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第4章 15 アリオスへの報告
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無言で執務室へ向かって 歩きながらアリオスは後からついてくるスカーレットの様子を伺った。スカーレットの顔色は青ざめ、小刻みに震えている。
(何かあったのだろうか…?ヴァイオレット嬢に嫌がらせでもされたのか?)
当然アリオスはスカーレットの身に何が起こったかを知らない。
(まあいい。執務室に着いたら詳しく話を聞こう)
その後も2人はアリオスの執務室へ着くまで互いに言葉を交わさず無言で歩き続けた。
「入ってくれ」
執務室の部屋の前に着くとアリオスはノブを回して扉を開けた。
「…」
スカーレットは無言で部屋に入ると、アリオスは扉を締めた。
パタン…
すると、その音にスカーレットの肩がビクリと跳ねた。
「スカーレット。どうかしたのか?」
その様子にアリオスは首をかしげた。
「い、いえ。何でもありません」
しかし、スカーレットはアリオスの視線から目をそらし、両手を組んで下におろしている。
(この様子…絶対何かあったに違いない…!)
「とりあえず、そこに座ってくれるか?」
執務室に置いてあるソファをスカーレットにすすめる。
「は、はい…」
スカーレットは素直に従い、腰掛けた。アリオスはテーブルを挟み、向かい側に座った。そしてじっとスカーレットを見つめた。
「…」
相変わらずスカーレットは無言で視線を合わせない。身体は小さく震えている。その様子にアリオスは思い当たる節が合った。
(同じだ…初めてこの屋敷にやってきた時の彼女と…)
アリオスはスカーレットの事情を知っていた。元婚約者に襲われかけて男性恐怖症になってしまった事を。しかし、カールに接するうちに少しずつ落ち着いてきたと思っていた。だからこそ、仮の婚約者になって貰う事も頼めたのだ。
「スカーレット、今日…王宮へ無理矢理連れて行かれたのだろう?」
アリオスは静かに尋ねた。
「は、はい…」
「何があったんだ?」
アリオスはじっとスカーレットの目を見た。
「あ、あの…それが…」
(どうしよう。すごく言いにくいわ…アリオス様の前で男性恐怖症の話をするのは…)
スカーレットは震えたまま、なかなか答えようとしない。その様子にアリオスはある出来事を思い出していた。
(似てる…彼女がハインリヒに襲われかけた時の状況に…まさか…!)
「スカーレット。ひょっとして…王宮で…男に何かされたのか?」
その言葉にスカーレットは大きく反応した。
「やはり、そうだったのか…。だが、仮にもヴァイオレット皇女が招いたスカーレットに手を出すことが出来るのは…ま、まさか…!」
「は、はい…。アイザック皇子様に…し、痺れ薬を飲まされて…」
「な、何だってっ?!」
アリオスの顔が青ざめた。
「ゆ、許せん…!いくら皇子だろうとスカーレットを…!」
怒りのあまり、アリオスが立ち上がった。その勢いはまるで今にも王宮に乗り込まんばかりだ。
「あ、あの!お待ち下さい!落ち着いて下さい、アリオス様!」
スカーレットは慌てた。まさかアリオスがそこまで激昂するとは思わなかったのだ。
「落ち着く?お前が皇子に襲われたのに?」
「い、いえ!確かに襲われかけはしましたが…そ、その…未遂で終わりましたので…」
「…」
アリオスはじっとスカーレットを見ている。
「だから…どうか落ち着いて下さい…」
「お前がそう言うなら…」
アリオスはソファに座り直すとため息を着いた。
「何が合ったのか…全てお話致します…」
スカーレットは重い口を開き、語り始めた。
迎えの馬車がやってきたこと、馬車の中で男性と2人きりのショックで気を失ったこと。目が覚めれば見知らぬ部屋で目覚め、アイザックが入ってきたこと。そしてアイザック皇子の自室に連れて行かれ、飲み物の中に痺れ薬を入れられた挙げ句襲われかけた事。
それら全てアリオスに報告した―。
(何かあったのだろうか…?ヴァイオレット嬢に嫌がらせでもされたのか?)
当然アリオスはスカーレットの身に何が起こったかを知らない。
(まあいい。執務室に着いたら詳しく話を聞こう)
その後も2人はアリオスの執務室へ着くまで互いに言葉を交わさず無言で歩き続けた。
「入ってくれ」
執務室の部屋の前に着くとアリオスはノブを回して扉を開けた。
「…」
スカーレットは無言で部屋に入ると、アリオスは扉を締めた。
パタン…
すると、その音にスカーレットの肩がビクリと跳ねた。
「スカーレット。どうかしたのか?」
その様子にアリオスは首をかしげた。
「い、いえ。何でもありません」
しかし、スカーレットはアリオスの視線から目をそらし、両手を組んで下におろしている。
(この様子…絶対何かあったに違いない…!)
「とりあえず、そこに座ってくれるか?」
執務室に置いてあるソファをスカーレットにすすめる。
「は、はい…」
スカーレットは素直に従い、腰掛けた。アリオスはテーブルを挟み、向かい側に座った。そしてじっとスカーレットを見つめた。
「…」
相変わらずスカーレットは無言で視線を合わせない。身体は小さく震えている。その様子にアリオスは思い当たる節が合った。
(同じだ…初めてこの屋敷にやってきた時の彼女と…)
アリオスはスカーレットの事情を知っていた。元婚約者に襲われかけて男性恐怖症になってしまった事を。しかし、カールに接するうちに少しずつ落ち着いてきたと思っていた。だからこそ、仮の婚約者になって貰う事も頼めたのだ。
「スカーレット、今日…王宮へ無理矢理連れて行かれたのだろう?」
アリオスは静かに尋ねた。
「は、はい…」
「何があったんだ?」
アリオスはじっとスカーレットの目を見た。
「あ、あの…それが…」
(どうしよう。すごく言いにくいわ…アリオス様の前で男性恐怖症の話をするのは…)
スカーレットは震えたまま、なかなか答えようとしない。その様子にアリオスはある出来事を思い出していた。
(似てる…彼女がハインリヒに襲われかけた時の状況に…まさか…!)
「スカーレット。ひょっとして…王宮で…男に何かされたのか?」
その言葉にスカーレットは大きく反応した。
「やはり、そうだったのか…。だが、仮にもヴァイオレット皇女が招いたスカーレットに手を出すことが出来るのは…ま、まさか…!」
「は、はい…。アイザック皇子様に…し、痺れ薬を飲まされて…」
「な、何だってっ?!」
アリオスの顔が青ざめた。
「ゆ、許せん…!いくら皇子だろうとスカーレットを…!」
怒りのあまり、アリオスが立ち上がった。その勢いはまるで今にも王宮に乗り込まんばかりだ。
「あ、あの!お待ち下さい!落ち着いて下さい、アリオス様!」
スカーレットは慌てた。まさかアリオスがそこまで激昂するとは思わなかったのだ。
「落ち着く?お前が皇子に襲われたのに?」
「い、いえ!確かに襲われかけはしましたが…そ、その…未遂で終わりましたので…」
「…」
アリオスはじっとスカーレットを見ている。
「だから…どうか落ち着いて下さい…」
「お前がそう言うなら…」
アリオスはソファに座り直すとため息を着いた。
「何が合ったのか…全てお話致します…」
スカーレットは重い口を開き、語り始めた。
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それら全てアリオスに報告した―。
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