12 / 95
第11話 戦利品
しおりを挟む
「フフフ……やったわ」
ベッドの上で目覚めた私は最高に気分が良かった。何しろ、思った通り夢の中から私物をこの世界に持ってくることが出来たのだから。
ベッドの上に置かれた戦利品? を早速チェックしてみる。
「えっと……お煎餅、スナック菓子でしょ……おぉ! ちゃんと味噌にお米まであるじゃない」
全て紙袋に戻し、満足して頷くと早速私は食材を持って厨房へと向かった。
**
「ステラお嬢様!? な、何故こちらにいらしたのですか!?」
厨房へ現れると、ここの料理長らしき男性が怯えた目で私を見る。他の料理人達も挨拶はしたものの、みんな遠巻きに私を見ている。
「まさか私の料理に不満を感じ、直々に罰を与えに来たのでしょうか……?」
「いいえ。違いますけど?」
ステラは一体どれだけ性悪なのだろう? こんなに大の男を怖がらせるなんて。
「それでは、どの様な御要件でしょうか……」
「実は、これを料理してみたくてね」
私が料理長に差し出したのは他でもない。
「コレは一体何ですか?」
首を傾げる料理長。やはり、この世界には存在していなかったのだ。
「これはね……お米です。これでご飯を炊こうと思って」
「オコメ……ゴハン……? はて、何のことでしょう?」
「説明するよりは作ったほうが早いわ。厨房を貸してくださいね」
「え!? あ、あの!」
料理長が止めようとするものの、構わず私は炊事場へ向かうと腕まくりした。
炊飯器は無くても、鍋でご飯を炊いた経験はある。
そうだ、ついでにお味噌汁も作ろう。
「料理長。お鍋と……あと、厨房にある食材を見せてもらえる? そうだな……野菜がいいかな?」
私の後についてきた料理長に声をかける。
「え? あ……は、はい! 分かりました! おい! ステラお嬢まさのご命令だ! 野菜を持って来い!」
「は、はい!」
「分かりました!」
「すぐに持ってきます!」
お米をといで、分量通りの水を入れたところで私の周りには野菜が並べられていた。
「う~ん……よし、これにしよう」
早速、包丁を握りしめると味噌汁作りを開始した――
****
――午後4時過ぎ。
昼食をとるにしては遅すぎ、夜ご飯にしては早すぎるという変な時間に料理が完成した。
「あ、あの……これは一体何でしょうか?」
料理長が調理台の上に置かれた料理を指差す。他の人たちも物珍しそうに集まっている。
「これはね……おにぎりと具沢山のお味噌汁よ」
皿の上に乗せられた、海苔を巻いた10個三角おにぎりに、野菜の具材がゴロゴロ入ったお味噌汁が鍋に入っている。
「見たこともない料理ですね」
「でも美味しそう……」
「独特な香りがしますね」
集まった人たちは皆関心を持って私の料理を眺めている。今厨房には私を含め、丁度10人の人がいる。
「とにかく、食べてみて?」
早速自ら皿に乗ったおにぎりを手に取り、口にする。
「う~ん……美味しい! 塩味の利いたご飯に海苔の組み合わせが最高!」
「な、なら頂きます」
料理長もおにぎりを手に取り口に入れる。
「う…う、美味い! な、何だ……こんなにシンプルなのに奥深い味は……!」
感動しまくる料理長に連れられてか、次々と他の人々も手を伸ばし……全員が感動して震えている。
お味噌汁だって好評だった。
「どうだった? 和食の味は」
全員が完食すると、私は料理長に尋ねた。
「ワショク……これはワショクっていうんですか? とっても美味しかったです!」
料理長は興奮気味に頷く。
「そう? なら良かった。後でまたお米を追加で持ってくるから……明日の私の昼食に、今のおにぎりを作ってくれる? 手伝ってくれたので作り方は覚えましたよね?」
「はい、もちろんです。確かに持ち運びには便利な料理ですね。明日のステラお嬢様の昼食に、必ず『おにぎり』をご用意致します」
やった! 明日のお昼はおにぎりが食べられる!
ついでに厨房の人たちとも仲良くなれたし、一石二鳥だ。
料理長の言葉に、満足して頷く私。
まさか『おにぎり』がきっかけで自分が厄介な人物に目を付けられることになるなど予想もせずに――
ベッドの上で目覚めた私は最高に気分が良かった。何しろ、思った通り夢の中から私物をこの世界に持ってくることが出来たのだから。
ベッドの上に置かれた戦利品? を早速チェックしてみる。
「えっと……お煎餅、スナック菓子でしょ……おぉ! ちゃんと味噌にお米まであるじゃない」
全て紙袋に戻し、満足して頷くと早速私は食材を持って厨房へと向かった。
**
「ステラお嬢様!? な、何故こちらにいらしたのですか!?」
厨房へ現れると、ここの料理長らしき男性が怯えた目で私を見る。他の料理人達も挨拶はしたものの、みんな遠巻きに私を見ている。
「まさか私の料理に不満を感じ、直々に罰を与えに来たのでしょうか……?」
「いいえ。違いますけど?」
ステラは一体どれだけ性悪なのだろう? こんなに大の男を怖がらせるなんて。
「それでは、どの様な御要件でしょうか……」
「実は、これを料理してみたくてね」
私が料理長に差し出したのは他でもない。
「コレは一体何ですか?」
首を傾げる料理長。やはり、この世界には存在していなかったのだ。
「これはね……お米です。これでご飯を炊こうと思って」
「オコメ……ゴハン……? はて、何のことでしょう?」
「説明するよりは作ったほうが早いわ。厨房を貸してくださいね」
「え!? あ、あの!」
料理長が止めようとするものの、構わず私は炊事場へ向かうと腕まくりした。
炊飯器は無くても、鍋でご飯を炊いた経験はある。
そうだ、ついでにお味噌汁も作ろう。
「料理長。お鍋と……あと、厨房にある食材を見せてもらえる? そうだな……野菜がいいかな?」
私の後についてきた料理長に声をかける。
「え? あ……は、はい! 分かりました! おい! ステラお嬢まさのご命令だ! 野菜を持って来い!」
「は、はい!」
「分かりました!」
「すぐに持ってきます!」
お米をといで、分量通りの水を入れたところで私の周りには野菜が並べられていた。
「う~ん……よし、これにしよう」
早速、包丁を握りしめると味噌汁作りを開始した――
****
――午後4時過ぎ。
昼食をとるにしては遅すぎ、夜ご飯にしては早すぎるという変な時間に料理が完成した。
「あ、あの……これは一体何でしょうか?」
料理長が調理台の上に置かれた料理を指差す。他の人たちも物珍しそうに集まっている。
「これはね……おにぎりと具沢山のお味噌汁よ」
皿の上に乗せられた、海苔を巻いた10個三角おにぎりに、野菜の具材がゴロゴロ入ったお味噌汁が鍋に入っている。
「見たこともない料理ですね」
「でも美味しそう……」
「独特な香りがしますね」
集まった人たちは皆関心を持って私の料理を眺めている。今厨房には私を含め、丁度10人の人がいる。
「とにかく、食べてみて?」
早速自ら皿に乗ったおにぎりを手に取り、口にする。
「う~ん……美味しい! 塩味の利いたご飯に海苔の組み合わせが最高!」
「な、なら頂きます」
料理長もおにぎりを手に取り口に入れる。
「う…う、美味い! な、何だ……こんなにシンプルなのに奥深い味は……!」
感動しまくる料理長に連れられてか、次々と他の人々も手を伸ばし……全員が感動して震えている。
お味噌汁だって好評だった。
「どうだった? 和食の味は」
全員が完食すると、私は料理長に尋ねた。
「ワショク……これはワショクっていうんですか? とっても美味しかったです!」
料理長は興奮気味に頷く。
「そう? なら良かった。後でまたお米を追加で持ってくるから……明日の私の昼食に、今のおにぎりを作ってくれる? 手伝ってくれたので作り方は覚えましたよね?」
「はい、もちろんです。確かに持ち運びには便利な料理ですね。明日のステラお嬢様の昼食に、必ず『おにぎり』をご用意致します」
やった! 明日のお昼はおにぎりが食べられる!
ついでに厨房の人たちとも仲良くなれたし、一石二鳥だ。
料理長の言葉に、満足して頷く私。
まさか『おにぎり』がきっかけで自分が厄介な人物に目を付けられることになるなど予想もせずに――
389
あなたにおすすめの小説
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです
MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。
しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。
フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。
クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。
ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。
番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。
ご感想ありがとうございます!!
誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。
小説家になろう様に掲載済みです。
婚約者の態度が悪いので婚約破棄を申し出たら、えらいことになりました
神村 月子
恋愛
貴族令嬢アリスの婚約者は、毒舌家のラウル。
彼と会うたびに、冷たい言葉を投げつけられるし、自分よりも妹のソフィといるほうが楽しそうな様子を見て、アリスはとうとう心が折れてしまう。
「それならば、自分と妹が婚約者を変わればいいのよ」と思い付いたところから、えらいことになってしまうお話です。
登場人物たちの不可解な言動の裏に何があるのか、謎解き感覚でお付き合いください。
※当作品は、「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています
不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。
桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。
戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。
『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。
※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。
時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。
一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。
番外編の方が本編よりも長いです。
気がついたら10万文字を超えていました。
随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!
【完結】財務大臣が『経済の話だけ』と毎日訪ねてきます。婚約破棄後、前世の経営知識で辺境を改革したら、こんな溺愛が始まりました
チャビューヘ
恋愛
三度目の婚約破棄で、ようやく自由を手に入れた。
王太子から「冷酷で心がない」と糾弾され、大広間で婚約を破棄されたエリナ。しかし彼女は泣かない。なぜなら、これは三度目のループだから。前世は過労死した41歳の経営コンサル。一周目は泣き崩れ、二周目は慌てふためいた。でも三周目の今回は違う。「ありがとうございます、殿下。これで自由になれます」──優雅に微笑み、誰も予想しない行動に出る。
エリナが選んだのは、誰も欲しがらない辺境の荒れ地。人口わずか4500人、干ばつで荒廃した最悪の土地を、金貨100枚で買い取った。貴族たちは嘲笑う。「追放された令嬢が、荒れ地で野垂れ死にするだけだ」と。
だが、彼らは知らない。エリナが前世で培った、経営コンサルタントとしての圧倒的な知識を。三圃式農業、ブランド戦略、人材採用術、物流システム──現代日本の経営ノウハウを、中世ファンタジー世界で全力展開。わずか半年で領地は緑に変わり、住民たちは希望を取り戻す。一年後には人口は倍増、財政は奇跡の黒字化。「辺境の奇跡」として王国中で噂になり始めた。
そして現れたのが、王国一の冷徹さで知られる財務大臣、カイル・ヴェルナー。氷のような視線、容赦ない数字の追及。貴族たちが震え上がる彼が、なぜか月に一度の「定期視察」を提案してくる。そして月一が週一になり、やがて──「経済政策の話がしたいだけです」という言い訳とともに、毎日のように訪ねてくるようになった。
夜遅くまで経済理論を語り合い、気づけば星空の下で二人きり。「あなたは、何者なんだ」と問う彼の瞳には、もはや氷の冷たさはない。部下たちは囁く。「閣下、またフェルゼン領ですか」。本人は「重要案件だ」と言い張るが、その頬は微かに赤い。
一方、エリナを捨てた元婚約者の王太子リオンは、彼女の成功を知って後悔に苛まれる。「俺は…取り返しのつかないことを」。かつてエリナを馬鹿にした貴族たちも掌を返し、継母は「戻ってきて」と懇願する。だがエリナは冷静に微笑むだけ。「もう、過去のことです」。ざまあみろ、ではなく──もっと前を向いている。
知的で戦略的な領地経営。冷徹な財務大臣の不器用な溺愛。そして、自分を捨てた者たちへの圧倒的な「ざまぁ」。三周目だからこそ完璧に描ける、逆転と成功の物語。
経済政策で国を変え、本物の愛を見つける──これは、消去法で選ばれただけの婚約者が、自らの知恵と努力で勝ち取った、最高の人生逆転ストーリー。
無能だとクビになったメイドですが、今は王宮で筆頭メイドをしています
如月ぐるぐる
恋愛
「お前の様な役立たずは首だ! さっさと出て行け!」
何年も仕えていた男爵家を追い出され、途方に暮れるシルヴィア。
しかし街の人々はシルビアを優しく受け入れ、宿屋で住み込みで働く事になる。
様々な理由により職を転々とするが、ある日、男爵家は爵位剥奪となり、近隣の子爵家の代理人が統治する事になる。
この地域に詳しく、元男爵家に仕えていた事もあり、代理人がシルヴィアに協力を求めて来たのだが……
男爵メイドから王宮筆頭メイドになるシルビアの物語が、今始まった。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
プリン食べたい!婚約者が王女殿下に夢中でまったく相手にされない伯爵令嬢ベアトリス!前世を思いだした。え?乙女ゲームの世界、わたしは悪役令嬢!
山田 バルス
恋愛
王都の中央にそびえる黄金の魔塔――その頂には、選ばれし者のみが入ることを許された「王都学院」が存在する。魔法と剣の才を持つ貴族の子弟たちが集い、王国の未来を担う人材が育つこの学院に、一人の少女が通っていた。
名はベアトリス=ローデリア。金糸を編んだような髪と、透き通るような青い瞳を持つ、美しき伯爵令嬢。気品と誇りを備えた彼女は、その立ち居振る舞いひとつで周囲の目を奪う、まさに「王都の金の薔薇」と謳われる存在であった。
だが、彼女には胸に秘めた切ない想いがあった。
――婚約者、シャルル=フォンティーヌ。
同じ伯爵家の息子であり、王都学院でも才気あふれる青年として知られる彼は、ベアトリスの幼馴染であり、未来を誓い合った相手でもある。だが、学院に入ってからというもの、シャルルは王女殿下と共に生徒会での活動に没頭するようになり、ベアトリスの前に姿を見せることすら稀になっていった。
そんなある日、ベアトリスは前世を思い出した。この世界はかつて病院に入院していた時の乙女ゲームの世界だと。
そして、自分は悪役令嬢だと。ゲームのシナリオをぶち壊すために、ベアトリスは立ち上がった。
レベルを上げに励み、頂点を極めた。これでゲームシナリオはぶち壊せる。
そう思ったベアトリスに真の目的が見つかった。前世では病院食ばかりだった。好きなものを食べられずに死んでしまった。だから、この世界では美味しいものを食べたい。ベアトリスの食への欲求を満たす旅が始まろうとしていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる