38 / 199
第1章 35 真夜中の悲鳴
しおりを挟む
2人が結婚式を挙げた夜―
スカーレットは部屋を訪れていたブリジットにポツリと言った。
「ブリジット・・・私、アンドレア様とエーリカの結婚式・・耐えきれずに途中で抜け出してしまったわ。」
ブリジットはスカーレットの長い髪にブラシをあてながら語り掛けた。
「それで良かったのですよ・・・。式に出席したメイド達に聞いたのですが、スカーレット様が教会を去った後は散々な散々な結婚式だったらしいですから・・・。」
「まあ、そうだったの?ちっとも知らなかったわ・・。」
しかし、スカーレットが結婚式場を逃げた後の状況を知らないのは無理も無かった。
神聖なる神の前で破廉恥な真似をしたエーリカ。席を立って逃げるスカーレットに手を伸ばすアンドレアに泣いてすがる花嫁。そして花婿の父にはこんな不愉快な結婚式は初めてだと言われ、結婚式の最中に去られてしまった・・・。
こんな不名誉な結婚式を世間にも・・・ましてやスカーレットにだけは絶対に知られたくなかったアグネスは緘口令を敷いたのであった。
「ねえ、ブリジット・・・。」
髪をすかれながらスカーレットは言った。
「はい、何でしょうか?スカーレット様。」
「私ね・・・結婚式に参加して・・ようやくわかったの。」
「何が分かったのですか?」
「もう・・・アンドレア様の事は吹っ切れたわ・・。」
「え・・?ほ、本当ですか・・?あれほどアンドレア様を慕われていたのに・・・ですか?」
「ええ・・・。やっぱりあそこまでエーリカと情熱的なキスをするくらいだもの・・・。もう私の入り込む隙は無いだろうと感じたのよ。」
スカーレットはポツリという。本当はアンドレアは強引にエーリカに深くキスされたのだが、スカーレットの目にはそうは映らなかったのだ。アンドレアから情熱的にキスをしたように見えたのである。
「そうですか・・・。でもスカーレット様が吹っ切ることが出来たのなら・・何よりです。」
ブリジットは健気なスカーレットの言葉に涙をこらえながら返事をする。
「ええ、後は・・弁護士さんから連絡を頂いて、家庭教師として採用される事が決定すれば・・・お父様の葬儀の後・・速やかにこの屋敷を出ていくわ。」
「スカーレット様・・・。ご一緒することが出来ず・・申し訳ございません。」
ブリジットは声を詰まらせて謝罪した。本当ならば・・自分の子供のように大切に育ててきたスカーレットからブリジットは離れたくは無かった。しかし、スカーレットがこの屋敷を出た後に援助金として支払われるお金は、2人で暮らしていくには決して十分な額とは言えなかった。ブリジットがスカーレットに付き添えば・・・それだけスカーレットの負担が増えるだけであった。
(せめて・・私がもっと若ければ・・・就職先を問題無く見つける事が出来たのに・・・そうすればスカーレットお嬢様と2人でどこかアパートメントを借りて、暮らすことが出来たのに・・。)
ブリジットはため息をつくのだった・・・。
そして、その日の夜・・・事件は起こった・・・。
****
深夜0時―
「お母さんっ!」
バターンッ!!
突如、アグネスの部屋のドアが大きく開かれ、エーリカが部屋の中へ駈け込んできた。
「ど、どうしたの?エーリカッ?!」
ベッドの上で横になっていたアグネスは突然ドアを開け放ち、寝室に飛び込んできたエーリカを見て驚いて声を掛けた。
「あ・・お、お母さん・・・っ!」
見るとエーリカの顔は涙でぐしゃぐしゃになっている。
「ど、どうしたのっ?!エーリカッ!」
アグネスは慌ててエーリカに声を掛けた。するとエーリカは泣きじゃくりながら言う。
「ア・・アンドレア様が・・・もう私の事は抱けないって言うと・・部屋を飛び出して行ってしまったの・・っ!」
「え・・?な、何ですってっ?!」
あまりにも突然の話にアグネスは目を見開いた次の瞬間・・・・。
「キャアアアアアアッ!!」
静かな屋敷に・・叫び声が響き渡った―。
スカーレットは部屋を訪れていたブリジットにポツリと言った。
「ブリジット・・・私、アンドレア様とエーリカの結婚式・・耐えきれずに途中で抜け出してしまったわ。」
ブリジットはスカーレットの長い髪にブラシをあてながら語り掛けた。
「それで良かったのですよ・・・。式に出席したメイド達に聞いたのですが、スカーレット様が教会を去った後は散々な散々な結婚式だったらしいですから・・・。」
「まあ、そうだったの?ちっとも知らなかったわ・・。」
しかし、スカーレットが結婚式場を逃げた後の状況を知らないのは無理も無かった。
神聖なる神の前で破廉恥な真似をしたエーリカ。席を立って逃げるスカーレットに手を伸ばすアンドレアに泣いてすがる花嫁。そして花婿の父にはこんな不愉快な結婚式は初めてだと言われ、結婚式の最中に去られてしまった・・・。
こんな不名誉な結婚式を世間にも・・・ましてやスカーレットにだけは絶対に知られたくなかったアグネスは緘口令を敷いたのであった。
「ねえ、ブリジット・・・。」
髪をすかれながらスカーレットは言った。
「はい、何でしょうか?スカーレット様。」
「私ね・・・結婚式に参加して・・ようやくわかったの。」
「何が分かったのですか?」
「もう・・・アンドレア様の事は吹っ切れたわ・・。」
「え・・?ほ、本当ですか・・?あれほどアンドレア様を慕われていたのに・・・ですか?」
「ええ・・・。やっぱりあそこまでエーリカと情熱的なキスをするくらいだもの・・・。もう私の入り込む隙は無いだろうと感じたのよ。」
スカーレットはポツリという。本当はアンドレアは強引にエーリカに深くキスされたのだが、スカーレットの目にはそうは映らなかったのだ。アンドレアから情熱的にキスをしたように見えたのである。
「そうですか・・・。でもスカーレット様が吹っ切ることが出来たのなら・・何よりです。」
ブリジットは健気なスカーレットの言葉に涙をこらえながら返事をする。
「ええ、後は・・弁護士さんから連絡を頂いて、家庭教師として採用される事が決定すれば・・・お父様の葬儀の後・・速やかにこの屋敷を出ていくわ。」
「スカーレット様・・・。ご一緒することが出来ず・・申し訳ございません。」
ブリジットは声を詰まらせて謝罪した。本当ならば・・自分の子供のように大切に育ててきたスカーレットからブリジットは離れたくは無かった。しかし、スカーレットがこの屋敷を出た後に援助金として支払われるお金は、2人で暮らしていくには決して十分な額とは言えなかった。ブリジットがスカーレットに付き添えば・・・それだけスカーレットの負担が増えるだけであった。
(せめて・・私がもっと若ければ・・・就職先を問題無く見つける事が出来たのに・・・そうすればスカーレットお嬢様と2人でどこかアパートメントを借りて、暮らすことが出来たのに・・。)
ブリジットはため息をつくのだった・・・。
そして、その日の夜・・・事件は起こった・・・。
****
深夜0時―
「お母さんっ!」
バターンッ!!
突如、アグネスの部屋のドアが大きく開かれ、エーリカが部屋の中へ駈け込んできた。
「ど、どうしたの?エーリカッ?!」
ベッドの上で横になっていたアグネスは突然ドアを開け放ち、寝室に飛び込んできたエーリカを見て驚いて声を掛けた。
「あ・・お、お母さん・・・っ!」
見るとエーリカの顔は涙でぐしゃぐしゃになっている。
「ど、どうしたのっ?!エーリカッ!」
アグネスは慌ててエーリカに声を掛けた。するとエーリカは泣きじゃくりながら言う。
「ア・・アンドレア様が・・・もう私の事は抱けないって言うと・・部屋を飛び出して行ってしまったの・・っ!」
「え・・?な、何ですってっ?!」
あまりにも突然の話にアグネスは目を見開いた次の瞬間・・・・。
「キャアアアアアアッ!!」
静かな屋敷に・・叫び声が響き渡った―。
15
あなたにおすすめの小説
目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです
MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。
しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。
フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。
クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。
ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。
番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。
ご感想ありがとうございます!!
誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。
小説家になろう様に掲載済みです。
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
【完結】うちの大公妃は肥満専攻です!
ariya
恋愛
ルドヴィカは一度目の人生を虚しく終える時に神に願った。
神様、私を憐れむならどうか次の生は大事な方を守れるだけの知識と力を与えてください。
そして彼女は二度目の人生を現代日本で過ごす。
内科医として充実な人生を送っていたが、不慮の事故によりあえなく命を落とす。
そして目覚めた時は一度目の生の起点となった婚約破棄の場であった。
------------------------------------
※突然イメージ画像が挿絵で出ることがあります。
※ストーリー内に出しているのはなんちゃって医学です。軽く調べて、脚色を加えているので現実と異なります。調べたい方、気になる方は該当学会HPなどで調べることをおすすめします。
※※小説家になろう、カクヨムにも掲載しています
転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。
しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。
冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!
わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?
それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?
【完結済】破棄とか面倒じゃないですか、ですので婚約拒否でお願いします
紫
恋愛
水不足に喘ぐ貧困侯爵家の次女エリルシアは、父親からの手紙で王都に向かう。
王子の婚約者選定に関して、白羽の矢が立ったのだが、どうやらその王子には恋人がいる…らしい?
つまりエリルシアが悪役令嬢ポジなのか!?
そんな役どころなんて御免被りたいが、王サマからの提案が魅力的過ぎて、王宮滞在を了承してしまう。
報酬に目が眩んだエリルシアだが、無事王宮を脱出出来るのか。
王子サマと恋人(もしかしてヒロイン?)の未来はどうなるのか。
2025年10月06日、初HOTランキング入りです! 本当にありがとうございます!!(2位だなんて……いやいや、ありえないと言うか…本気で夢でも見ているのではないでしょーか……)
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
※小説家になろう様にも掲載させていただいています。
※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。
※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。
※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。
※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。
※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。
※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。
※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。
【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。
《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》
私が生きていたことは秘密にしてください
月山 歩
恋愛
メイベルは婚約者と妹によって、崖に突き落とされ、公爵家の領地に倒れていた。
見つけてくれた彼は一見優しそうだが、行方不明のまま隠れて生きて行こうとする私に驚くような提案をする。
「少年の世話係になってくれ。けれど人に話したら消す。」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる