24 / 199
第1章 21 突然の婚約破棄
しおりを挟む
翌朝―
アンドレアはスカーレットの前で頭を下げていた。
「え・・?い、今・・・何と仰ったのですか?」
スカーレットは目を見開いて自分の部屋を訪れたアンドレアとエーリカを交互に見た。
****
朝食前に突然スカーレットの部屋を一緒に訪れたアンドレアとエーリカ。
ノックの音に扉を開けるとそこにアンドレアが立っていたのでスカーレットは喜んだのだが、その背後にエーリカが立っていたのを見た瞬間から嫌な予感はしていたのだ。
それが・・・・。
「す、すまない・・・。スカーレット・・き、君との・・・婚約を解消して欲しいんだ・・。僕は・・エーリカと婚約をする事に決めたんだ・・。」
アンドレアは再び頭を下げてきた。
「そ、そんな・・・!う、嘘ですよねっ?!」
エーリカは悲痛な声でアンドレを縋るように見た。するとエーリカがこれ見よがしにアンドレアの腕をからめとると言った。
「ごめんなさい。お義姉様・・・実は昨夜アンドレア様と食事をとった時に、アンドレア様がワインで酷く酔ってしまったのでお部屋まで私が連れて行ってベッドに寝かせたのです。そしたら・・・アンドレア様が・・突然私に・・。」
エーリカは頬を染めながら言う。その言葉でスカーレットは昨夜2人の間で何があったのかが分ってしまった。
「ア・・アンドレア様・・・ほ、本当に・・本当にエーリカと・・・?」
「・・・。」
アンドレアは黙って頷く。
「そ、そんな・・・。エーリカ・・・?」
スカーレットは震えながら今度はエーリカを見つめた。
「ごめんなさい、お義姉様・・私はアンドレア様に・・何度も抱かれました。ひょっとすると・・もう赤ちゃんが出来てしまったかもしれないの。」
「そう・・なんだ。僕は・・・エーリカに責任を取らなければならない・・。スカーレット。君とは・・幸いにも・・深い関係にはまだなっていない。それに・・君は若いし、とても美しい・・。きっとすぐに新しい婚約者が見つかるはずだよ・・。」
「ア・・アンドレア様・・?」
スカーレットは目に涙を浮かべてアンドレアを見つめた。その視線がいたたまれなくてアンドレアは視線を逸らせてしまった。
「ひ、酷いです・・・。あまりにも無責任な言葉ではありませんか・・?私とは深い関係に無かったから?まだ若いから?すぐに新しい婚約者が見つかると言いたいのですか・・?アンドレア様・・・3日後は・・ダンスパーティーがお城で行われるのですよ?その際のエスコートは・・どうされるのですか?」
するとそれを聞いたエーリカは笑みを浮かべた。
「まぁ!ダンスパーティーですか?アンドレア様!当然私をエスコートして連れて行って下さるのですよね?私達は婚約したのですから!」
「そ、そうだね・・・。エスコートする女性は・・勿論君だよ・・エーリカ。」
アンドレアはスカーレットが目の前にいるにも関わらず、エーリカをエスコートすると言い出した。
「そ、それでは・・・私は誰と行けばよいのですかっ?!」
「・・・すまない。スカーレット・・・。」
するとエーリカは言った。
「お義姉様は・・・この屋敷に仕える忠実な執事がいるじゃないですか。アーベルかグスタフ・・・いっそこの2人の内、どちらかに頼めばいいのではなくて?」
「!そ、そんな・・・彼らがこの屋敷の執事である事は・・・一部の人達には知られているのにっ?!」
地味な生活をしてはいるが、これでもスカーレットは伯爵令嬢である。その令嬢が執事にエスコートされると言う事はあってはならない事であった。
「それが嫌なら・・欠席すればよいのではなくて?私が出ればシュバルツ家の対面は保てるわけですから。」
そしてエーリカはアンドレアに言った。
「アンドレア様、もうそろそろダイニングルームへ行きましょう。朝食の時間ですから。」
「あ、ああ・・・。では行こうか?」
そしてスカーレットを見た。
「スカーレット・・君はどうする?」
(どうする・・・?そんな事を私に聞くのですか・・・?!)
「わ・・私・・私は行きません・・。」
スカーレットは震えながら答える。
「そうか・・・分かったよ。」
明らかにほっとした表情を浮かべると、アンドレアはエーリカと共にスカーレットの部屋から出て行った。先程まで婚約者であったスカーレットを見ることも無く―。
アンドレアはスカーレットの前で頭を下げていた。
「え・・?い、今・・・何と仰ったのですか?」
スカーレットは目を見開いて自分の部屋を訪れたアンドレアとエーリカを交互に見た。
****
朝食前に突然スカーレットの部屋を一緒に訪れたアンドレアとエーリカ。
ノックの音に扉を開けるとそこにアンドレアが立っていたのでスカーレットは喜んだのだが、その背後にエーリカが立っていたのを見た瞬間から嫌な予感はしていたのだ。
それが・・・・。
「す、すまない・・・。スカーレット・・き、君との・・・婚約を解消して欲しいんだ・・。僕は・・エーリカと婚約をする事に決めたんだ・・。」
アンドレアは再び頭を下げてきた。
「そ、そんな・・・!う、嘘ですよねっ?!」
エーリカは悲痛な声でアンドレを縋るように見た。するとエーリカがこれ見よがしにアンドレアの腕をからめとると言った。
「ごめんなさい。お義姉様・・・実は昨夜アンドレア様と食事をとった時に、アンドレア様がワインで酷く酔ってしまったのでお部屋まで私が連れて行ってベッドに寝かせたのです。そしたら・・・アンドレア様が・・突然私に・・。」
エーリカは頬を染めながら言う。その言葉でスカーレットは昨夜2人の間で何があったのかが分ってしまった。
「ア・・アンドレア様・・・ほ、本当に・・本当にエーリカと・・・?」
「・・・。」
アンドレアは黙って頷く。
「そ、そんな・・・。エーリカ・・・?」
スカーレットは震えながら今度はエーリカを見つめた。
「ごめんなさい、お義姉様・・私はアンドレア様に・・何度も抱かれました。ひょっとすると・・もう赤ちゃんが出来てしまったかもしれないの。」
「そう・・なんだ。僕は・・・エーリカに責任を取らなければならない・・。スカーレット。君とは・・幸いにも・・深い関係にはまだなっていない。それに・・君は若いし、とても美しい・・。きっとすぐに新しい婚約者が見つかるはずだよ・・。」
「ア・・アンドレア様・・?」
スカーレットは目に涙を浮かべてアンドレアを見つめた。その視線がいたたまれなくてアンドレアは視線を逸らせてしまった。
「ひ、酷いです・・・。あまりにも無責任な言葉ではありませんか・・?私とは深い関係に無かったから?まだ若いから?すぐに新しい婚約者が見つかると言いたいのですか・・?アンドレア様・・・3日後は・・ダンスパーティーがお城で行われるのですよ?その際のエスコートは・・どうされるのですか?」
するとそれを聞いたエーリカは笑みを浮かべた。
「まぁ!ダンスパーティーですか?アンドレア様!当然私をエスコートして連れて行って下さるのですよね?私達は婚約したのですから!」
「そ、そうだね・・・。エスコートする女性は・・勿論君だよ・・エーリカ。」
アンドレアはスカーレットが目の前にいるにも関わらず、エーリカをエスコートすると言い出した。
「そ、それでは・・・私は誰と行けばよいのですかっ?!」
「・・・すまない。スカーレット・・・。」
するとエーリカは言った。
「お義姉様は・・・この屋敷に仕える忠実な執事がいるじゃないですか。アーベルかグスタフ・・・いっそこの2人の内、どちらかに頼めばいいのではなくて?」
「!そ、そんな・・・彼らがこの屋敷の執事である事は・・・一部の人達には知られているのにっ?!」
地味な生活をしてはいるが、これでもスカーレットは伯爵令嬢である。その令嬢が執事にエスコートされると言う事はあってはならない事であった。
「それが嫌なら・・欠席すればよいのではなくて?私が出ればシュバルツ家の対面は保てるわけですから。」
そしてエーリカはアンドレアに言った。
「アンドレア様、もうそろそろダイニングルームへ行きましょう。朝食の時間ですから。」
「あ、ああ・・・。では行こうか?」
そしてスカーレットを見た。
「スカーレット・・君はどうする?」
(どうする・・・?そんな事を私に聞くのですか・・・?!)
「わ・・私・・私は行きません・・。」
スカーレットは震えながら答える。
「そうか・・・分かったよ。」
明らかにほっとした表情を浮かべると、アンドレアはエーリカと共にスカーレットの部屋から出て行った。先程まで婚約者であったスカーレットを見ることも無く―。
22
あなたにおすすめの小説
タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒―
私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。
「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」
その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。
※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています
殺された伯爵夫人の六年と七時間のやりなおし
さき
恋愛
愛のない結婚と冷遇生活の末、六年目の結婚記念日に夫に殺されたプリシラ。
だが目を覚ました彼女は結婚した日の夜に戻っていた。
魔女が行った『六年間の時戻し』、それに巻き込まれたプリシラは、同じ人生は歩まないと決めて再び六年間に挑む。
変わらず横暴な夫、今度の人生では慕ってくれる継子。前回の人生では得られなかった味方。
二度目の人生を少しずつ変えていく中、プリシラは前回の人生では現れなかった青年オリバーと出会い……。
【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!
美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』
そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。
目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。
なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。
元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。
ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。
いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。
なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。
このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。
悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。
ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――
【完結】婚約破棄されて処刑されたら時が戻りました!?~4度目の人生を生きる悪役令嬢は今度こそ幸せになりたい~
Rohdea
恋愛
愛する婚約者の心を奪った令嬢が許せなくて、嫌がらせを行っていた侯爵令嬢のフィオーラ。
その行いがバレてしまい、婚約者の王太子、レインヴァルトに婚約を破棄されてしまう。
そして、その後フィオーラは処刑され短い生涯に幕を閉じた──
──はずだった。
目を覚ますと何故か1年前に時が戻っていた!
しかし、再びフィオーラは処刑されてしまい、さらに再び時が戻るも最期はやっぱり死を迎えてしまう。
そんな悪夢のような1年間のループを繰り返していたフィオーラの4度目の人生の始まりはそれまでと違っていた。
もしかしたら、今度こそ幸せになれる人生が送れるのでは?
その手始めとして、まず殿下に婚約解消を持ちかける事にしたのだがーー……
4度目の人生を生きるフィオーラは、今度こそ幸せを掴めるのか。
そして時戻りに隠された秘密とは……
時が巻き戻った悪役令嬢は、追放先で今度こそ幸せに暮らしたい
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
【その断罪、待っていました!】
私は侯爵令嬢オフィーリア・ドヌーブ。王太子アシル・バスチエの婚約者だった。良い国母になる為、日々努力を怠らなかった。そんなある日、聖女を名乗る女性ソネットが現れ、あっという間にアシルは彼女に夢中になってしまう。妃の座を奪われることに危機感を抱いた私は、ありとあらゆる手段でソネットを陥れようとして失敗。逆に罰として侯爵家から除籍され、辺境の地へ幾人かの使用人達と共に追放されてしまう。追放先の村での暮らしは不便だったが、人々は皆親切だった。けれど元侯爵令嬢というプライドから最後まで私は素直になれなかった。そんな自分に後悔しながら長い時を孤独に過ごしていたある日。不思議な懐中時計の力によって、何故か断罪の真っ最中に時が巻き戻っていた。聖女への嫌がらせは無かったことに出来ない。それなら今世はおとなしく追放されて和やかに過ごそう。今度こそ幸せに暮らす為に——
※他サイトでも投稿中
殿下が好きなのは私だった
棗
恋愛
魔王の補佐官を父に持つリシェルは、長年の婚約者であり片思いの相手ノアールから婚約破棄を告げられた。
理由は、彼の恋人の方が次期魔王たる自分の妻に相応しい魔力の持ち主だからだそう。
最初は仲が良かったのに、次第に彼に嫌われていったせいでリシェルは疲れていた。無様な姿を晒すくらいなら、晴れ晴れとした姿で婚約破棄を受け入れた。
のだが……婚約破棄をしたノアールは何故かリシェルに執着をし出して……。
更に、人間界には父の友人らしい天使?もいた……。
※カクヨムさん・なろうさんにも公開しております。
悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。
槙村まき
恋愛
スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。
それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。
挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。
そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……!
第二章以降は、11時と23時に更新予定です。
他サイトにも掲載しています。
よろしくお願いします。
25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!
選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ
暖夢 由
恋愛
【5月20日 90話完結】
5歳の時、母が亡くなった。
原因も治療法も不明の病と言われ、発症1年という早さで亡くなった。
そしてまだ5歳の私には母が必要ということで通例に習わず、1年の喪に服すことなく新しい母が連れて来られた。彼女の隣には不思議なことに父によく似た女の子が立っていた。私とあまり変わらないくらいの歳の彼女は私の2つ年上だという。
これからは姉と呼ぶようにと言われた。
そして、私が14歳の時、突然謎の病を発症した。
母と同じ原因も治療法も不明の病。母と同じ症状が出始めた時に、この病は遺伝だったのかもしれないと言われた。それは私が社交界デビューするはずの年だった。
私は社交界デビューすることは叶わず、そのまま治療することになった。
たまに調子がいい日もあるが、社交界に出席する予定の日には決まって体調を崩した。医者は緊張して体調を崩してしまうのだろうといった。
でも最近はグレン様が会いに来ると約束してくれた日にも必ず体調を崩すようになってしまった。それでも以前はグレン様が心配して、私の部屋で1時間ほど話をしてくれていたのに、最近はグレン様を姉が玄関で出迎え、2人で私の部屋に来て、挨拶だけして、2人でお茶をするからと消えていくようになった。
でもそれも私の体調のせい。私が体調さえ崩さなければ……
今では月の半分はベットで過ごさなければいけないほどになってしまった。
でもある日婚約者の裏切りに気づいてしまう。
私は耐えられなかった。
もうすべてに………
病が治る見込みだってないのに。
なんて滑稽なのだろう。
もういや……
誰からも愛されないのも
誰からも必要とされないのも
治らない病の為にずっとベッドで寝ていなければいけないのも。
気付けば私は家の外に出ていた。
元々病で外に出る事がない私には専属侍女などついていない。
特に今日は症状が重たく、朝からずっと吐いていた為、父も義母も私が部屋を出るなど夢にも思っていないのだろう。
私は死ぬ場所を探していたのかもしれない。家よりも少しでも幸せを感じて死にたいと。
これから出会う人がこれまでの生活を変えてくれるとも知らずに。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる