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第4章 17 戸惑い
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「アリオス様‥‥今の話は一体…?」
スカーレットは先ほどのアリオスの言葉の意味が良く理解出来なくて尋ねた。
「あ…!い、今の話は…そ、その…忘れてくれ。言葉の綾だ。本当に深い意味は無い。どうか…忘れてくれ」
アリオスはスカーレットから視線をそらせると言った。
「その…悪かった。興奮して、つい声を荒げてしまって…。すまないが、俺の代わりにカールの様子を見ておいてくれないか?俺はまだ仕事が残って…カールの元へはいけないから」
「はい、分りました」
スカーレットはソファから立ち上がり、出口に向かう途中…アリオスの方を振り向いた。
「あの、アリオス様」
「な、何だ?」
すでに書斎机に向かっていたアリオスは突然名前を呼ばれて驚いたように振り返る。
「先程仰っていた決闘の件ですが‥‥」
「ああ。あの話しか」
「もう一度お願い致しす。どうか…どうか決闘などと恐ろしい事を言わないで下さい。私なんかの為に…」
するとアリオスは眉間にしわを寄せながら言う。
「私なんかの為?何故そのような言い方をする?お前は少なくとも1年間は俺の婚約者なのに…」
「ですが、本当の身分はただの家庭教師なのです。アリオス様は…侯爵家で将来有望なお方なのです。なので…私の事で激高されて人生を棒に振って欲しくないのです。」
「スカーレット、だがそれでは…」
するとスカーレットは笑顔で答える。
「大丈夫です。この通り私は‥‥無事だったのですから」
しかし、アリオスは見逃さなかった。スカーレットの身体が小刻みに震えているのを。
(あんなに震え…きっとアイザック皇子に襲われた時の事を思い出したに違いない。でも怯えて当然だ、何しろ痺れ薬を飲まされた挙句、襲われそうになったのだから…!)
普通の女性だってそんな目に遭えば恐ろしい。しかもスカーレットは男性恐怖症なのだ。どれ程恐ろしかったか‥‥その時の状況を思うと気の毒で仕方無かった。強く抱きしめて、大丈夫だと伝えて安心させてやりたい。だが…。
(駄目だ。スカーレットは男性恐怖症なのだ。そんな事出来るはずがない)
「アリオス…様?どうされたのですか?」
スカーレットは先程から口をとざしているアリオスに声を掛けた。
「い、いや。何でもない。だが…このままにしておいて良い話でも無い。アイザック皇子と…それにヴァイオレット皇女の件についても…今後どうすればよいか考えてみる」
「アリオス様…」
スカーレットは心配そうにじっとアリオスを見つめている。そんなスカーレットを見るとアリオスはフッと笑みを浮かべ、言った。
「大丈夫だ、スカーレット。お前が心配するよな真似は絶対にしないと誓うよ」
「あ、ありがとうございます…。では失礼致します」
スカーレットは頭を下げると、部屋を出て行った。
パタン…
扉が閉じられるとアリオスは背もたれに寄りかかり、天井を見上げると大きなため息をついた。スカーレットとの会話で、咄嗟に口走ってしまった言葉に自分で驚いていた。
(あの時の俺は…アイザック皇子に嫉妬してしまったのだろうか…?スカーレットは仮初とはいえ、俺の婚約者とされている。それなのにアイザック皇子は手を出したから…?もしかして俺は…スカーレットに惹かれているのか…?)
だが、アリオスは首を振った。ヴァイオレット皇女との恋愛で酷い裏切りに遭い、恋愛はこりごりだと思っていたのに…?
アリオスは自分で自分の心が分らず、戸惑うのだった―。
スカーレットは先ほどのアリオスの言葉の意味が良く理解出来なくて尋ねた。
「あ…!い、今の話は…そ、その…忘れてくれ。言葉の綾だ。本当に深い意味は無い。どうか…忘れてくれ」
アリオスはスカーレットから視線をそらせると言った。
「その…悪かった。興奮して、つい声を荒げてしまって…。すまないが、俺の代わりにカールの様子を見ておいてくれないか?俺はまだ仕事が残って…カールの元へはいけないから」
「はい、分りました」
スカーレットはソファから立ち上がり、出口に向かう途中…アリオスの方を振り向いた。
「あの、アリオス様」
「な、何だ?」
すでに書斎机に向かっていたアリオスは突然名前を呼ばれて驚いたように振り返る。
「先程仰っていた決闘の件ですが‥‥」
「ああ。あの話しか」
「もう一度お願い致しす。どうか…どうか決闘などと恐ろしい事を言わないで下さい。私なんかの為に…」
するとアリオスは眉間にしわを寄せながら言う。
「私なんかの為?何故そのような言い方をする?お前は少なくとも1年間は俺の婚約者なのに…」
「ですが、本当の身分はただの家庭教師なのです。アリオス様は…侯爵家で将来有望なお方なのです。なので…私の事で激高されて人生を棒に振って欲しくないのです。」
「スカーレット、だがそれでは…」
するとスカーレットは笑顔で答える。
「大丈夫です。この通り私は‥‥無事だったのですから」
しかし、アリオスは見逃さなかった。スカーレットの身体が小刻みに震えているのを。
(あんなに震え…きっとアイザック皇子に襲われた時の事を思い出したに違いない。でも怯えて当然だ、何しろ痺れ薬を飲まされた挙句、襲われそうになったのだから…!)
普通の女性だってそんな目に遭えば恐ろしい。しかもスカーレットは男性恐怖症なのだ。どれ程恐ろしかったか‥‥その時の状況を思うと気の毒で仕方無かった。強く抱きしめて、大丈夫だと伝えて安心させてやりたい。だが…。
(駄目だ。スカーレットは男性恐怖症なのだ。そんな事出来るはずがない)
「アリオス…様?どうされたのですか?」
スカーレットは先程から口をとざしているアリオスに声を掛けた。
「い、いや。何でもない。だが…このままにしておいて良い話でも無い。アイザック皇子と…それにヴァイオレット皇女の件についても…今後どうすればよいか考えてみる」
「アリオス様…」
スカーレットは心配そうにじっとアリオスを見つめている。そんなスカーレットを見るとアリオスはフッと笑みを浮かべ、言った。
「大丈夫だ、スカーレット。お前が心配するよな真似は絶対にしないと誓うよ」
「あ、ありがとうございます…。では失礼致します」
スカーレットは頭を下げると、部屋を出て行った。
パタン…
扉が閉じられるとアリオスは背もたれに寄りかかり、天井を見上げると大きなため息をついた。スカーレットとの会話で、咄嗟に口走ってしまった言葉に自分で驚いていた。
(あの時の俺は…アイザック皇子に嫉妬してしまったのだろうか…?スカーレットは仮初とはいえ、俺の婚約者とされている。それなのにアイザック皇子は手を出したから…?もしかして俺は…スカーレットに惹かれているのか…?)
だが、アリオスは首を振った。ヴァイオレット皇女との恋愛で酷い裏切りに遭い、恋愛はこりごりだと思っていたのに…?
アリオスは自分で自分の心が分らず、戸惑うのだった―。
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