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第1章 51 誤算
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「おはようございます。アグネス様、エーリカ様。ご気分はいかがでしょうか?」
応接室に通された弁護士のジョン・カーターは恭しく挨拶をした。すると忌々し気にソファに座っていたアグネスは言う。
「全く厭味ったらしい弁護士ね。最悪な気分に決まっているでしょう?」
「そうよ!何で追い出したスカーレットよりもこの屋敷に取り残された私たちの方が惨めったらしい気持ちにならないといけないのよっ!」
エーリカの言葉に弁護士のジョンは反応した。
「え・・・?スカーレット様が出て行かれた・・?」
「ええ、そうよ。あの年老いた婆やと一緒にね。それにしても気に入らないわ。一体どこへ行くのかしら・・・。」
アグネスは悔しそ言うに爪を噛みながら言う。
「そうですか・・ついにこのお屋敷を飛び立ったのですね・・・。」
何処か満足そうに言う弁護士の姿にアグネスは不審なものを感じ取った。そこで弁護士に尋ねた。
「先生・・・貴方、何か知ってらっしゃるんじゃありませんか?」
「は?一体何のことです?」
「しらばっくれないでいただけます?!スカーレットの事よっ!」
ついに我慢できなくなったアグネスは目の前の真っ白な高級センターテーブルをこぶしでガンッと叩いた。
「ちょっと!テーブルが壊れたらどうするのよっ!」
エーリカが抗議する。
(随分苛立っておられるな・・・まぁ無理もあるまい・・。)
「さようでございますか・・ところでスカーレット様は何時頃にここを出立されたのですか?」
「朝の7時よ・・・。全くあんな朝早くから一体どこへ行ったのかしら・・。すでに荷物も新居先に送ったみたいだし・・互いにトランクケースを一つしか持っていなかったわ。」
アグネスはため息をつきながらソファの背もたれにドサリと寄り掛かった。
ジョンは暖炉の上に置かれた置時計にチラリと目をやると時刻はそろそろ12時になろうとしている。
(この時間なら・・・恐らくお2人は『ミュゼ』の町に着いたことだろう・・なら、そろそろ真実を伝えても良いだろう。もうどのみちこの2人はスカーレット様を追いかけることなど出来ないのだから・・。)
そこでジョンは口を開いた。
「よろしいでしょう。お2人に・・・スカーレット様とブリジットさんがどこへ行ったのか教えて差し上げましょう。スカーレット様たちは『ミュゼ』の町へ行ったのです。」
「まあっ!」
「『ミュゼ』ですって!」
アグネスとエーリカの顔つきが変わった。それもそのはず。『ミュゼ』と言えば、この国の王級がある首都である。そして数多くの名門貴族が名を連ねて住んでいる・・いわば貴族たちのあこがれの土地なのだ。
「な、な、何故スカーレットごときが『ミュゼ』にっ?!」
声を震わせてアグネスが追及した。
「はい、スカーレット様は名門貴族『チェスター』侯爵家の一番末にあたるご子息様の家庭教師として招かれたのです。」
「な・・・何ですってっ?!チェスター侯爵家すってっ?!」
エーリカが興奮気味に叫ぶ。それほど、チェスター家は名門中の名門貴族だったのだ。
「く・・・っ!」
アグネスは悔し気にこぶしを握り締め、身体を震わせている。
(完敗だわ・・・完全にこちらの・・・せっかくこのシュバルツ家を乗っ取ることに成功したと思っていたのに・・・!)
しかし、アグネスの悔しさを知りながら、ジョンは言う。
「アグネス様、まずはこの広大なお屋敷を管理するには新しく使用人を雇う必要があります。しかしながら・・・アグネス様とエーリカ様の評判があまりに悪く・・誰もこの屋敷で働いても良いと名乗りを上げる人々がいないのですよ。」
「な、何ですってっ?!」
アグネスは思わず立ち上がった。
「しかも、教育をしてくれる人物も1人もいない・・・相場の2倍、いや3倍の賃金を支払わない限りは・・・誰も働きに来てはくれないでしょうね・・。」
その言葉を聞いたアグネスは・・力なく椅子に崩れ落ちるのだった―。
応接室に通された弁護士のジョン・カーターは恭しく挨拶をした。すると忌々し気にソファに座っていたアグネスは言う。
「全く厭味ったらしい弁護士ね。最悪な気分に決まっているでしょう?」
「そうよ!何で追い出したスカーレットよりもこの屋敷に取り残された私たちの方が惨めったらしい気持ちにならないといけないのよっ!」
エーリカの言葉に弁護士のジョンは反応した。
「え・・・?スカーレット様が出て行かれた・・?」
「ええ、そうよ。あの年老いた婆やと一緒にね。それにしても気に入らないわ。一体どこへ行くのかしら・・・。」
アグネスは悔しそ言うに爪を噛みながら言う。
「そうですか・・ついにこのお屋敷を飛び立ったのですね・・・。」
何処か満足そうに言う弁護士の姿にアグネスは不審なものを感じ取った。そこで弁護士に尋ねた。
「先生・・・貴方、何か知ってらっしゃるんじゃありませんか?」
「は?一体何のことです?」
「しらばっくれないでいただけます?!スカーレットの事よっ!」
ついに我慢できなくなったアグネスは目の前の真っ白な高級センターテーブルをこぶしでガンッと叩いた。
「ちょっと!テーブルが壊れたらどうするのよっ!」
エーリカが抗議する。
(随分苛立っておられるな・・・まぁ無理もあるまい・・。)
「さようでございますか・・ところでスカーレット様は何時頃にここを出立されたのですか?」
「朝の7時よ・・・。全くあんな朝早くから一体どこへ行ったのかしら・・。すでに荷物も新居先に送ったみたいだし・・互いにトランクケースを一つしか持っていなかったわ。」
アグネスはため息をつきながらソファの背もたれにドサリと寄り掛かった。
ジョンは暖炉の上に置かれた置時計にチラリと目をやると時刻はそろそろ12時になろうとしている。
(この時間なら・・・恐らくお2人は『ミュゼ』の町に着いたことだろう・・なら、そろそろ真実を伝えても良いだろう。もうどのみちこの2人はスカーレット様を追いかけることなど出来ないのだから・・。)
そこでジョンは口を開いた。
「よろしいでしょう。お2人に・・・スカーレット様とブリジットさんがどこへ行ったのか教えて差し上げましょう。スカーレット様たちは『ミュゼ』の町へ行ったのです。」
「まあっ!」
「『ミュゼ』ですって!」
アグネスとエーリカの顔つきが変わった。それもそのはず。『ミュゼ』と言えば、この国の王級がある首都である。そして数多くの名門貴族が名を連ねて住んでいる・・いわば貴族たちのあこがれの土地なのだ。
「な、な、何故スカーレットごときが『ミュゼ』にっ?!」
声を震わせてアグネスが追及した。
「はい、スカーレット様は名門貴族『チェスター』侯爵家の一番末にあたるご子息様の家庭教師として招かれたのです。」
「な・・・何ですってっ?!チェスター侯爵家すってっ?!」
エーリカが興奮気味に叫ぶ。それほど、チェスター家は名門中の名門貴族だったのだ。
「く・・・っ!」
アグネスは悔し気にこぶしを握り締め、身体を震わせている。
(完敗だわ・・・完全にこちらの・・・せっかくこのシュバルツ家を乗っ取ることに成功したと思っていたのに・・・!)
しかし、アグネスの悔しさを知りながら、ジョンは言う。
「アグネス様、まずはこの広大なお屋敷を管理するには新しく使用人を雇う必要があります。しかしながら・・・アグネス様とエーリカ様の評判があまりに悪く・・誰もこの屋敷で働いても良いと名乗りを上げる人々がいないのですよ。」
「な、何ですってっ?!」
アグネスは思わず立ち上がった。
「しかも、教育をしてくれる人物も1人もいない・・・相場の2倍、いや3倍の賃金を支払わない限りは・・・誰も働きに来てはくれないでしょうね・・。」
その言葉を聞いたアグネスは・・力なく椅子に崩れ落ちるのだった―。
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