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第5章 16 突然のキス
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「アリオス様。話というのは何でしょうか?」
スカーレットは酔わないようにゆっくりシャンパンを飲みながら尋ねた。
「ああ。今日公園へ行った時の話だよ」
アリオスは慣れた様子でブランデーを飲むと言った。
「アリオス様だけが公園に残って私達が帰った後の話ですか?」
「ああ。あの後、広場の係員の男性から話を聞いたんだ。あのマゼンダ親子はまるでわが物顔であの屋敷の中では目に余る行動を取っていたそうだ。屋敷の中にある重要文化財や絵画などの芸術品…図書室にある貴重な蔵書などを売り払い、自分たちの新しいドレスやアクセサリーを買い漁っているらしい。しかも屋敷で働く新しい使用人たちは全員派遣されてきており、2人の愚行を咎めるリーダ的存在もいないという話だった」
「そ、そんな…!」
スカーレットはその話に衝撃を受けた。
「あの屋敷にあった絵画や骨とう品は代々シュバルツ家が御先祖様から受け継いできた大切な品なのです。本にしたってそうです。あの図書室には価値を測れない程の貴重な蔵書もあったのに…もしお父様が生きていらっしゃったら、とても嘆かれるわ…!」
話しているうちに、どうしようもなく悲しくなってしまった。売られてしまった品々の行方などスカーレットには知る由も無かったし、まして買い戻すことなど不可能だった。
「本当に…何て恐ろしい親子だと思ったよ。まるであの親子はシュバルツ家に巣くう寄生虫だ。あんな奴らは速攻追い出すべきなのだが…」
アリオスは言いながらチラリとスカーレットを見た。
「・・・・」
スカーレットは悲し気に俯いている。
「無理です…アリオス様。あの方は父と結婚したのです。結婚証明書も見ました。父は亡くなってしまいましたが、正式なシュバルツ家の方なのです」
「スカーレット…。だが、そんなものはいくらでも偽造出来ると思わないか?まして婚姻したとされる君の父上は亡くなられたのだろう?」
「はい、そう聞いていますが…でも遺体も見つかっていないのです」
その言葉にアリオスはピクリと反応した。スカーレットを雇うかどうか決める時に読んだ身上書には父親は旅先で亡くなったと記載されていたが、遺体が見つかっていないと言う事は記載されていなかったからだ。
(怪しい…これはひょっとすると裏に何かあるのではないだろうか…?)
アリオスはマゼンダ親子とスカーレットの父親の事で調べたいと思った。だが、忙しい身のアリオスにはそのような余裕は無かった。一体どうすれば良いのか…考えていた最中、スカーレットが言った。
「実は父の執事だった2人の者がお父様の死の事について調べているそうなのです」
「何?そうなのか?それでその2人の執事は今何所にいるのだ?」
「はい。父が亡くなった場所は『ベルンヘル』の町の運河だったそうです。身元不明の遺体が上がり…着ていた服が行方不明になった時と同じ服を着ていたらしく、それで父と断定されてしまったのですが、確かな鑑定が出来ないので遺体を返せないと言われて…直接確認しに行く為に先に一番の側近だった執事がベルンヘルに行き‥後程もう1人の執事が後を追ったのです」
「そうか…なら彼等から詳しい情報がもし得られることがあれば俺にも教えてくれるか?」
「え…?」
「スカーレット。俺は…お前の力になりたいのだ」
アリオスの瞳は真剣だった。
「ありがとうございます…アリオス様」
「話しはそれだけだ。これを飲んだら部屋に戻ろう」
「はい」
30分後―
お酒を飲み終えた2人は一緒にラウンジを出た。スカーレットはすっかり酔いが回り、気分が高揚していた。
「大丈夫か?スカーレット」
アリオスはフラフラと椅子から立ち上がったスカーレットを見て、傍によると遠慮がちに肩を抱いた。
「危なっかしいから俺に寄りかかって歩いた方がいい」
「はい、ありがとうございます‥‥」
酔いで赤くなった頬でスカーレットはアリオスを見上げてニコリと笑みを浮かべた。
「っ!」
アリオスは不覚にもスカーレットの笑みに赤くなり、視線を逸らせると言った。
「それじゃ部屋に戻ろう」
スカーレットを支えながらラウンジを出て、2人は部屋を目指した。
「アリオス様…」
歩きながらもうじき部屋に着くという時、不意にスカーレットが声を掛けてきた。
「何だ?」
「私の故郷へ連れて来て下さって…本当にありがとう…ございます…」
「あ・ああ…気にするな」
その時、突然スカーレットがアリオスの腕を自分の方へ引き寄せた。
「なっ?!」
気付けばスカーレットはアリオスの頬にキスをしていた。
「ス、スカーレット…?」
「フフ…お礼のキスです」
すっかり酔っていたスカーレットは、かつて父にしていたように頬にキスをしたのだった。特にそれ以上に意図は無かった。だが…。
「スカーレット!」
アリオスは気付けばスカーレットを抱き寄せ、口付けしていた―。
スカーレットは酔わないようにゆっくりシャンパンを飲みながら尋ねた。
「ああ。今日公園へ行った時の話だよ」
アリオスは慣れた様子でブランデーを飲むと言った。
「アリオス様だけが公園に残って私達が帰った後の話ですか?」
「ああ。あの後、広場の係員の男性から話を聞いたんだ。あのマゼンダ親子はまるでわが物顔であの屋敷の中では目に余る行動を取っていたそうだ。屋敷の中にある重要文化財や絵画などの芸術品…図書室にある貴重な蔵書などを売り払い、自分たちの新しいドレスやアクセサリーを買い漁っているらしい。しかも屋敷で働く新しい使用人たちは全員派遣されてきており、2人の愚行を咎めるリーダ的存在もいないという話だった」
「そ、そんな…!」
スカーレットはその話に衝撃を受けた。
「あの屋敷にあった絵画や骨とう品は代々シュバルツ家が御先祖様から受け継いできた大切な品なのです。本にしたってそうです。あの図書室には価値を測れない程の貴重な蔵書もあったのに…もしお父様が生きていらっしゃったら、とても嘆かれるわ…!」
話しているうちに、どうしようもなく悲しくなってしまった。売られてしまった品々の行方などスカーレットには知る由も無かったし、まして買い戻すことなど不可能だった。
「本当に…何て恐ろしい親子だと思ったよ。まるであの親子はシュバルツ家に巣くう寄生虫だ。あんな奴らは速攻追い出すべきなのだが…」
アリオスは言いながらチラリとスカーレットを見た。
「・・・・」
スカーレットは悲し気に俯いている。
「無理です…アリオス様。あの方は父と結婚したのです。結婚証明書も見ました。父は亡くなってしまいましたが、正式なシュバルツ家の方なのです」
「スカーレット…。だが、そんなものはいくらでも偽造出来ると思わないか?まして婚姻したとされる君の父上は亡くなられたのだろう?」
「はい、そう聞いていますが…でも遺体も見つかっていないのです」
その言葉にアリオスはピクリと反応した。スカーレットを雇うかどうか決める時に読んだ身上書には父親は旅先で亡くなったと記載されていたが、遺体が見つかっていないと言う事は記載されていなかったからだ。
(怪しい…これはひょっとすると裏に何かあるのではないだろうか…?)
アリオスはマゼンダ親子とスカーレットの父親の事で調べたいと思った。だが、忙しい身のアリオスにはそのような余裕は無かった。一体どうすれば良いのか…考えていた最中、スカーレットが言った。
「実は父の執事だった2人の者がお父様の死の事について調べているそうなのです」
「何?そうなのか?それでその2人の執事は今何所にいるのだ?」
「はい。父が亡くなった場所は『ベルンヘル』の町の運河だったそうです。身元不明の遺体が上がり…着ていた服が行方不明になった時と同じ服を着ていたらしく、それで父と断定されてしまったのですが、確かな鑑定が出来ないので遺体を返せないと言われて…直接確認しに行く為に先に一番の側近だった執事がベルンヘルに行き‥後程もう1人の執事が後を追ったのです」
「そうか…なら彼等から詳しい情報がもし得られることがあれば俺にも教えてくれるか?」
「え…?」
「スカーレット。俺は…お前の力になりたいのだ」
アリオスの瞳は真剣だった。
「ありがとうございます…アリオス様」
「話しはそれだけだ。これを飲んだら部屋に戻ろう」
「はい」
30分後―
お酒を飲み終えた2人は一緒にラウンジを出た。スカーレットはすっかり酔いが回り、気分が高揚していた。
「大丈夫か?スカーレット」
アリオスはフラフラと椅子から立ち上がったスカーレットを見て、傍によると遠慮がちに肩を抱いた。
「危なっかしいから俺に寄りかかって歩いた方がいい」
「はい、ありがとうございます‥‥」
酔いで赤くなった頬でスカーレットはアリオスを見上げてニコリと笑みを浮かべた。
「っ!」
アリオスは不覚にもスカーレットの笑みに赤くなり、視線を逸らせると言った。
「それじゃ部屋に戻ろう」
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「アリオス様…」
歩きながらもうじき部屋に着くという時、不意にスカーレットが声を掛けてきた。
「何だ?」
「私の故郷へ連れて来て下さって…本当にありがとう…ございます…」
「あ・ああ…気にするな」
その時、突然スカーレットがアリオスの腕を自分の方へ引き寄せた。
「なっ?!」
気付けばスカーレットはアリオスの頬にキスをしていた。
「ス、スカーレット…?」
「フフ…お礼のキスです」
すっかり酔っていたスカーレットは、かつて父にしていたように頬にキスをしたのだった。特にそれ以上に意図は無かった。だが…。
「スカーレット!」
アリオスは気付けばスカーレットを抱き寄せ、口付けしていた―。
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