが、選び方など分からない。
「どちらにしようかな、天の神様の言う通り。はい、決めた!」
こんな具合に決めた相手が、なんと偶然にもフィリアより先に結婚の申し込みをしてきたのだ。相手は王都から遠く離れた場所に膨大な領地を有する辺境伯の一人息子で、顔を合わせる前からフィリアに「これは白い結婚だ」と失礼な手紙を送りつけてくる癖者。
けれど、彼女にとってはこの上ない条件の相手だった。
「白い結婚?王都から離れた田舎?全部全部、最高だわ!」
夫となるオズベルトにはある秘密があり、それゆえ女性不信で態度も酷い。しかも彼は「結婚相手はサイコロで適当に決めただけ」と、面と向かってフィリアに言い放つが。
「まぁ、偶然!私も、そんな感じで選びました!」
彼女には、まったく通用しなかった。
「なぁ、フィリア。僕は君をもっと知りたいと……」
「好きなお肉の種類ですか?やっぱり牛でしょうか!」
「い、いや。そうではなく……」
呆気なくフィリアに初恋(?)をしてしまった拗らせ男は、鈍感な妻に不器用ながらも愛を伝えるが、彼女はそんなことは夢にも思わず。
──旦那様が真実の愛を見つけたらさくっと離婚すればいい。それまでは田舎ライフをエンジョイするのよ!
と、呑気に蟻の巣をつついて暮らしているのだった。
※他サイトにも掲載中。
妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~
サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる