88 / 95
第87話 気付いた理由
しおりを挟む
「ふぅ~……やっと出て行ったか……」
エドが扉を見つめてため息をつく。
「ちょっといつまで抱きしめてるんですか? 離して下さいよ」
「あ、悪い」
腕の中でもがくとエドが手を離し、やっと私は自由になれた。
「全く……いくらカレンを追い払う為とはいえ、勘違いされるような言動は控えて下さいよ。いいですか? エド」
「え? 別に俺はそういうつもりじゃ……」
そこへ、魔女が声をかけてきた。
「まぁいいから、いいから。あの小娘も出て行ったところだしね。それで? 一体今日は何の用事で私の所に来たのかしら?」
「あ、その件なんですけど……そろそろ、例のアレが無くなる頃ではないかと思って、持ってきたんです」
私の言葉にエドが反応する。
「何だ? 例のアレって。いかがわしい事でもしているのか?」
「そんなことするはずないじゃないですか。はい、どうぞ魔女さん」
私はモバイルバッテリーをカウンターに置いた。
「え? これは何?」
魔女はモバイルバッテリーを手に取り、しげしげと見つめる。
「これはスマホの充電器ですよ。勿論フル充電してあります。そろそろバッテリーが無くなった頃では無いですか?」
「そう! そうなのよ! ついさっき、スマホを見つめていたら突然画面が真っ暗になって、何も映らなくなってしまったのよぉ~!! そこですることが無くなっちゃったから、おやつのケーキを食べていたら……あの狂暴女がいきなり店に押し入ってきたのよ。もう、いやになっちゃう!」
唇を尖らせる魔女は、やはりどこから見ても子供にしか見えない。
「それは災難でしたね。はい、ここをこうやって差せば充電できますから」
相槌を打ちながらスマホに充電器を差してあげる。
「ありがとう! これでまた遊べるのね?」
魔女はバッテリーが差し込まれたスマホをキラキラした目で見つめる。
一方、首を傾げているのはエドだった。
「スマホ……? モバイルバッテリー? 充電……? 一体何のことだ? さっぱり分からないな……」
「それじゃ、このまま少しの間充電させておいてください。いいですね?」
「分かったわ、すぐに遊びたいところだけど我慢ね」
頷く魔女に、私は先程疑問に思ったことを尋ねることにした。
「あの、先程カレンとの会話で疑問に思ったことがあるのですが……良いですか?」
「いいわよ。何? 立ち話もなんだから、二人とも座ったら」
魔女がカウンターの隅に積み上げられた椅子を指さしたので私とエドは椅子を持ってくると腰かけ、早速魔女に質問した。
「魔女さん、さっきカレンが変装して身元を偽っていたと話していましたよね?」
「うん、珍しい赤い瞳に髪の毛も長い銀髪だったのよ」
カレンの瞳は青いし、髪の毛だって茶色くて肩先迄しかない。それでは気付くはずも無いだろう。
「それならよく、彼女がカレンだと気づいたな?」
エドが尋ねる。
「フッフッフッ…‥‥私、耳には自信があるのよ。一度耳にした声は絶対に忘れない。これも魔女の特殊能力の一つよ。だけど、どうやって瞳の色を変えたのかしら……あんな魔法初めてだわ」
「……魔法じゃないかもしれません」
ポツリと呟く。
「魔法じゃない?」
「一体どういうことなの?」
魔女とエドが首を傾げる。
「はい! カレンは恐らカラコンとウィッグをつけてこの店を訪ねたに違いありません!!」
私はきっぱり言い切った――
エドが扉を見つめてため息をつく。
「ちょっといつまで抱きしめてるんですか? 離して下さいよ」
「あ、悪い」
腕の中でもがくとエドが手を離し、やっと私は自由になれた。
「全く……いくらカレンを追い払う為とはいえ、勘違いされるような言動は控えて下さいよ。いいですか? エド」
「え? 別に俺はそういうつもりじゃ……」
そこへ、魔女が声をかけてきた。
「まぁいいから、いいから。あの小娘も出て行ったところだしね。それで? 一体今日は何の用事で私の所に来たのかしら?」
「あ、その件なんですけど……そろそろ、例のアレが無くなる頃ではないかと思って、持ってきたんです」
私の言葉にエドが反応する。
「何だ? 例のアレって。いかがわしい事でもしているのか?」
「そんなことするはずないじゃないですか。はい、どうぞ魔女さん」
私はモバイルバッテリーをカウンターに置いた。
「え? これは何?」
魔女はモバイルバッテリーを手に取り、しげしげと見つめる。
「これはスマホの充電器ですよ。勿論フル充電してあります。そろそろバッテリーが無くなった頃では無いですか?」
「そう! そうなのよ! ついさっき、スマホを見つめていたら突然画面が真っ暗になって、何も映らなくなってしまったのよぉ~!! そこですることが無くなっちゃったから、おやつのケーキを食べていたら……あの狂暴女がいきなり店に押し入ってきたのよ。もう、いやになっちゃう!」
唇を尖らせる魔女は、やはりどこから見ても子供にしか見えない。
「それは災難でしたね。はい、ここをこうやって差せば充電できますから」
相槌を打ちながらスマホに充電器を差してあげる。
「ありがとう! これでまた遊べるのね?」
魔女はバッテリーが差し込まれたスマホをキラキラした目で見つめる。
一方、首を傾げているのはエドだった。
「スマホ……? モバイルバッテリー? 充電……? 一体何のことだ? さっぱり分からないな……」
「それじゃ、このまま少しの間充電させておいてください。いいですね?」
「分かったわ、すぐに遊びたいところだけど我慢ね」
頷く魔女に、私は先程疑問に思ったことを尋ねることにした。
「あの、先程カレンとの会話で疑問に思ったことがあるのですが……良いですか?」
「いいわよ。何? 立ち話もなんだから、二人とも座ったら」
魔女がカウンターの隅に積み上げられた椅子を指さしたので私とエドは椅子を持ってくると腰かけ、早速魔女に質問した。
「魔女さん、さっきカレンが変装して身元を偽っていたと話していましたよね?」
「うん、珍しい赤い瞳に髪の毛も長い銀髪だったのよ」
カレンの瞳は青いし、髪の毛だって茶色くて肩先迄しかない。それでは気付くはずも無いだろう。
「それならよく、彼女がカレンだと気づいたな?」
エドが尋ねる。
「フッフッフッ…‥‥私、耳には自信があるのよ。一度耳にした声は絶対に忘れない。これも魔女の特殊能力の一つよ。だけど、どうやって瞳の色を変えたのかしら……あんな魔法初めてだわ」
「……魔法じゃないかもしれません」
ポツリと呟く。
「魔法じゃない?」
「一体どういうことなの?」
魔女とエドが首を傾げる。
「はい! カレンは恐らカラコンとウィッグをつけてこの店を訪ねたに違いありません!!」
私はきっぱり言い切った――
517
あなたにおすすめの小説
転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした
ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!?
容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。
「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」
ところが。
ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。
無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!?
でも、よく考えたら――
私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに)
お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。
これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。
じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――!
本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。
アイデア提供者:ゆう(YuFidi)
URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。
しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。
冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!
わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?
それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?
結婚して5年、冷たい夫に離縁を申し立てたらみんなに止められています。
真田どんぐり
恋愛
ー5年前、ストレイ伯爵家の美しい令嬢、アルヴィラ・ストレイはアレンベル侯爵家の侯爵、ダリウス・アレンベルと結婚してアルヴィラ・アレンベルへとなった。
親同士に決められた政略結婚だったが、アルヴィラは旦那様とちゃんと愛し合ってやっていこうと決意していたのに……。
そんな決意を打ち砕くかのように旦那様の態度はずっと冷たかった。
(しかも私にだけ!!)
社交界に行っても、使用人の前でもどんな時でも冷たい態度を取られた私は周りの噂の恰好の的。
最初こそ我慢していたが、ある日、偶然旦那様とその幼馴染の不倫疑惑を耳にする。
(((こんな仕打ち、あんまりよーー!!)))
旦那様の態度にとうとう耐えられなくなった私は、ついに離縁を決意したーーーー。
「無能」と捨てられた少女は、神の愛し子だった――。 凍てつく北の地で始まる、聖獣たちと冷徹公爵による「世界一過保護な」逆転生活。
秦江湖
恋愛
魔法適性「鑑定」がすべてを決める、黄金の国ルミナリス。 名門ベルグラード公爵家の末娘アデリーンは、十五歳の鑑定式で、前代未聞の『鑑定不能(黒の沈黙)』を叩き出してしまう。
「我が家の恥さらしめ。二度とその顔を見せるな」
第一王子からは婚約破棄を突きつけられ、最愛の三人の兄たちからも冷酷な言葉とともに、極寒の地「ノースガル公国」へ追放を言い渡されたアデリーン。
着の身着のままで雪原に放り出された彼女が出会ったのは、一匹の衰弱した仔狼――それは、人間には決して懐かないはずの『伝説の聖獣』だった。
「鑑定不能」の正体は、魔力ゼロなどではなく、聖獣と心を通わせる唯一の力『調律師』の証。
行き倒れたアデリーンを救ったのは、誰もが恐れる氷の公爵ゼノスで……。
「こんなに尊い存在を捨てるとは、黄金の国の連中は正気か?」
「聖獣も、私も……お前を離すつもりはない」
氷の公爵に拾われ、聖獣たちに囲まれ、これまでの不遇が嘘のような「極上溺愛」を享受するアデリーン。
一方で、彼女を捨てた黄金の国は、聖獣の加護を失い崩壊の危機に直面していた。
慌ててアデリーンを連れ戻そうとする身勝手な王族たち。
しかし、彼らの前には「復讐」の準備を終えたアデリーンの兄たちが立ちはだかる。
「遅いよ。僕らのかわいい妹を泣かせた罪、一生かけて償ってもらうからね」
これは、すべてを失った少女が、真の居場所と愛を見つけるまでの物語。
悪女役らしく離婚を迫ろうとしたのに、夫の反応がおかしい
廻り
恋愛
第18回恋愛小説大賞にて奨励賞をいただきました。応援してくださりありがとうございました!
王太子妃シャルロット20歳は、前世の記憶が蘇る。
ここは小説の世界で、シャルロットは王太子とヒロインの恋路を邪魔する『悪女役』。
『断罪される運命』から逃れたいが、夫は離婚に応じる気がない。
ならばと、シャルロットは別居を始める。
『夫が離婚に応じたくなる計画』を思いついたシャルロットは、それを実行することに。
夫がヒロインと出会うまで、タイムリミットは一年。
それまでに離婚に応じさせたいシャルロットと、なぜか様子がおかしい夫の話。
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです
MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。
しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。
フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。
クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。
ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。
番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。
ご感想ありがとうございます!!
誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。
小説家になろう様に掲載済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる