多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています

結城芙由奈@コミカライズ連載中

文字の大きさ
63 / 95

第62話 ドタバタ劇場

しおりを挟む
「え? あ、そうだ……いえ、そうです」

申し訳無さそうに謝ってくるエド。

「一体何故、こんなに部屋を荒らしたんですか!? し、しかも女性の部屋を……!」

もう相手が王子様だろうと関係無かった。何しろ、エドにクローゼットの中身を全てぶちまけられ、扉という扉が全て開放されているのだから。

「そ、それは……ステラ! 君が原因だ!」

エドはビシッと私を指さしてきた。

「ええ!? 何故私が原因なんですか!?」

「当たり前だろう? 気付けば姿が消えていたから探し回ったんだよ! 一体今まで何処に隠れていたんだ? 驚かせるだけじゃなく、心配までさせて俺の愛を試すつもりだったのか!?」

「はぁ!? 愛っ!? ドサクサに紛れて何、寝ぼけたこと言っちゃってるんですか!? それに気付けば姿が消えていたって、どういうことなんです? 説明してくださいよ、説明を!」

そこで、少し冷静になったのかエドが頷いた。

「説明……そうか、そうだったな。先ずはステラの部屋をメチャクチャにした正当な理由を説明しなければ……」

「ええ。お願いします」

私は腕組みをして頷いた。


「それで、どんな正当な理由があるっていうんですか? 教えてください」

メチャクチャに荒らされた部屋で2人向かい合わせに座ると、早速エドに尋ねた。

「あ、ああ……その前に……」

チラリとエドは部屋を見渡し、尋ねてきた。

「この部屋……片付けなくていいのか?」

「ええ。いいです。後で自分で片付けますので」

冗談じゃない。
散らかっている物の中には、私の下着だって紛れているのだ。女性者の下着をエドに片付けさせるなんて、あり得ない。

「分かったよ。なら、話す」

そしてエドの説明というか、釈明が始まった。


「ステラがベッドに横になった後、俺はポテチを食べていたんだ」

「ええ、知っていますよ」

「ポテチは最高に美味しかった。俺は脇目もふらずにポテチを食べることに集中していたんだ」

「はぁ……なるほど」

それでいつ、本題に入るのだろう?

「そしてポテチを食べ終えて、気付いたんだよ」

「気付いた? 何にですか?」

「ステラがいなくなっていたことに決まっているだろう!?」

ビシッと私を指差すエド。

「え! いなくなっていた?」

「そうだよ。ベッドでこれから寝ますと言っておきながら、どうして隙をついていなくなったんだ? 俺を弄んで楽しいのか?」

「はぁ!? 何、人聞きの悪いこと言ってるんですか!? 大体弄ぶって何ですか!? 私は一度だってエドを弄んだことなどありません!」

「分かった。なら、聞こう。どうして勝手にいなくなってしまったんだ? しかもほんの一瞬目を話したすきに」

「ほんの一瞬……?」

やっぱりそうだったのだ。私は眠りに就いたと同時に、あの奇妙な空間に転移してしまったのだ。
なのに私が姿を消した肝心な瞬間を見ていなかったとは……。
目の前のエドを恨めしげに見つめる。

「な、何だ? 何でそんな恨めしそうな目で俺を見るんだ?」

「はぁ……もう、いいです。私はどうやら眠りに就いた瞬間に別の世界に転移しているみたいなんですよ」

「……は?」

エドがぽかんとした顔で私を見つめる。

「すまない。今何て言ったんだ?」

「だから、眠った瞬間に私は別の世界に一瞬で移動しているみたいなんです。恐らく『魂の交換』とやらが原因だとは思いますが」

「もしかしてステラが移動している世界っていうのはまさか……あの魅力的な食べ物に溢れた世界のことか!?」

「あ……ハハハハハ……まぁ、そうなりますね」

「そうだったのか……残念だ。俺も行ってみたかったな……」

エドのつぶやきを私は聞き逃さなかった。

「なら、エド。今夜私の部屋に泊まりませんか? 一緒に寝ましょう!」

「はぁ!? ね、寝るって本気で言ってるのか!?」

エドが顔を真っ赤に染めた時。

「ステラ! ついに来たわよ! エイドリアンと父親が!」

母が興奮気味に部屋へやってきて……。

「キャアアアアアッ!! な、何!? この部屋の有り様は!!」

悲鳴を上げた――


しおりを挟む
感想 90

あなたにおすすめの小説

転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした

ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!? 容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。 「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」 ところが。 ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。 無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!? でも、よく考えたら―― 私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに) お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。 これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。 じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――! 本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。 アイデア提供者:ゆう(YuFidi) URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464

白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。  しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。  冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!  わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?  それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?

結婚して5年、冷たい夫に離縁を申し立てたらみんなに止められています。

真田どんぐり
恋愛
ー5年前、ストレイ伯爵家の美しい令嬢、アルヴィラ・ストレイはアレンベル侯爵家の侯爵、ダリウス・アレンベルと結婚してアルヴィラ・アレンベルへとなった。 親同士に決められた政略結婚だったが、アルヴィラは旦那様とちゃんと愛し合ってやっていこうと決意していたのに……。 そんな決意を打ち砕くかのように旦那様の態度はずっと冷たかった。 (しかも私にだけ!!) 社交界に行っても、使用人の前でもどんな時でも冷たい態度を取られた私は周りの噂の恰好の的。 最初こそ我慢していたが、ある日、偶然旦那様とその幼馴染の不倫疑惑を耳にする。 (((こんな仕打ち、あんまりよーー!!))) 旦那様の態度にとうとう耐えられなくなった私は、ついに離縁を決意したーーーー。

「無能」と捨てられた少女は、神の愛し子だった――。 凍てつく北の地で始まる、聖獣たちと冷徹公爵による「世界一過保護な」逆転生活。

秦江湖
恋愛
魔法適性「鑑定」がすべてを決める、黄金の国ルミナリス。 名門ベルグラード公爵家の末娘アデリーンは、十五歳の鑑定式で、前代未聞の『鑑定不能(黒の沈黙)』を叩き出してしまう。 「我が家の恥さらしめ。二度とその顔を見せるな」 第一王子からは婚約破棄を突きつけられ、最愛の三人の兄たちからも冷酷な言葉とともに、極寒の地「ノースガル公国」へ追放を言い渡されたアデリーン。 着の身着のままで雪原に放り出された彼女が出会ったのは、一匹の衰弱した仔狼――それは、人間には決して懐かないはずの『伝説の聖獣』だった。 「鑑定不能」の正体は、魔力ゼロなどではなく、聖獣と心を通わせる唯一の力『調律師』の証。 行き倒れたアデリーンを救ったのは、誰もが恐れる氷の公爵ゼノスで……。 「こんなに尊い存在を捨てるとは、黄金の国の連中は正気か?」 「聖獣も、私も……お前を離すつもりはない」 氷の公爵に拾われ、聖獣たちに囲まれ、これまでの不遇が嘘のような「極上溺愛」を享受するアデリーン。 一方で、彼女を捨てた黄金の国は、聖獣の加護を失い崩壊の危機に直面していた。 慌ててアデリーンを連れ戻そうとする身勝手な王族たち。 しかし、彼らの前には「復讐」の準備を終えたアデリーンの兄たちが立ちはだかる。 「遅いよ。僕らのかわいい妹を泣かせた罪、一生かけて償ってもらうからね」 これは、すべてを失った少女が、真の居場所と愛を見つけるまでの物語。

悪女役らしく離婚を迫ろうとしたのに、夫の反応がおかしい

廻り
恋愛
第18回恋愛小説大賞にて奨励賞をいただきました。応援してくださりありがとうございました!  王太子妃シャルロット20歳は、前世の記憶が蘇る。  ここは小説の世界で、シャルロットは王太子とヒロインの恋路を邪魔する『悪女役』。 『断罪される運命』から逃れたいが、夫は離婚に応じる気がない。  ならばと、シャルロットは別居を始める。 『夫が離婚に応じたくなる計画』を思いついたシャルロットは、それを実行することに。  夫がヒロインと出会うまで、タイムリミットは一年。  それまでに離婚に応じさせたいシャルロットと、なぜか様子がおかしい夫の話。

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです

MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。 しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。 フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。 クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。 ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。 番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。 ご感想ありがとうございます!! 誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。 小説家になろう様に掲載済みです。

処理中です...