母と妹が出来て婚約者が義理の家族になった伯爵令嬢は・・

結城芙由奈@コミカライズ連載中

文字の大きさ
102 / 199

第4章 7 見知らぬ部屋での目覚め

しおりを挟む
ガラガラガラガラ…

狭い馬車の中、スカーレットは息を殺して椅子に座っていた。なるべく自分の向かい側に座る男性と距離を空けるように座り、馬車の窓の外を眺めて必死になって男性から意識をそらすように努めた。

(大丈夫、大丈夫‥この馬車に乗っているのは私だけと思い込むのよ…)

スカーレットは必死になって自分自身に言い聞かせた。そうでなければとても正気を保てそうになかったからだ。目をギュッと閉じ、身体を縮こませていたのだが、それが逆にいけなかった。

「あの…スカーレット様、いかがされましたか?」

初老の男性が声を掛けてきたのだ。

「ヒッ!」

スカーレットは思わず悲鳴を上げ、頭を抱えてガタガタと震え出した。

「どうされたのですか?スカーレット様」

男性は声を掛け、スカーレットに近付いて手を伸ばした時―。

「キャアアアッ!イヤアアアッ!!」

スカーレットはとうとう悲鳴を上げ…馬車の中で気を失ってしまった―。


****

「う…」

次スカーレットが目を開けた時、スカーレットの目に飛び込んできたのは、みたこともない部屋だった。天井の壁は真っ白なレンガのような模様が描かれ、豪華なクリスタルガラスのシャンデリアがぶら下がっている。部屋の窓はアーチ形でレースのカーテンが風で揺れている。

「こ、ここは…?」

起き上がった時、スカーレットは初めて自分が大きなベッドの上で寝かされていることに気が付いた。

「え…?一体ここは何所なの‥?」

スカーレットは不安になり、辺りをキョロキョロ見渡した。そして手がかりを得る為にベッドから降りた時―。

カチャリと扉が開かれ、部屋の中に人が入って来た。入って来たのは紺色のお仕着せを着た若いメイドだった。そしてスカーレットが起き上がっている姿を見て、慌てて頭を下げた。

「も、申し訳ございません!まさかお目覚めになっているとは思わず、ノックもせずに入室してしまいました!」

「い、いえ。どうかそのような事はお気になさらないで下さい」

スカーレットは慌てて言う。

「ですが…」

「あの、それよりもここはどこなのでしょうか?」

スカーレットは部屋をキョロキョロ見渡しながらメイドに尋ねた。

「はい、ここは王宮です。そしてこのお部屋はアイザック皇子様がご用意されました。アイザック皇子様のご命令でスカーレット様を運ばせて頂いたのです」

「え…?アイザック皇子様が…?」

スカーレットは何故か非常に嫌な予感がした。

「すぐにアイザック皇子様をお呼びして参りますね」

「ま、待って!呼ばないで!」

しかし、メイドはスカーレットの制止する声も聞かず、足早に部屋を出て行ってしまった。

「そ、そんな…行ってしまうなんて…」

スカーレットは絶望的な気持ちになってしまった。もしメイドがアイザック皇子を呼んでくれば恐らく、皇子は1人で部屋に入って来るに違いない。しかし、男性恐怖症のスカーレットには部屋の中で若い男性と2人きりになるなど、アリオス以外に耐えられそうに無かった。

(どうしてアイザック皇子が私をここへ運ぶように命じたの?私はヴァイオレット皇女に呼ばれて王宮へ来ていたはずなのに…?そんな事よりも皇女様の元へ行かなければ…!)

慌てて、すぐ傍にある扉から部屋の外へ出ようとしたとき―。

「おや?何所へ行こうとしているんだい?」

背後で声が聞こえた。

「…」

無言でスカーレットは振り向くと、いつの間にやってきていたのかアイザック皇子が部屋の中で腕組みをして立っていた―。







しおりを挟む
感想 70

あなたにおすすめの小説

目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです

MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。 しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。 フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。 クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。 ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。 番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。 ご感想ありがとうございます!! 誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。 小説家になろう様に掲載済みです。

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

【完結】うちの大公妃は肥満専攻です!

ariya
恋愛
ルドヴィカは一度目の人生を虚しく終える時に神に願った。  神様、私を憐れむならどうか次の生は大事な方を守れるだけの知識と力を与えてください。 そして彼女は二度目の人生を現代日本で過ごす。 内科医として充実な人生を送っていたが、不慮の事故によりあえなく命を落とす。 そして目覚めた時は一度目の生の起点となった婚約破棄の場であった。 ------------------------------------ ※突然イメージ画像が挿絵で出ることがあります。 ※ストーリー内に出しているのはなんちゃって医学です。軽く調べて、脚色を加えているので現実と異なります。調べたい方、気になる方は該当学会HPなどで調べることをおすすめします。 ※※小説家になろう、カクヨムにも掲載しています

転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。  しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。  冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!  わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?  それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?

【完結済】破棄とか面倒じゃないですか、ですので婚約拒否でお願いします

恋愛
水不足に喘ぐ貧困侯爵家の次女エリルシアは、父親からの手紙で王都に向かう。 王子の婚約者選定に関して、白羽の矢が立ったのだが、どうやらその王子には恋人がいる…らしい? つまりエリルシアが悪役令嬢ポジなのか!? そんな役どころなんて御免被りたいが、王サマからの提案が魅力的過ぎて、王宮滞在を了承してしまう。 報酬に目が眩んだエリルシアだが、無事王宮を脱出出来るのか。 王子サマと恋人(もしかしてヒロイン?)の未来はどうなるのか。 2025年10月06日、初HOTランキング入りです! 本当にありがとうございます!!(2位だなんて……いやいや、ありえないと言うか…本気で夢でも見ているのではないでしょーか……) ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ ※小説家になろう様にも掲載させていただいています。 ※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。 ※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。 ※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。 ※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。 ※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。 ※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。 ※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。 ※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。

【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!? バッドエンドだらけの悪役令嬢。 しかし、 「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」 そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。 運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語! ※完結済です。 ※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///) ※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。 《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》

婚約破棄!ついでに王子をどん底に突き落とす。

鏡おもち
恋愛
公爵令嬢パルメは、王立学院のパーティーで第一王子リュントから公開婚約破棄を突きつけられる。しかし、周囲の同情をよそにパルメは歓喜した。

私が生きていたことは秘密にしてください

月山 歩
恋愛
メイベルは婚約者と妹によって、崖に突き落とされ、公爵家の領地に倒れていた。 見つけてくれた彼は一見優しそうだが、行方不明のまま隠れて生きて行こうとする私に驚くような提案をする。 「少年の世話係になってくれ。けれど人に話したら消す。」

処理中です...