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第5章 20 王宮からの遣い
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「へ~あの女性がお前の新しい婚約者だったのか?」
ザヒムの言葉にアリオスは反論した。
「おい、俺は過去に婚約したことは無いぞ?」
「だって、ヴァイオレット皇女と…」
言いかけてザヒムは口を閉ざした。何故ならアリオスが睨み付けていたからだ。
「すまんすまん。あの時は婚約していたわけじゃなかったな。周りが勝手に盛り上がっていただけで…悪かった。うっかりしていたよ」
ザヒムは素直に謝って来た。
「あ…こっちこそ悪かった。お前は悪気があって妙な事を口走るタイプの男では無かったものな。すまなかった」
「いや。気にする事は無いさ。でもすごく良さそうな女性じゃないか。ドレスで着飾る様なタイプでもないし、何と言うか知的な美人って感じがした」
「そうか…そうだろうな。何しろ彼女はカールの家庭教師をしているから。才女なんだよ。大学も飛び級で卒業している」
アリオスはまるで自分の事の様に自慢気に話しているのをザヒムは気付いていた。
「良かったな。良い女性に巡り合えて。お前…女性不信になっていたから心配していたんだ。それに俺も人の事言えないけど、とっくに結婚していてもおかしくない年齢だしな」
「結婚…」
ザヒムに言われて、その時アリオスは気付いた。
(そうだ…俺はヴァイオレット皇女と完全に決別する為にスカーレットに仮の婚約者になって貰ったんだったな…)
「どうかしたか?アリオス」
「いや、何でもない」
そしてアリオスは再び紅茶に口を付けた時、執務室の扉がノックされた。
コンコン
「アリオス様、少し宜しいでしょうか?」
その声は執事のセオドアだった。
「ああ、大丈夫だ。入ってくれ」
「失礼致します」
扉が開かれ、セオドアが現れた。
「アリオス様…大変申し上げにくいのですが、王宮の使いの方が来ております。アリオス様に是非いらして頂きたいと…」
セオドアが申し訳なさげに言う。
「何だって?王宮からだって?」
途端にアリオスの顔が険しくなる。スカーレットがアイザック皇子に凌辱されそうになった事はアリオスにとっては到底許し難い出来事だった。あの後もアリオスはアイザック皇子に向けて手紙を書いていた。二度と自分とスカーレットに関わらないでくれと…。
(それなのにまた俺を王宮へ呼びつけるとは…一体どういうつもりなんだ)
するとザヒムは言った。
「アリオス、やはり王宮から迎えが来ているなら行くべきだ。お前が行かないと、迎えに来た者が罰を受けるかもしれない」
ザヒムの言う事は最もだった。
「…分った。王宮へ行く。ザヒム…」
アリオスはザヒムを見た。
「ああ、分ってるって。お前の不在の分までちゃんと仕事をしているから気にするな」
「すまない、ザヒム。…恩に着るよ」
そしてアリオスは席を立つと、セオドアを連れてエントランスへ向かった―。
****
ガラガラガラガラ…
「…」
アリオスは難しい顔で馬車に揺られていた。結局、御者にどんな用事で自分を呼びつけたのかを尋ねてみても、御者にも分らなかったのだ。
(もし、スカーレットを愛人に迎え入れたいと皇子が言ってきたら、その時こそ決闘を申し込んでやる…!)
アリオスは闘志を燃やすのだった―。
ザヒムの言葉にアリオスは反論した。
「おい、俺は過去に婚約したことは無いぞ?」
「だって、ヴァイオレット皇女と…」
言いかけてザヒムは口を閉ざした。何故ならアリオスが睨み付けていたからだ。
「すまんすまん。あの時は婚約していたわけじゃなかったな。周りが勝手に盛り上がっていただけで…悪かった。うっかりしていたよ」
ザヒムは素直に謝って来た。
「あ…こっちこそ悪かった。お前は悪気があって妙な事を口走るタイプの男では無かったものな。すまなかった」
「いや。気にする事は無いさ。でもすごく良さそうな女性じゃないか。ドレスで着飾る様なタイプでもないし、何と言うか知的な美人って感じがした」
「そうか…そうだろうな。何しろ彼女はカールの家庭教師をしているから。才女なんだよ。大学も飛び級で卒業している」
アリオスはまるで自分の事の様に自慢気に話しているのをザヒムは気付いていた。
「良かったな。良い女性に巡り合えて。お前…女性不信になっていたから心配していたんだ。それに俺も人の事言えないけど、とっくに結婚していてもおかしくない年齢だしな」
「結婚…」
ザヒムに言われて、その時アリオスは気付いた。
(そうだ…俺はヴァイオレット皇女と完全に決別する為にスカーレットに仮の婚約者になって貰ったんだったな…)
「どうかしたか?アリオス」
「いや、何でもない」
そしてアリオスは再び紅茶に口を付けた時、執務室の扉がノックされた。
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「アリオス様、少し宜しいでしょうか?」
その声は執事のセオドアだった。
「ああ、大丈夫だ。入ってくれ」
「失礼致します」
扉が開かれ、セオドアが現れた。
「アリオス様…大変申し上げにくいのですが、王宮の使いの方が来ております。アリオス様に是非いらして頂きたいと…」
セオドアが申し訳なさげに言う。
「何だって?王宮からだって?」
途端にアリオスの顔が険しくなる。スカーレットがアイザック皇子に凌辱されそうになった事はアリオスにとっては到底許し難い出来事だった。あの後もアリオスはアイザック皇子に向けて手紙を書いていた。二度と自分とスカーレットに関わらないでくれと…。
(それなのにまた俺を王宮へ呼びつけるとは…一体どういうつもりなんだ)
するとザヒムは言った。
「アリオス、やはり王宮から迎えが来ているなら行くべきだ。お前が行かないと、迎えに来た者が罰を受けるかもしれない」
ザヒムの言う事は最もだった。
「…分った。王宮へ行く。ザヒム…」
アリオスはザヒムを見た。
「ああ、分ってるって。お前の不在の分までちゃんと仕事をしているから気にするな」
「すまない、ザヒム。…恩に着るよ」
そしてアリオスは席を立つと、セオドアを連れてエントランスへ向かった―。
****
ガラガラガラガラ…
「…」
アリオスは難しい顔で馬車に揺られていた。結局、御者にどんな用事で自分を呼びつけたのかを尋ねてみても、御者にも分らなかったのだ。
(もし、スカーレットを愛人に迎え入れたいと皇子が言ってきたら、その時こそ決闘を申し込んでやる…!)
アリオスは闘志を燃やすのだった―。
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